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第二話:隻眼の天使殺し

少しシリアスな作品になる可能性があります。

私は男が名乗った名前が頭から離れなかった。


・・・・・・・・地獄帝国男爵、飛天夜叉王丸。


彼の名前を知らない天使部隊は恐らくない。


彼は数多くの戦で手柄を立て数え切れない程の天使を殺してきた。


助けを願う天使を八つ裂きにして血肉を食べる隻眼の天使殺し。


仮に助けられても生きたまま獣の餌にされると噂で聞いた。


出陣前に上官からも夜叉王丸男爵に捕まったら自害しろと言われた。


私は思考を中断し食事に使ったナイフを取り首筋に手を当てようとしたが


「・・・・何をするつもりですか?」


ナイフを取り首に当てようとした手はメイドのレイアによって止められた。


「・・・・・くっ」


私は腕を振り払おうとしたがメイドとは思えない力で無理だった。


「私は男爵様から身の回りを旺盛つかりました。変な真似はしないで下さい」


華奢な腕からは想像できない万力で私からナイフを奪うと食器と一緒にトレイに乗せ部屋から出て行った。


「・・・・・・・」


後に残された私は握られた手を抑えながらソファーに倒れた。


「・・・・・・私、これからどうなるのかな?」


不安を隠せずに私は瞳を閉じ痛みを忘れようと務めた。















ヴァレンタインの部屋を去ったフレアは食器を台所に置くと夜叉王丸を探しに向かい屋敷中を歩き回った。


この洋館は天界に割りと近い場所に作られた要塞として魔界のフォカロル将軍が所有していたが戦で陣を構える時に夜叉王丸に貸し与えたのだ。


現在、この屋敷に居るのはフレアと夜叉王丸とフォカロルの兵達しかおらず夜叉王丸の軍は戦後の後始末などで幹部を含め遠出していた。


「ここに居ましたか。男爵様」


屋敷の端に存在する図書室で夜叉王丸はフォカロルとチェスをしていた。


「ん?どうした?フレア」


左目だけを動かして尋ねる夜叉王丸。


「はい。実はヴァレンタイン令嬢の事について・・・・・・・・・・」


「ヴァレンタイン?あぁ。あの一人だけ帰還を許されなかった哀れな天使の娘か」


白いナイトをチェス盤に置きながら思い出したように口を開くフォカロル。


「その天使の娘が何かしたのか?」


「はぁ、ナイフで自身の首を切ろうと・・・・・・・・・」


「なにっ?」


フレアの言葉に眼を見開く夜叉王丸。


「・・・・・自害する気だったのか」


対してフォカロルは冷静だった。


「大方、お前の在りもしない噂を真に受けて自害しようとしたんだろうな」


「・・・・・・・・・」


「お前が気に病む事じゃない」


沈痛な表情をする夜叉王丸にフォカロルは慰めの言葉を掛けた。


「それで子爵令嬢は?」


「私が何とか止めましたが、あの様子では恐らく隙あらば自害、脱走をするのではないかと・・・・・・・・」


「・・・・そうか」


重い表情の夜叉王丸を見ていられずフレアは一礼して部屋から出て行った。


フレアが出て行ってから夜叉王丸はポツリと漏らした。


「出来るなら天界に返してやりたいんだが・・・・・・・・・・」


「ほぉう。豪く面倒見が良いじゃないか」


夜叉王丸の言葉にフォカロルは意外そうな声を出した。


「隻眼の天使殺しの異名を取るお前が何で天使の娘にそこまで協力的なんだ?」


「・・・・・・一人だけ故郷に帰れないのは悲しいだろ?」


黒のビショップを動かしながら真面目な返答する夜叉王丸。


「それだけかな?」


フォカロルは意味有り気な笑みを浮かべた。


「・・・・何が言いたい?」


不機嫌な声でフォカロルを睨む夜叉王丸。


「いや、何でも」


夜叉王丸の睨みを軽く避けながらフォカロルは小さな笑みを浮かべクィーンを動かした。


シリアスな作品はあまり好みじゃないのにそんな作品になりそうです。

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