敵
○月×日
今日は敵が現れた。いつか泣かす。
魔王様を送り出したとき、魔王様に女が抱きついてきた。殺そうと思った。
しかも、魔王様の肩越しに私をみて、にやりと笑った気がした。その戦争は買うつもりだ。
魔王様もかわしてほしかった。
しかし、魔王様は人族にお優しいから、無下にはできないのであろう。これは私が何とかしないと。
村で話を聞いたところ、魔王様が朝出かけられるときに結構な頻度で抱きついていたらしい。
宿屋の中で別れていたのが仇になったか。
明日から、女が魔王様に抱きつくのを妨害しよう。禁呪も辞さない。
もやもやしながら、雑貨屋へ行った。
雑貨女の眼の下にクマがあった。
話を聞くと、徹夜で『付与魔法』のスキルを使っていたそうだ。昨夜、外が五月蝿かったのはお前か。
よく見たら、スキルのLV上がってた。やりすぎだ。
しかもその石を売ってた。簡単に火がおこせるので使い勝手が良いそうだ。商魂たくましいな。
なにかほしいものがあったら、こいつに作らせよう。無料で。
次に冒険者ギルドに行ったが、依頼はなかった。茶を飲んで帰った。
宿屋に戻ったら、親父さんが猫耳ヘアバンドと猫しっぽベルトをカウンターにおいて、
これをつけて、語尾に『ニャー』をつけて接客してくれ、と言ってきた。
殴った。セクハラにはパワハラ。これは魔界の常識だ。
その後、親父さんはおかみさんに奥の部屋に連れて行かれた。
悲鳴が聞こえたが気にしなかった。掃除の方が大事だ。
そして今日も客が少なかった。この調子だ。
部屋に戻って魔王様に今日の出来事を伝えたら、是非、猫耳をつけてほしい、と切実にいわれた。ちょっともやっとする。
しかし、これは魔王様のお願いでも聞くことはできない。私は犬派だ。
リンゴもないし、なにかストレスが溜まる。早く寝よう。
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