第六話:果てしない拷問
今回は少しグロテスクな表現があります。
「さて、そろそろ本腰を入れて誰の差し金か聞きだすか」
コーヒーを飲み終えテーブルに置き立ち上がる夜叉王丸。
「ほぉう。お前が直々に吐かせるとは・・・・・・・・奴が哀れだな」
夜叉王丸を愉快そうに見ながらフォカロルも立ち上がった。
「俺も付き添いで見て良いかな?」
「別に良いぜ。見られて困る訳じゃないし」
フォカロルの同行を快く了承する夜叉王丸。
「では、行こうか?」
「あぁ。行くとしよう」
二人は肩を並べ地下牢へ向かった。
地下牢は屋敷の夜叉王丸の直ぐ近くでヴァレンタイン達の部屋からは離れて作られていた。
地下牢へ通じる階段を下りると一つの牢屋にたどり着いた。
ドアを開け中に入ると逆さ吊りにされ身体中から血を流し満身創痍の男と汗だくだらけの拷問官がいた。
「男爵様、将軍」
拷問官は二人に会釈した。
「まだ吐かないんだって?」
煙草に火を点けながら尋ねる夜叉王丸。
「はい。こんなタフな奴は久し振りです」
「おい。お前は誰の差し金だ?」
男に近づき尋ねた。
「さぁ?誰の差し金でしょうね?」
男はうっすらと笑った。
「その根性は認めるが何時まで持つかな?」
火を点けたばかりの煙草を男の頬に押し付ける夜叉王丸。
「ぐっ・・・・・・・」
「熱いか?熱くないか?」
「・・・熱くないですね」
しれっとして答える。
「ふーん。ならもっと熱くしても大丈夫だよな?」
夜叉王丸は男の足元に二本の五寸釘を刺した。
「がぁ!」
「まだまだ」
男の足元に魔術で浮かぶと百目蝋燭を二本、釘の尖端に差し込んで火を点けた。
蝋燭は見る見る溶け蝋が傷口に流れ込んだ。
「ぎっ、あがっ」
「どうだ?吐くか?」
「な、なんの・・・・・・・・・・」
「これでも吐かないのか?」
些か驚いた声を出す夜叉王丸。
「それじゃ、もう少し痛い拷問をするか?」
床に降りるとテンガルハットを取って顔を扇いだ。
「熱いな。お前も熱いだろ?」
「え、えぇ。熱いですね」
脂汗を流しながら男は答えた。
「おい。桶に水を入れて持って来い」
夜叉王丸は拷問官に命令した。
「“ぶりぶり”をやるんですか?」
「あぁ。熱いなら冷やしてやらないとな」
拷問官の問いに新たに煙草を出しながら答える。
「畏まりました」
拷問官は一礼して部屋を後にした。
「“ぶりぶり”?随分と品の無い名だな」
「俺が付けた名じゃない」
フォカロルの言葉に不機嫌そうに答える夜叉王丸。
「それなら自白するのか?」
「さぁ?吐かないなら仕方ないから傷口を鼠にでも噛ませて死なせる」
「なっ・・・・・・ね、鼠っ」
男は怯えた声を出した。
「・・・・・どうやら鼠が嫌いらしいな」
ニヤリと笑う夜叉王丸。
「男爵様っ。水を持って来ましたっ」
拷問官が仲間を数人に担がせて桶を担いできた。
「わりぃ。やっぱ水いらない」
「えー!!」
拷問官達はその場に座り込んだ。
「わりぃわりぃ。詫びに今夜は飯を奢ってやるから」
「ぶー、分かりましたよ」
拷問官達は渋々ながら承諾し戻って行った。
「人使いが荒いな」
「俺は後で報酬を払う。ただ働きをさせる将軍に言われたくないな」
「・・・・・・・・」
フォカロルは何も言えなかった。
「さぁて、あいつらが戻るまでもう少し痛めるかな?」
無言でフォカロルを無視して夜叉王丸は人が悪い笑みを浮かべて男に向き直った。
「ひ、ひぃっ!!」
この数分後、男は鼠に傷口を噛まれ死ぬ済んでの所でヴァレンタインを殺しすように命を出した輩の名前を漏らし死んだそうだ。
グロですいませんでした。