15 誓い
どうも、ヤタヌスヲノヌスです。
今回は前回等の貴志編のスイッチ回を含んでいます。
(実は昨日の2話投稿で投稿しなくて良いとか甘いこと考えていた。)
それでは15 誓い です!
「茶番をするためにこれを見に来た訳じゃないだろ?」
貴志はあちゃー、と目を右手で抑えると申し訳なさそうに切り出した。
「悪いけど、多分これは会社の裏の顔ってやつだ。
一回見たら逃げられはしないよ。」
一番驚いていたのは榛夜だった。
「え?マジ?」
顔から榛夜独特の朗らかな笑顔は消え去っていた。
笠楽は無言で頷いた。
神は焦って笠楽に質問した。
「と、言うことは私達も例外じゃないってこと?」
笠楽は軽く頷いた。
「この会話も多分何処かで盗聴されてたりする可能性があるから、襲われるかもな。」
榛夜は少し顔をしかめて言った。
「どんな対策すりゃあいいんだよ。」
貴志はからかうように言った。
「家にゴキブリ取り仕掛けるとか?」
榛夜はそれを割りと真面目に受け止めていた。
「そんなんでいいのかよ?!」
笠楽の予想通りそんな会話を永連雪菜は全て盗聴していた。
教卓の上に置いたファイルに挟んである端末からだ。
そして、無言で無線に口を近づける。
「今の5人に一人ずつ《chw》を投与しろ。
適合者がいるかもしれない。
それに抵抗組織の決心がついた以上投与後に危険性があったとしても多少問題はないだろう。」
そう言って無線を切った。
先程の会話から程無くして、俺は教室に帰ってきた。
そして山門は皆に言った。
「皆、屋上に来い。
勿論、帰りの準備をしてな。」
屋上で山門はアクチノールが黒だということを話した。
十騎の記憶の話は何故かチェックノートにまだ伝えるなと記されていたので伝えなかった。
皆が黙り込んでしまったので俺は皆を自分の敵の標的にさせてしまった事に謝罪を始めた。
「皆、悪い。
元々は俺と貴志で追ってたんだ。その、アクチノールを。
実は今日の今日まで尻尾すら掴めなくて、敵が誰なのかすら分からなかった。
ましてや、このように、皆を巻き込むはめになってしまった。
俺の最大のミスだ!
すまない。」
俺は頭を下げる。
榛夜は前に出てきて、手を顔付近に近づける。
殴られる?
と思ったが、案の定榛夜の手は俺の頭を掴み無理矢理頭を上げさせただけだった。
その上で榛夜は言った。
「水臭ぇ。」
榛夜に殴られるかと思っていたので何か力が抜けてしまった。
「あぁ。」
そんな俺を見ながら榛夜は続けた。
「俺らはもう、仲間だ。
そして友達だ。
それに勝手に貴志の携帯を見たのも俺らだ。
悪いけど最低でも俺は友達を守りたいから。
友達のためとなりゃあどんなに面倒な話でもついていくぜ。」
恵鷹も続いて口を開いた。
「そうだよ!
私もこの先どんな辛い未来が待っていたとしても私が死んだとしても、ついていく!十騎に。
それしか道がないんじゃなくて、私個人の意思で!」
笠楽も神も軽い笑みを浮かべて頷いている。
俺と貴志は何となく顔を見合わせた後、俺は皆に聞く。
「相手はアクチノール。
凶悪にして巨大な組織だが、俺らは6人。
戦ってくれるか?」
神はいち速くそれに答えた。
「うん!
と言うか、相手が組織なら私達も組織になればいいんじゃない?」
笠楽も口を開く。
「賛成で。」
俺は驚いた。
ここまで必死になっている皆に。
だが、今の神の一言には理解が追いつかなかった。
神は説明をする。
「つまり私達6人の組織になるの。
そうすれば組織対組織でしょ?
どう?」
榛夜はそこではじめて気付いたかのように言った。
「あぁ、俺も賛成だな。」
恵鷹は質問をした。
「それでも、組織の名前はどうするの?」
一同考え始める。
が、3分後。
「うー…何も、思い付かない。」
恵鷹が苦し紛れにそう言っうと貴志が俺の方を見た。
「あぁ、俺もだ。」
貴志の提案で、思い付いた意見を言っていくことになった。
まずは貴志から意見を言った。
「俺は、have ill feelings implementsなんてどうかなと思ってる。」
恵鷹は素直に聞いた。
「わー、英語。
どういう意味があるの?」
「それは、(気分が悪い)
って意味だ。」
神は言った。
「長くない?」
意味には触れないのか。
結構意味深ではないか?
その神の反応に笠楽は言った。
「省略すれば良いんだよ。」
それを言われて神は省略する。
「え…と、頭文字をとってHIFIとか?」
榛夜は貴志に聞く。
「なんか聞いたことあるな。
何だっけな。」
貴志が口を開く。
「あぁ、それなら多分、一世代前の旧式機械にそんなんあったぞ。
高忠実性がモットーだそうだ。
ってかお前よくそんなん知ってるな。」
榛夜は感心して言った。
「まぁ、ウチにあってな。
流石に貴志はその手のものは詳しいな。」
貴志はそれに「まぁな」と得意気に答え、賛否を問うた。
「この組織名でいいか?」
全員賛成のようだ。
俺は片言で言った。
「じゃあ、ここにHIFIとしての固い約束は結ばれた。
いつ何時、誰かに異変が生じたら素直に知らせる事。
そして、仲間として一生やっていくことをここに誓う!」
皆はノリで円になり手を組み始めた。
「俺達だけの約束、完遂して、誰一人として死なせない!
どんな状況でも希望を持つこと!」
「お~!」
俺はその先言う事が思いつかなかったので言った。
「今日は帰ろう!」
みんなに明らかな困惑の色が伺えたが返事は返ってきた。
「お、お~!」
そして円陣をといて各自帰宅を始めた。
お読みくださりありがとうございました。
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