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転生したら鳥でした   作者: 小鳥遊あそぶ
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ヒナとしての決意

 全身が痛いし体が重い。

 サイコパス野郎に巣から突き落とされたが、死ぬことは無かった。

 しかし、生まれてから何も食べておらず、高所から落ちたのは致命的だ。


(お腹空いたし、体も動かない)


 声も出ない。

 とにかく飯だ、親を頼れないなら自力で食うしか無い。

 でも、ヒナの食い物って、


(虫だよな……)


 俺、ミミズ食おうとしたし、元人間とか今は気にしたらダメだな。

 まさか早くも転生チートを使う時くるとは。

 俺は前世の知識から一つの情報を取り出した。


(ミミズ堀だ)


 兎に角、やることは決まった。

 俺はクチバシ地面に突き立てる――――――


(硬い!)


 うそだろ、地面が掘れない。

 もうこうなったら、贅沢は言えない、食えそうなら何でもいい。

(鑑定しまっくてやる)。

 俺は周りを鑑定しながら見回す。


『雑草、石ころ』


 ダメだ、食料になりそうなものが無い。

 それに、鑑定を使っていると意識が朦朧とし始めた。


(精神力なよなものでもあるのか? ……わぁっ!)


 思案していると目の前に大きな塊が落ちてきた。


(びっくりした。なんだ?)

 

 落ちて来たものに視線を向ける。


(卵だ)


 目の前に割れた卵が落ちており、黄色羽毛を持つヒナが入っている。

 上を見上げると、サイコパス野郎が巣の上から見下ろしていた。


(あの野郎)


 こうして見てみると全く違う種族だ、技能にあった『魅了』でお母様を騙しているのか?

 目が合うが気にした素振りも見せず、顔を引っ込める。


(今は気にしている場合はじゃないな)


 もう体力が限界だ。目の前のヒナに目を向ける。


(何を考えているんだ俺)

 

 僅かに芽生えた感情を否定するが。


『ヒナの死骸。未熟である為、肉は柔らかく、食べやすい』


(だから何で鑑定する!) 


 俺は目の前のヒナを食おうと本能的に考えていた。これを食えば今は助かると……。


(だから無いって! ふざけるな俺!)

 

 ヒナの死骸っていっても兄弟で、あのサイコパス野郎の犠牲者だ。

 

 それに、

(人間で言えば、胎児を食べるようなものだ)

 

 卵のヒナを食べる文化は地球にもあるが、今の俺はそのヒナなんだ!

 道徳感情と生存本能が俺の中で渦巻く……。

 そして頭上の巣を見つめて決意を決める――――――


(お前の敵は絶対に取ってやる)


 俺はヒナの死骸にクチバシを突き立てた。


 


  




 後悔してももう遅い。自分の為に兄弟を食った。

 消える事の無い事実だけが俺の中に残る。

 しかし、そのおかげで体力も付いたのは事実だ。目の前の食い散らされた兄弟を見つめ、黙祷を捧げる。


(今後の計画を考え無ければ)。

 

 道徳をすてたが、今を凌いだだけに過ぎない。

 ここは森の中で、俺は助ける親もいない美味し餌だ。


 しかし、

(サイコパス野郎は絶対に倒す)。


 その為には自力でこの森を生き抜かなければならない。


 ん?

「ピ?」


 異変に気づく、いや気付かなければいけなかった。


(他の卵は無いのか?)

 

 そう、俺が食べたヒナ以外の卵の痕跡が見つからないのだ。

 サイコパス野郎は俺を落とす前に、卵を一つ落としていた。最低でももう一つ落ちてはずがだ。


(怖いぐらいに何も無い)


 全身から鳥肌が立つ。別にギャグで言った訳では無いぞ!

 ここにいたらヤバイ、これには本能と知識も同意見だ。

 俺は直ぐに移動を始める。兄弟を放置するのは気が引けるが、今の俺に土葬とか無理だ。

 周りを見回し、身を守れそうな場所をさがす。

 その時、茂みが僅かに動いたのを捉えた。。


(何かいるのか?)

 

 本当に僅かな動きだ、虫かも知れない。

 しかし、今の俺に油断している余裕はない。


(鑑定してみるか)


ステータス

レベル:13/30 ランク:F

名前:無し 種族:スモッグスネーク

属性:毒  技能:偽装

補足:毒性の霧を鱗から放出し、近づいた者を麻痺させる。好物は卵。


 コイツだ! 間違い無い。ここに落ちた卵はこのスモッグスネークに喰われたのだろう。

 鑑定があって良かった。ステータスを見る限り、近づいていい相手で無いのは確かだ。


(ここにいるのは危険だ、早く移動しよう)


 安全な場所とかいっている場合ではない。

 俺は鑑定しながらスモッグスネークとは反対側の茂みに入ってく。

 

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