第11話:思考
ドアノブに手を掛けて扉を開ける。
ギーっと、きしむ音ともに開かれた二階にある自室。
ポケットに入れてあったスマホと財布とハンカチを置き、服を着替え始める。
洗濯物だけを手に持ち、一階にある風呂場に向かう。
階段を降りる際にリビングから二人の楽しげな声が聞こえてきた。
なんとかしないとな〜と考えつつも風呂場に到着した。
手に持ってあった洗濯物を洗面所に置いてある洗濯機に入れる。
すぐに服を脱いで風呂へと入る。
初めは、もしかすると彼女、テンマが突入して来るかも知れないという淡いシチュエーションを期待してはいないが、全く来る気配はなかった。
湯船にいつもより30分多く入っていたので、さすが逆上せるということで上がることにした。
「さすがにないわな〜」
寂しげに独り言を呟き服を着始める。
洗面所の扉を開けると二人の声がまだリビングの方向から聞こえてくる。
さすがは女の子。話し出すと止まらないな。
苦笑いを浮かべ自室へと向かう。
自室へと到着した俺はすぐさまベッドへとダイブした。
髪を乾かさないといけないのだが、どうにも面倒くさかった。
疲れた。その言葉に尽きる。
本当に今日は色々とあって疲れた。
まぁ、主に後半の彼女が原因なのだが。
そっと目を閉じる。
ぐっすりと寝れそうだ。
スマホのタイマーは掛けてあったかな?まぁ、大丈夫だろう。
洗濯物はちゃんと入れたし、今週の家事は舞だし、特に問題はなさそうだ。
気がかりなことがないことを確認した後、すぐさま眠気が押し寄せる。
そういえば、彼女は泊まっていくことを了承しただろうか?
リビングから出る際に「泊まってもウチは大丈夫」というメモ書きを置いてきていた。
晩飯もウチで食い、夜遅いので泊まった方が良いだろうという考えたのだが、二人の会話を遮ってまで言うのも忍びない。
妹があんなにも楽しげに笑う所も久々に見たし、昔、お姉ちゃんを欲しがっていたのも知ってる。
それに自分が言わずとも、舞が泊まることをすすめるだろう。
少し天然ではあるが芯はしっかりしてるしな。
相手のことを第一に考える本当に良い子だ。
あえて、泊まっていてとは言わず、泊まっていって欲しいと言うだろう。
一方、テンマは何を考えているかは分からない。
出会ったばかりというのもあるが。
ただ、悪い子ではなさそうだ・・・そんな気がする。
それは舞も同じ気持ちだろう。
ただ、テンマに関して言えることは遠慮とかはなさそうだ。
家に入る時も、晩飯をご馳走になる時も、苦しゅうないとか言ってたし。
アンタはどこのお殿様だよとか、実際に言う人いるんだなとか思い、軽く引いてしまった。
なんという図太さ。というかバカなのだろうか?
まぁ、あとは向こうの親御さん次第か。
でも、もしかすると一人暮らしかもしれないな。
晩飯食う時に誰かに連絡もしてなかったようだし、早く帰らないとという素振りも見せなかったし。
くあぁぁ。本格的な欠伸が出始める。
ヤバイ。本当に寝る。瞼も重くなってきた。
寝よう。まぁ、大丈夫だ。きっと。
「なんくるないさ〜」
そう。結局はどうにかなるように現実は出来ている。
実際、色々と大変な経験もしてきたし、トラブルも多かった。
だが結局は上手いこといく。
まぁ、周囲の人の助けがあってこそなのだが。
意識が遠のくのを感じる。
そういえばテンマはドコで寝るのかな?
まぁ、普通に考えて舞の部屋か。
二人でベッドで寝るのはキツそうだよな〜。
・・・・・・さすがに俺のベッドではないよな?
ひとかけらの疑問とともに眠りに落ちる。
それがフラグになりえるとは考えずに。




