ダンジョン生成
○月×日
今日はダンジョンを作った。まだ誰もいないが。
朝、魔王様にお弁当を持たせて仕事に送り出す。
魔王様はお出かけの際に、牛や豚も飼いたいなー、と言っていた。
なにをするのかはわからないが、とりあえず、牛や豚は用意しておこう。
魔王様と別れた後、洞穴に向かった。転送装置があるので一瞬だ。
昨日の条件で『迷宮生成』を行う。魔力がほとんどなくなった。きつい。
思ったより階層ができていなかった。5階層だ。今後も追加で生成していくことにした。
とりあえず、スライムちゃんを呼び出して、ダンジョンの掃除をするように伝えた。
あと、適当に罠を作るように指示した。嫌がらせレベルで良い。
ビシッと敬礼すると、ダンジョンの中に入っていった。この間の衛兵たちの真似だろうか。
入り口に『ダンジョン未完成。近日公開』の立札をして村に帰った。
冒険者ギルドで、モンスターの情報を収集した。
ドラゴンと巨大イカの話があったが、それはまだ早い。
ゴブリンとかコボルトとか、そういう小型の魔物の話がないか聞いてみたが、ないらしい。使えない。
仕方ないので、そういう討伐依頼があったら、すぐ教えてくれと伝えておいた。
一応、商人達にも聞いてみた。
東にある町の冒険者ギルドなら討伐依頼はいくらでもあったとの情報を得た。
しかし、町まで2日は掛かるので諦めた。
手詰まりだが仕方ない、冒険者ギルドの討伐依頼に期待しよう。
いつものように雑貨屋にも顔を出した。
雑貨女は店の中で魔法の訓練をしていた。
『魔法行使不可』のスキルがあるから無理なのに何をやっているのだろうか。
しかもLV4だ。ダメなほうに天才だ。
不思議に思って聞いてみると、ぽかーんとしていた。
えらくへこんで、店じまいにされ、追い出された。あまり買ってはいないが常連なのに。
このときはイラッとしたが、事情があるなら仕方ない。許そう。
明日、魔王様に聞いた話を教えてやれば機嫌もよくなるだろう。
そしてウェイトレスの仕事だ。
めずらしく、教会の爺さんが来ていた。どうやら後任が決まって、そのうちこの村に来るらしい。
ただ、結構問題児らしい。どこでも扱えないから、この村に押し付けられたそうだ。
村人は微妙な雰囲気になったが、女性だとわかると歓喜していた。とくに若い奴らが。
あと、商人達は明日移動してしまうらしい。リンゴ持ってないから別に良いけど。
護衛の仕事をしないかと言われた。
かなりの高額だが、魔王様のいるこの村を長く離れられないと伝えたら、残念がっていた。
そうしたら、スライムちゃん達はどうかと聞かれた。
ダメではないが、ほかの仕事中なので無理だと伝えた。
これについても残念がっていたが、またこの村を通るのでその時は考えてほしい、とのことだ。
私は無理だが、そういう仕事を請け負うのも悪くはない。しっかり考えよう。
仕事が終わり、部屋にもどると、魔王様がまだ起きていた。
ダンジョンと魔物の件を伝えると、急がなくて良い、とのことだ。
あと、どうでもよかったが、雑貨女が『魔法行使不可』のスキルがあるのに魔法を使おうとしていることを話すと意外なことが分かった。
どうやら、普通は自分のスキルを知らないらしい。
スキルの『鑑定』『分析』を持っている人がかろうじてわかるそうだ。
私はどっちも持っていないというと、私はその上位スキル、『魔眼』をもっているので、わかるのだそうだ。
初めて知った。『魔眼』スキルは激レアだった。
ただ、魔王様が言うには、他の可能性として、『魔法行使不可』を上位のスキルに変化させるためにやっているかもしれない、とのことだ。
どうやら、一部のスキルはLV5になると性能が変わるらしい。
これも初めて知った。
『魔法行使不可』がLV5になるとどうなるのか聞いてみると、『魔法無効』になるとのことだ。すごいな。
知らないかもしれないから教えてあげると良い、と魔王様に言われた。仕方ない、教えてやるか。
しかし、スキルのLV5なんて、見たことがないので、詳しく聞いてみた。
スキルには先天的なもの、後天的なものがあるが、どちらのスキルも最高LV8まで上がるとのこと。
LV4まではスキルの使用回数による熟練度で到達は可能だが、LV5以降は、特定の条件を満たさない限り、上がることはないらしい。
ちなみに『魔法行使不可』をLV5にするにはどうするか聞いてみると、『全属性の攻撃魔法をその身に受ける』らしい。
魔王様、博識すぎる。
明日は仕事以外暇になったので、雑貨女に教えてやるか。
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