30 間接戦闘
どうも、ヤタヌスヲノヌスです。
先日、厳しいコメントをいただき、行間に配慮しました。
まぁ、普通なら意識すべきことだったのだと思いますが、ご迷惑をおかけしました。
それでは、30 間接戦闘 です!
恵鷹は聞いたことのない言葉に戸惑っている。
「デッドゾーン?」
ノハさんはそれに気軽に答える。
「あぁ、要するに相手の攻撃範囲内だ。」
神は装甲車についているナビゲーションシステムを見てから驚く。
「嘘?
目的地まで2㎞もあるじゃない?」
シュミーシャさんは助手席からやや顔をこちらに向けて言う。
「相手は現段階で存在する敵で最も強いヤツよ。
この前ボスがいなかったときに現れて私達が向かったけれど壊滅させられたんだから。」
シュミーシャさんは服をまくり、腹部にできた傷を見せた。
「ほら。」
男子一同、目線を変更した。
それにシュミーシャさんは不服を抱いたようだ。
「何よ?
そんなに傷が酷かった?」
ノハさんは思わず苦笑した。
「そこは、察してあげなよ。」
シュミーシャさんはそれを受けてもなお疑問げだ。
「えぇ?」
話題転換に神は疑問に思った事を口にした。
「そう言えば、どうして私達を連れて来たのですか?
これから戦うのって最強じゃないんですか?
やられちゃいますよ。」
ノハさんはかなり調子良さそうに答える。
「それは、社長が圧倒的に強いからだよ。
強い人間がいれば大丈夫。」
暫くの会話的空白のあと榛夜は質問した。
「最強最強、って言いますけど相手はどんなやつですか?」
「それは…。」
人差し指を立ててシュミーシャさんが答えようとした瞬間、字が叫んだ。
「来ますよっ!
散開準備及び、衝撃に備えて!」
連巌さんはまるでこの状況を楽しんでいるかのように言った。
「ようし!子供達を降ろせ!」
え?今、なんて言った?
強い人がいないとボクたち安全じゃな…。
「え、えぇぇぇ!」
恵鷹の絶叫があってから今の発言が現実だと気が付いた。
ノハさんもさっきとはうって変わって叫ぶ。
「心底悪い気がするけど、いいから行けぇぇぇぇッ!」
こういうとき一番前はいつも俺だ。
絶対死なない保証付きだし、良いか。
俺はノリで叫ぶ。
「十騎!降りまあぁぁぁぁぁぁす!」
体感時速数百㎞の車内からスキューバダイビングのように飛び降りる。
高速走行中なので凄まじい衝撃だ。
頭から落下した俺は数十回転してから止まる。
「ノフォォ。」
痛みはない。
そうして、俺のように他の5人も降ろされた。
恵鷹はゴマ粒ほどに見え、神と榛夜は一緒に降りたようだ。
さらに遠くで笠楽が転がっているのが見える。
マズそうだ、あいつギプスだったのに。
そして、空には攻撃らしからぬ光の塊。
空が見えないほどに敷き詰められている。
「あれは、マズい。
字が来るって言ってたのはあれか!
とりあえず、集合だ!」
俺は榛夜の方へ走り出す。
一方笠楽は、左腕を押さえて悶えている。
上空からの攻撃には気付いていないようだ。
そんな笠楽の一番近くにいるのは榛夜だ。
榛夜は笠楽を助けようと策を練った結果、上空の光の塊を撃破することにした。
笠楽付近の上空に向かって手を出す。
「気弾が使えるようになって間もないが、やりようはある!」
榛夜は腕に力を込めた。
「はぁぁぁぁぁぁ!」
今、榛夜が想像していたのは手の平のど真ん中を主体として、円盤状に大きな気弾ができること。
弾道は直線。
それらは、全て彼の思い通りになった。
気弾が構築されていく。
「おぉ?!」
思い通りに気弾ができたことに榛夜は驚いた。
ある程度の大きさになった所で降り注ぐ光に向けて投げつける姿勢で発射した。
「いっけぇぇぇ!」
丁度その時、神は上空を見つめて祈っていた。
「お願い、皆を、私の大切な人達を助けて!」
すると、神に光背ができて降り注ぐ光が少しずつ小さくなっていく。
しかし、
「それでも、ダメみたい?
なら、後は任せたよ!泰輝君!」
榛夜はいつになく自信ありげに言った。
「おう!頼まれた!神!」
不意に榛夜に嫌気が射す。
《まさか、神になる能力の神をもってしても消滅できないエネルギーに俺の気弾が一つでは意味がないんじゃ。》
そんな榛夜にもう一つの心の声が届く。
(手を握って拡散を意識。出来るね?
それができれば最善策よ。それなら皆助かる。)
この感覚は、
「字?!どこから?」
(察しが良いわね、でも今はそんなこといいから!)
「そうだな。」
榛夜は空を険しく見つめ直す。
手を上空に翳し、しっかりと握る。
「拡~、散っ!」
放った気弾は上空で悲惨した。
榛夜は叫ぶ。
「どうにかなれぇぇぇぇッ!」
榛夜の気弾で笠楽付近の上空のみならず、全ての光が消された為、案の定どうにかなった。
これにより空中の光は全て消滅した。
榛夜は自分の底力に驚いている。
「マジか。
マジでどうにかなりやがった。
神以上の力があるって言うのか?」
「榛夜君!笠楽君を!」
神の声だ。
「そうだった!いま行く。」
「いいや、それは俺が!」
俺は、榛夜のところに到着した。
榛夜は心底驚いている。
「十騎?お前来るの速くね?
さっきまで点粒だったぞ。」
「あぁ、衝撃波で自分に追い風みたいなものを作った。」
榛夜はなにかに気づく。
「神、お前光背でてんな。
強そうだし飛べそう。」
「その、え…とね、一応飛べた。」
俺は驚く。
「飛ぶってそんな簡単なものなのか?」
「神…だからかな?」
神は途端に話を変える。
「それより、速く笠楽君を!」
俺は完全に忘れていた。
「ヤバッ、そうだった。」
榛夜は半分行きかけた俺を引き止めた。
「衝撃波が能力ならお前も、飛べるんじゃないか?
そっちの方が大変だろうが、摩擦を考えたらそちらの方がスピードが出るだろ。」
成る程。
「その手があったか。」
その場でジャンプしてから、
「破ッ!」
の声を合図に空中で足を踏み込んだ。
飛…、べた。
衝撃波で自分を飛ばせるということは、
「来ぉぉい!」
衝撃波を操り、榛夜を飛ばす。
「はあぁぁぁぁぁぁぁ?!」
榛夜はいきなり飛ばされたことに驚きすぎて対応に困っていた。
案の定、笠楽のところまで一瞬で到着した。
神も同時だ。
「笠楽ぁ!大丈夫か?」
神は俺と榛夜の前に出る。
「左腕、大丈夫?」
しかし、彼の意識は痛みで少し飛んでいるようだ。
「い…や、死ぬ…かも…な。
いってぇ。」
酷いことに左腕はベトベトだ。
神は笠楽の左腕が取り付いているのを確認すると言った。
「今、私が治してみる!
だって、左腕の怪我だけで死なれても私困るもん!」
両手を前に出す。
「はあぁぁぁぁ!」
神の能力で僅かに笠楽の左腕は流血が止まった。
だが、彼女には今一つのようだ。
「だめ、今の私じゃ、力不足かも。」
しかし、神は彼の治療の手を止めない。
「十騎!無事か?」
そこへ貴志と恵鷹はスーツを中に着て来た。
よく見ると裸の上に着るタイプだ。
気にしない気にしない。
「あぁ、俺はな。
だが、笠楽が。」
「何?!」
貴志と恵鷹は後ろの方から覗き込む。
「えっ。」
途端に神の治療スピードが速まると共に神の光背が輝く。
「え、何?!」
神の背中にあった光背が、笠楽を優しく包む。
そしてやがて光は消えた。
笠楽の左腕は正常に取り付いていた。
「治っ…た?」
「なにこれ。」
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