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1話〈後編〉

「ワタシが世界の中心だったらどうする?」


何を言っているのか分からない。困惑する俺の様子を見て秋葉はさらに楽しそうな表情になる。

「ワタシさ、世界中の負のエネルギーみたいな物を吸収してるらしいの。それで、気を抜くとさっきみたいに翼とか色々生えてきちゃうわけ」

そう言う秋葉の背中からはいつの間にか翼は消えていた。

いや、そういう話ではない。なんだそのザックリとした説明は。なんだ色々生えるって。

「あ、マル君信じてないでしょ」秋葉はわざとらしく頬を膨らませる。

信じるとかそんな次元の話じゃない。俺は未だ混乱していた。

「わ、分かった。とりあえず色々生えてくるんだな」俺はそんなバカみたいな返事をした。

「はー?やっぱりちゃんと聞いてなかったんじゃん」秋葉は露骨な呆れ顔をしていた。

「じゃ、もう一回ちゃんと説明するから本気で聞いてね」勘弁してくれ。もう限界だ。


とりあえず秋葉の言うことを要約すると、こんな体質になったのは高校に入学した頃らしい。

負のエネルギーを吸収する役割は何時の時代も1人いるらしい。

それによって世界の均衡を保ってるだ何たららしい。

なんでそんな詳しいかというと、この体質に目覚めた時歴代の人々の記憶が断片的に流れ込んできたかららしい。

死ぬまで役割を担い続け、死んだ瞬間誰かに役割が移る。

大まかにはこんな感じらしい。


なるほど。分からん。

とりあえず説明を聞く限り何故自分の事を「世界の中心」なんて言ったのか分からない。

「いやー、家族以外にこの話したの初めてだよー」

初めて、という単語にドキドキしてしまう。何かの本で読んだが男は最初が好きらしい。

「まあ聞いたからには手伝える事があったら手伝うさ」

そんな無責任な事を口走っていた。一体俺に何ができるというのか。

そんな事を考えていたが、秋葉は一瞬目を丸くした後、意地が悪そうな顔で笑っていた。

「ふーん。じゃあワタシの言うこと全部聞くって事だね?」

は?どう解釈したらそんな結論になるんだ。


「明日からよろしく頼むね!マル君!」

そんなイタズラが成功した小学生みたいな笑顔で言われると腹がたつ。


そんなこんなで俺と秋葉の物語は幕を開けたんだ。




作家の方々ってなんでこんな難しい事をあんなに上手にやってのけてしまうのか不思議ですね。。。

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