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第1話:不安


前書きがあったから、せっかくなので一言だけ。

これを楽しく読んでもらえたら嬉しいです。


 俺は走る。


 あの真っ赤に燃えている太陽に向かって。


 なーんて熱血バカな行動をするわけはないが、走っているのは事実。


 今の時刻は遅刻ギリギリの瀬戸際。だから、走っている。


 昨日の夜、ひさびさにギャルゲーをやっていたら熱中してしまい、そのまま無意識の内に就寝した。そんで目覚ましをセットするのを忘れていたわけ。


 走りながら俺は重たくなる瞼をこする。眠たい。


 途中、石につまずきそうになる。寝不足だ。


 今時、珍しいリーゼントの髪を持つ不良共と遭遇する。おぉ、絶滅危惧種。


 とりあえず、なんのものにも目もくれず走る。


 だが、そんな時だった。





「オ〜〜ワタシヒトサガシヲシテイルモノデ〜ス。ソコノアナタ、ヒトサガシノキョウリョクオネガイシマ〜ス」


 などと、作り物の鼻を付けた兄貴が寄ってきた。


 とりあえず殴っておく。


「ぐほッ……な、何故、お兄ちゃんを殴るんだい?我が弟よ」


「イキナリわけも分からん似非外国人に扮して、俺に近づこうとしたからだ」


「フッ、それは違うぞ」


 怪しげに笑う兄貴に対して一歩下がる。


 こんな変人に見えるような人だが、れっきとした俺の従兄。


 だが、従兄とは言え、関わりたくない奴だっているものだ。


 例えば、目の前の見るからに変質者であるこの男には特にな。


 つくづく思い知らされる。


 過去の思い出が走馬灯のように駆けまわり、頷いた。


 兄貴は高々と両手を広げ言う。まるで神に言うかのように。


「俺はただの男のお前には興味がない。俺が興味があるのは……」


 一呼吸を入れて宣言する。


「シスコンだ!!!――――つまり、お前の………」


 俺の引きつっていた顔がますます引きずる。


「妹の方に興味が!………ぐはッ!?」


 有無を言わさず、もう一発殴る。


 兄貴は思いっきり吹き飛び、ゴミの溜まり場に激突した。


 そのまま兄貴は夢の中へと飛んだ。


「これだから兄貴とは関わりたくないんだよ……ハァ」


 肩を落とし、溜息がこぼれる。


 兄貴とは昔からの知り合いである。そして、俺の妹の舞とも知り合い。


 その兄貴が特に舞にご執心なのである。理由は知らんが、ただ言い放っていることがある。それはさっきも言っていた通り、兄貴はシスコンらしい。


 なのでいつ襲われかねん舞を、別ルートから行かせているのだ。兄貴には秘密のルートなのである。


 だから、そのルートを知りたがって、いつもこうして俺が通るであろうこの道で待ち伏せしてはつかかって来ているのであった。


 説明は以上。








俺は途方もないような道を走り続けた。

後書きもあったので、次で書きます。

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