9 教師
どうも、ヤタヌスヲノヌスです。
少々時間が遅くなりまして申し訳ございません。
楽しみにしていただいていた方、ありがとうございます。
⑨話目教師です!
どうぞ!
ガラガラガラッ!
教室の前のドアが開いた。
先生の御登場だ。
先生はゆっくりと入って来た。
すんげぇ若い女の人だ。
しかも可愛い!
これは普通に当たりじゃね?
興奮の中にふと、何か思い出のようなものが重なって見えた。
まさか、な。
この人とあったことがあるとか思うなんて。
最近は綺麗な人を見るたびにこれだ。
俺もつくづく終わりだな。
俺がそう思っている間に先生は自己紹介を始めた。
「私は、」黒板に名前を書き出す。
「永連 雪菜です。
何か質問はありますか?
何でも良いですよ。
なければ雑談をしますが。」
最前列中央、榛夜のとなりの男子が立ち上がる。
「先生ッ!彼女いますか?」
クラスから嘲笑の笑いが出る。
「…いないです。」
…あれ。
何で今少し心がスッキリしたんだ?
さらにその生徒は質問を続けた。
「先生ッ!トシはいくつですか?」
永連先生は生徒の前まで行き、顔を近づけて言った。
「27です。若いでしょう?」
「ハイッ!お若いです!」
何か、このクラス面白おかしい男子が多いな。
楽しくなりそうだ。
て言うか、先生若い。ガチで。
先生は満足そうに微笑むと言った。
「他に質問がなさそうなので点呼しますよ。」
「阿井さん」
「ハイッ!」
…
「惠鷹さん」
「ハイッ。」
改めて聞くと声可愛いな。
…
「楠木…くん」
今の隙間は何だ?
「はぁいッ!」
…
「渡部くん」
「アイッ。」
これで全員。
41人か、割と多いな。
「今日は授業が無いので、生徒同士の交流を深めるために何か雑談でもしていて下さい。」
うわっ、マジか。
周辺で話す人はーっと。
惠鷹、神あたりだよね。
どんな話題がいいのかな?
よぉし、
「惠鷹。俺は恵鷹を何て呼んだら良いかな?」
惠鷹はすぐに答えた。
「今は惠鷹って呼び捨てが良いかな。」
え、何か凄く『今は』ってのが引っ掛かるんだけどそれは置いといて。
「分かった~。
これから惠鷹って呼ぶね。」
惠鷹かぁ固苦しぃなあ。
惠鷹は何気なく聞き返した。
「逆に私は楠木君の事をどう呼べば良い?」
暫し詰まった。
だが、すぐに答えは出た。
「楠木。だな」
「え?」
惠鷹は目が点になった。
なぜだ?
「十騎でも歓迎。」
「わかった~、十騎って呼ぶね~。」
そうか、そういうことだったのか。
あ、そうだ。
「唐突だけど、ハイ&ローゲームやらない?」
恵鷹は首を傾げた。
「えぇっと?何それ?」
俺は人差し指を立てて説明を始めた。
「自分で1~999までの数を適当に決めて、それを当てるんだ、当てる人は適当に数を言って、当てられる人は言われた数以上だったらハイ、それ以下だったらローって答える訳。
じゃあ、やろう。」
恵鷹はあまりの段取りの良さに戸惑った。
「え?段階早くない?」
俺はそれを受け、心持ちをスローペースに転換した。
「そうか?」
恵鷹は頷き、その衝撃で前に出た髪の毛を後ろへと戻しながら言った。
「うん、まだ数決めてないし。」
「んじゃあ~、決めて。」
恵鷹は瞬時に答えた。
「決まった。」
その速さに驚いた。
「はやっ。」
恵鷹は少し目をそらし、永連先生に焦点を合わせるとこちらを向きなおした。
「あの、それよりさ、ちょっと気になっちゃったからその話だけ挟んで良い?」
急な話の転換に謎の嫌な予感を感じた。
「おう。」
恵鷹は真顔で言った。
「先生のことどう思った?」
こいつ…、本当に俺のこと好きなんだな。
「若い方だな、とかくらいかな?」
恵鷹の中で何かが引っかかったようで首を傾げた。
「いや、なんかこうもっと別の感情がなかった?」
親近感なんて言ったら引かれるかな。
遠回しに言ってみるか。
「なんか、誰かに似てるって言うか、なんか見たことある気がするんだよねぇ。」
その時、先生の明るい目が俺を捉え、暫時の真顔の後に笑顔で誤魔化された。
「いや、訂正。
楽しい先生、って感じたかな。」
恵鷹は俺の理解を確認したようで直球に言ってきた。
「じゃあ、私にはどうあってほしい?」
俺は手を顔の前でNOの意で振り、言った。
「俺はそういうの強制しないよ。
恵鷹らしくしていてくれ。
変な縛りは変を生み出すからな。」
恵鷹は笑顔で手を合わせて言った。
「わぁ、カッコいい。
ねぇ、神ちゃん聞いた?今の?」
「神ちゃん?」
神の視線は榛夜にあった。
一目惚れ勢多くね?
「神、何榛夜に見とれてるんだよ。
見え見えだぞ?」
神はビクッとすると焦りを見せた。
が、顔は赤くなっていなかった。
「私はそういうのじゃないから!…でも、ただ…た…。
い~や、まだ言~わない。」
つくづく謎なやつが多いもんだな。
「複雑なんだなぁ、女子って。」
恵鷹にそう語りかけると、恵鷹も俺に対義語で返した。
「いや、男子も単純じゃないのよ。」
「ぷっ。ふふふふ。」
異性が異性について語る状況に不信感よりも先に、圧倒的面白さが到着した。
「なんだろ、コレ。」
咄嗟に5分ほど前に神の言った年下事情が気になった。
「あ、神。そういやお前…?」
神は机に突っ伏して寝ている。
これもまた上手いことやったもんだ。
寝る女子にひたすら話しかける男子なんて相当な絵面だ。
「じゃあ恵鷹。
話戻してハイアンドローでもしようぜ。」
「あ、そうね。」
感想でも残していただけたら嬉しさで部屋を転がります。
お読みくださりありがとうございました!