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魔王様観察日記 設定集  作者: ぺんぎん
魔王様観察日記(原型、日記バージョン)

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30/53

夜盗

 〇月×日

 どうやら村が野盗とやらに襲われていた最中だったらしい。


 丁度、村に着いた魔王様と私を旅人と思って、縛って小屋にいれたようだ。


 朝になって魔王様に念話の魔道具で挨拶をしたら、その旨の話を聞けた。


 まかせるから制圧しておいて、とのことだった。魔王様は、朝、弱いから仕方ないな。


 私にまかせてくれたので、品種改良した戦闘用スライムちゃんを3体呼び出して野盗達を制圧した。


 私を笑ったあの男は、私が直々に殴った。ワンパンだ。村人にちょっと引かれた。


 捕まえた野盗たちは、冒険者ギルドの地下にある牢屋に押し込めた。


 東にある町から衛兵を呼んで引き取ってもらうらしい。


 村人がお礼を言ってきたので、リンゴをくれといったら、村にはないそうだ。


 しばらく村に滞在したいと言ったら、御礼に1週間ぐらいはタダで宿屋を使って良いことになった。


 食事もタダで出してくれるらしい。これ重要。


 ただ、それ以上滞在するなら、お金を払って宿に泊まってほしいとのことだ。


 人族が使っているお金なんて持っていない。これはなんとかしないと。


 あと、自分が魔族だ、と伝えると村人達はビクッとしてた。


 怯えてはいたが、助けてくれた恩があるし、暴れるようには見えないので、好きなだけいてくれ、とのことだ。いい奴らだ。


 今日はもう眠い。これからのことは明日、魔王様に相談しよう。


 ――――――――――


「やっぱり野盗か」


「縛られる風習があるわけねぇよ」


「そんなことよりも、戦闘用スライムちゃんとは何ですの? 品種改良したとありますけど」


「品種改良――簡単に言うと、魔物を強化することじゃの。魔物に魔力を付与して普通よりも強くするんじゃ。強制進化ともいわれているが、付与した魔力の大きさによっては、珍しい称号のようなものも付くのじゃよ」


「そんなことができんのかよ。例えばどんなのが付くんだ?」


「よくあるのは、大罪シリーズじゃ。儂、一度で良いから、サキュバスに、『色欲』を付けたいのう」


 サキュバスとは、破廉恥な女性型の魔物だ。『色欲』が付いたらもっと破廉恥になる。


「エロ爺が。チビスケもいるんだから自重しろ」


「おっと、これはすまんの。気を悪くしたかの?」


 アールはアリアに対して謝った。ただ、リアはサキュバスも『色欲』もよく分かっていなかった。分かってはいなかったが、なんとなく、聞いてはいけないようなものと思って聞かなかったのだ。リアの持つ『危険回避』スキルのおかげだ。


「はい? 大丈夫ですよ? よくわかりませんが、魔物が強くなるのですね?」


「そうじゃ。称号によって上がる能力が変わるから、種族に合った称号が良い。ただ、ランダムでのう。狙って付くものではないのじゃ。ちなみに大罪シリーズでは『怠惰』は大ハズレじゃ。逆に弱くなるのう」


「シリーズということは、ほかにもあるのですか?」


「うむ、魔界でもあまり見かけんが、八犬シリーズとか、タロットシリーズとかあるのう」


「その称号が付いた魔物は強いのですわね?」


 ナキアは、ニコニコしながらアールに聞いた。ただし、ちょっぴりヤル気が漏れている。


「まあ、そうじゃのう、大概は強い。とはいえ、滅多に見かけるものでもないのじゃ。そもそも、魔物の強化は結構難しいので、だれもができるわけではない。そう考えると日記の筆者はかなりの実力者なのかもしれんの」


 ナキアが怖かったので、アールは話を日記に戻した。


「魔王の従者をしてるみたいですからね」


「あのー、それにしては、この魔王があまり活躍していない感じですが」


「そうですね。魔王が本気を出せば強い、という記述はありましたが、実際は筆者が色々やってるみたいですし」


「それに、朝、弱いというのは低血圧ですわね。もしそうなら親近感が湧きますわ」


「勇者が魔王に親近感わくなよ。というか、お前も低血圧か。勇者のくせに」


「それは偏見ですわ。勇者だって、魔王だって、低血圧なのは仕方ないですわ」


「儂は腰痛持ちじゃ」


「爺、そりゃ年だ。引退しろ」


「後継が育ってなくてのう。しばらく引退はないの。儂を倒せれば、次の魔王なんじゃがな」


 魔王は実力制となっている。魔王を倒せるものが次の魔王となる。ここ数十年、アールより強い魔族は出ていないのだ。


 スタロは、このまま話が進むと、ナキアがウキウキしそうなので話題を変えるように言った。


「他に日記内の話で気になる点はありますか?」


「あのー、冒険者ギルドって昔からあるのですか? それに牢屋もあるみたいですけど」


「そうですね。冒険者ギルドはかなり前からありますよ。とはいえ、小さな村のギルドに牢屋があるのはめずらしいのですが」


「昔は悪いことをする奴が多かったんじゃねぇの?」


「ありえますね。まあ、今でも野盗はいますが、昔はもっと多かったでしょうし、暴れる魔族もいましたから」


「じゃあ、1000年前の日記だとすると魔族が来たらやばいんじゃないか? 日記の中では村人が怯えてはいたみたいだが」


「……そうだな。本来、魔族と人族は常に殺し合いをしていたほどだ。村とは言え、こんな簡単に魔族を受け入れるとは珍しい。そもそも魔族と人族は――」


「50年間争いがなかった、と、野盗から救ってもらった、ということがあるので受け入れられたのですかね。例えそうだとしても、興味はありますね。村の名前とか分かるといいのですが」


「1000年前の村って、今もあるのか?」


「ああ、それは盲点でしたね。村の名前がわかっても、現存するかどうかわかりません」


「そのあたりはエルミカさんにお任せすれば良いのでは?」


「……うむ。その辺は任せてくれたまえ。そもそも村というのは――」


 その後、誰も話題を変えれなかったので、エルミカの村に対する考察が延々と続いた。


 軽く拷問だった。


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