青
春の暖かな空気にまどろみに誘われながら、窓の外を眺めているとどこかのクラスがグラウンドで体育の授業を受けていた。
……どうやら4組のようだ。
楽しそうにソフトボールに興じる女子達から少し離れ、端っこの日陰に一人。
「はる」が立っていた。
半袖ではまだ少し肌寒いのか、片腕を寒そうに掴んでいる。
憮然な顔をしていたはるを暫く眺めたあと、教室へと意識を戻すと、平安時代の恋の話を白髪の先生が子守唄のように朗読している。
ほととぎす
鳴くやさ月の
あやめ草
あやめも知らぬ
恋もするかな
身の程知らずな恋に夢中になる
そんな内容の短歌だった。
心中を赤裸々に表した文字達に、まるで僕の心の中まで明かされたようで心持ちが悪くなり、また窓の外へと視線をずらす。
はるに打順が回ってきたようだ。
楽しそうにしていた女子達から笑顔でバットを渡され、無理に浮かべた笑顔でそれを受け取っている。
バッターボックスへと歩くはるが、ふとこちらを見た。 目が合う。
ー心臓が跳ねるー
はるはいたずらを見つかった子供のように、困ったなと恥ずかしそうに笑う。
僕も何か返そうとして、顔がひきつり、思わず顔を反らしてしまった。
先生が黒板を消し始めたのを見て、慌ててノートに写し始める。
必死の努力も空しく、黒板から白い文字は姿を消して黒一色へと変わっていく。
外からカコーンという快音が響き、黄色い歓声が聞こえる。
僕は中途半端なノートを諦めて、またはるに視線を戻す。
はるは2塁から3塁へと走っていた。
僕から離れていく小さな背中はそれでも僕より力強く、しなやかで、どんどん僕から離れてく。
得点番は0から1へと変わっていた
また、僕の知らない彼女に変わってく




