19 浩銘、貴志、笠楽
夜の投稿となりましたヤタヌスヲノヌスです。
題名に困る日々が続いております。
どのような題名が良いのでしょうね。
悩みはともかく19話です!
「浩銘だが、あいつはオブザーバーってところの一員らしい。」
は?
「ヤバくね? それ。」
貴志は落ち着いた口調で言った。
「いや、それがな…オブザーバーってところはな……。」
暴走列車が瑠璃ヶ原に到着する約5分前の翌空。
貴志は駅を降りて家に向かって歩きつつ、考え事をしていた。
皆からは何かに遭遇しただの襲われただのメールが来てそっちは何かなかったか?とか聞かれたのだが、貴志には一方的に何もない。
果たしてこれはいわゆるラッキーってやつなのだろうか。
仮に無視されていたとしてもそれはそれで嬉しい。
だが、アクチノールから襲われなかった理由はそれではなかった。
「あれは浩銘か? あいつも最寄り駅ここなのかな?
知らなかったな。
丁度良いし、早速話し掛けるか。
お~い!浩銘!」
浩銘は横目でこちらを確認している。
「どっかの茶製品と一緒のような呼び方をするな。
確かお前が貴志山門だったな。 俺は貴様に用事があってな。
貴様の最寄り駅まで来てやった。」
俺の最寄り駅知ってるのかよ。
浩銘は続けて言った。
「まぁな、とりあえず今日は貴様を探していた。 質問事項がかなりあったんだ。」
こいつ、おもったよりしゃべるぞ。
「質問って何だ? 場合により返答不可もあるぞ。」
「質問は大きく分けて2つだ。
1つ目はアクチノールについて、2つ目は貴様の技術力について。
後は乗って貰いたい話がある。」
淡々とした口調で続けた。
「では質問を始める。」
なんか尋問みたいだな。
それより気になることが、
「は?アクチノール?」
何で知ってるんだ?
浩銘は真顔で答えた。
「貴様もアクチノールを追っているのだろう?」
まさか、俺らと種族が同じ系のやつか?
「『も』とは?」
浩銘は表情を渋らせて言った。
「過去にゴタゴタがあってな。
アクチノールとは敵対の身にある。」
貴志は不意に気になった。
「そんな奴がどうしていちいちアクチノールに染まった学校なんかに入学したんだ?」
その質問に浩銘は顔色一つ変えず淡々と答えた。
「潜入捜査兼生徒保護だ。
恐らく俺は奴等にはもう見つかっているだろう。」
浩銘はそのまま一呼吸も置かずに言った。
「そこでだ。
お前も俺らの組織、『オブザーバー』に入らないか?」
貴志は聞いた。
「オブザーバー? それはどんな組織なんだ?」
浩銘はあっさりとそれでもはっきりと答えた。
「過去にアクチノールでゴタゴタがあった奴が世界規模で集まる、って感じで総員約5000人、能力者約50人、って感じで反アクチノールそのものだな。」
貴志はしばらく考えた。
「この問題は俺以外の6人も関わっていることだから、皆で決めるよ。
それと、能力者ってなんだ?」
浩銘は未だ淡々として言った。
「そうか。
貴様はまだ知らなかったな。
能力者とは ある液体や虫を取り入れたりして人外の能力を手に入れた人間のことだ。
榛夜はさきほどなったようだが?」
貴志は驚きをあらわにした。
「榛夜がか?」
浩銘はあっさりと答えた。
「そうだ。 まぁ、これで伝えることは伝えた。
帰らせてもらう。
じゃあな。」
あっという間に行ってしまった。
直後、気が付いた。
「おいおい。 2つ目の技術力って質問はなしかよ。」
さらにそこから少し時間をさかのぼり、笠楽と神。
「はいっ。応急処置できた!」
笠楽はおお〜、としっかりと包帯で巻かれた左腕を見た。
それに対し、神は不安そうに笠楽の目を見た。
「なんであんなことしたのよ。」
笠楽は意のままに答えた。
「使命感だ。
勿論、俺が死んででも周りへの被害を最小限に留めたかった。」
神は顔をしかめた。
「何言ってんの?良い?
笠楽君が死んだ時点で私への被害は最大限だから。」
笠楽は真面目な顔をしていたが、ハッとした。
「あれ?お前は榛夜じゃなかったのか?」
神は当たり前のように笑顔を作り答えた。
「違うよ、だって私と榛夜君はね…。」
刹那、神が引っ張られ、連れ去られてしまった。
「キャッ?!!」
笠楽はそれに心底驚いた。
「おい、神?!
くそっ!まさかアクチノールか?!」
急いで道を曲がり追いかけた、が
「見…失……った。」
しかし、笠楽には闘志があった。
「諦めねぇ!絶対に!!」
その言葉の直後、突如、目の前が真っ白になった。
「光?!」
心当てがあった訳ではないが、見当がついた。
「あれは、神か?!」
全力疾走で走って行った。
「やはりか、神! 無事か?!」
神は道路にうつ伏せになっていた。
さらにその隣には試験管が転がっていた。
その付近には先ほどのゼリー状の液体と一致する液体が飛んでいた。
嫌な予感がする。
「意識制御不可、無差別攻撃を開始します。」
機械的な喋り方するなぁ。
「どうした?!神! いつもよりトチ狂ったか?!」
神はまた機械的な喋り方をした。
「意識再構築、怒りの感情を認識しました。
意識再開まで3……2……1。
…っるさいわね!」
多重人格か?!
「トチ狂ったかとか言うな!」
神は右手に光を集め、剣状の何かを作り上げた。
そしてそれを振り回してきた。
それを瞬時に剣で受け止めた。
「うわっ?!
危ねぇ、右手が死んでたら剣が抜けなくて即死だったぜ。」
「死ね!」
神はさらにヒートアップした。
光を変形させ、上手いこと剣を掴み投げ去った。
「何だと?!」
笠楽は拳を握り、意を決した。
「こうなったら、もう感情論しかねぇ!」
それを言う間にも神は光状の剣を刺してきた。
「はぁっ!」
笠楽はわざと避けずに左手で受け止めた。
光の剣は左腕を貫通した。
「ぐあぁっ!
いってぇ〜!!」
ここだ、感情論をぶつけるならここしかない!
「神、お前、さっき、俺が好きまがいな話ししたよな?」
神の動きが停止した。
「う…。」
効いてるのか??
続けてみるか。
「今まさにお前の攻撃を受け止めた俺の左手に巻いてある包帯もお前が優しく巻いてくれた。 覚えていないか?!」
神は大きく仰け反った。
「うぁ…え…つー………。」
笠楽は左腕の傷の具合を見ながら微笑んだ。
「神、俺はすんげぇ嬉しかった。 ありがとな。」
そう言って、前に倒れこんだ。
これはわざとではなく、本当に気力的に限界だったからだ。
その笠楽を人は受け止めた。
「駄目ッッ!死んじゃ駄目!駄目ッッ!駄目ッッ! 殺さない!最後は私が守る!」
神は泣き崩れた。
「戻ったか? 安心しろよ、まだ死なねぇと思うからさ。」
笠楽は神の涙を拭った。
「ごめん、笠楽君、ありがとう。
……助けられちゃった。」
笠楽は精一杯微笑んだ。
「気にすんなよ。 俺だってお前に助けられたんだからよ。」
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