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魔王様観察日記 設定集  作者: ぺんぎん
魔王様観察日記(原型、日記バージョン)

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報奨金

 ○月×日

 今日も元気に仕事に向かう魔王様に、ピーマンを残さないように伝えた。


 すごく絶望した顔になった。申し訳ないが、魔王様の健康のために心をオーガにする。


 今後、おいしく食べられるように頼んでおきますと伝えたら、すごく嬉しそうだった。


 冒険者ギルドに向かう途中、野盗たちを引き取りにきたというやつらを見かけた。人相悪い。


 受付女は、手続きが終わって嬉しそうだった。


 それと報奨金が出たそうで、盗賊たちを制圧した私にくれた。


 ウェイトレスの仕事何日分になるかわからないが、かなりもらった。大銀貨2枚だ。


 ただ、受付女の話では、これは少なすぎるそうだ。


 魔族だから減らされたのだろうか。でも、この稼ぎならまた野盗が来てほしい。


 それはさておき、今日もギルドに依頼はなかった。いつになったら仕事の依頼が掲示板に張られるのだろうか。


 報奨金と仕事の稼ぎでしばらくは大丈夫だが、もっと稼ぎたい。


 ウェイトレスの仕事をしていたとき、掃除スキルのレベルが上がった。


 大車輪というスキルを使えるようになった。掃除のスキルじゃない。高速洗浄とか覚えたかった。


 スキルを発動させたら、モップが回転した。


 モップについていた水が周囲に飛んで、宿屋の親父さんに怒られた。失敗した。


 今日の客入りは普通だった。楽で良い。


 宿屋の親父さんは何かしら客を呼ぶための対策をしないといけない、と言っていた。忙しくなるから余計なことはするな。


 おかみさんの料理だけで十分だと思う。むしろ食堂を潰して魔王様の専属になってほしい。親父さんはいらない。


 部屋に戻ると魔王様はまだ起きていた。どうやら明日は畑仕事をお休みらしい。今日は夜更かしのようだ。


 報奨金を渡そうとしたら、お金の管理は私に任せると言われた。


 魔王様の信頼に応えなければいけない。冒険者ギルドの金庫でしっかり管理しよう。


 ――――――――――


「休みの前の日ってなんかうれしいよなぁ。することなくても夜更かしするなぁ」


 ルゼはうんうんと頷きながら言った。


「魔術師ギルドは定期的に休めるのですか?」


「ん? メガネは違うのか? 魔術師ギルドは週休二日だな。全員が同じ日に休まないように、休む日は皆で違うけど」


「たまには休めるのですがね……。大体、休みの日は家族サービスですよ……」


 スタロは遠いところを見ている。哀愁の言葉がよく似合う。


「アビスも月に一回ぐらい閉鎖してみましょうかね。その日は絶対に休もう……」


「切実じゃな。しかし、そんなことをしては、冒険者達から反発されそうじゃがのう」


「まあ、そうですが、アビスの魔物はやる気がない日がありまして。魔物が襲ってこなかったり、逃げてしまったりする日があるのですよ。そういう日は休みで良いのではないかと」


「おもしろいですわね。魔物のことでしたら……、魔族のアールさんはなにか御存じですの?」


「いや、知らんのう。夜空に輝く星の影響を受けるという魔物はおるが、どちらかと言えば狂暴になるのう」


「あ! 魔物さんもその日はお休みなんですよ! もしくは疲れちゃったとか!」


「市長を差し置いて魔物が休みですか。それに私の方が疲れてますよ。フフフ……」


 スタロはメガネをくいっと上げて、ニヒルに笑った。アビスが踏破されたということで、このところ、市長のスタロに問い合わせが殺到しているのだ。一部の貴族からは、見つかったものを言い値で買い取るから横流ししてほしいとまで言われている。それだけならまだしも、盗賊ギルドから狙われており、安心して眠ることができなくなっていた。


「なにがあったのか知らねぇけど、まあ、元気出せよ。ところでよ、『大車輪』て、『掃除』スキルから覚えられるもんなのか?」


 スキルには、基本スキルと派生スキルが存在する。基本スキルには、『料理』『掃除』『剣術』等があり、訓練することで覚えられる。


 派生スキルは、基本スキルや派生スキルのLVが上がった時に覚えられる。覚えられるスキルは、LVの上がったスキルに関連するようなものが多いが、何を覚えるかはランダムで、稀にまったく関係のないスキルを覚えることが確認されている。


「……どちらかと言えば『槍術』のスキルだな。ただ、スキルの派生というのは、まだまだ謎が多い。だから『掃除』スキルから覚えても不思議ではない。かくいう私も――」


「まあ、変なスキルを覚えることはあるよな」


「おっさんが言うと説得力あるな」


 フェレスは多くのスキルを持つが、変なスキルも多い。さらにそのスキルのLVを上げるので、余計に変なスキルを覚える。


「たまには役に立つスキルも覚えるぞ。『突指無効』とか」


「微妙ですわね。わたくしは『花粉無効』がほしいですわ」


 勇者ナキアは花粉症に苦しんでいた。春先はあまり外にでない。スギとかヒノキは滅びれば良いと思っている。


「縦ロールは花粉症か。爺、勇者の弱点がまた見つかってよかったな」


「うーむ。エルフかドリアードに頼んで、スギやヒノキのトレントを探してもらうかのう」


 ドリアードは木の精霊である。木に詳しく、エルフと仲が良い。木を傷つけると激怒する。あと、面食いでショタコン。


 トレントは木の魔物で、普通の木に見せかけて襲ってくる。光合成もする。


「トレントを集めてナキアさんを倒すのですか? トレントはそれほど強くないので勇者以外でも倒せますよ?」


「勇者に魔界を攻め込まれた時の防衛策じゃよ。ダンジョンに配置させるんじゃ」


「なら、春以外の時期に攻めますわ」


 こうして魔王の花粉防衛作戦は失敗に終わった。


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