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逸話:二人で月見

更新が遅れてすいません。試験勉強で遅れています。

「・・・・・・・・・」


夜の星空に浮かぶ三日月を見ながら私は一人で考えていた。


フレアから言われた答えは私を魔界に連れて行っても良いとの事だ。


『男爵様の客人として魔界に連れて行きます』


答えを聞いて私の中にあった不安は一掃され嬉しさが占めた。


何で嬉しいのか解らなかった。


自分で言っておきながら自分の行為が理解出来なかった。


しかし、そんな小さな疑問や不安を消し去る程に今夜の月は綺麗だった。


こんなに綺麗な月は天界でも見れなかった。


月の放つ幻想的な光で屋敷中が輝いた。


窓から覗くと中庭にある木の下で酒を呑む男爵の姿が視界に入った。


月の光を浴びて輝く木の影に座り酒を呑む男爵はちらりと私の居る部屋を見てきた。


男爵の黒い瞳は闇の色で逸らす事も出来ずに引きずり込まれる。


男爵は人差し指で私に来いと仕草をした。


私は逆らう事も出来ずに部屋を出て男爵の元へと向かった。


中庭に出ると男爵が私から視線を外し再び月を見上げていた。


男爵の視線が外れると哀しさと安心感が芽生えた。


もっと見ていて欲しい。


否、あの瞳に見つめられ続けたら私、どうなるか解らない。


「・・・・・宵い月だ」


男爵がぽつりと漏らした言葉。


いつもの威圧感はないが代わりに悲哀感があった。


「・・・あの、男爵様」


私は意を決して口を開き男爵に近づいた。


「なぜ、私を魔界に連れて行くのを了承して下さったのですか?」


口から出たのは本当に聞きたい事ではなかった。


「フレアからの言葉など一掃できたのではないですか?」


「・・・・・さぁ、何故かな?」


少し考えた様子で答えた男爵。


「あんたの言う通り、断る事も出来た」


朱杯に透明な液体を注ぎながら喋る男爵。


「だが、断らなかった。敢えて言うなら気まぐれ、とでも言っておこうか」


朱杯に注いだ酒を飲みながら答える男爵。


「気まぐれ、ですか・・・・・?」


「・・・・あぁ。気まぐれだ」


素っ気なく答える男爵。


気まぐれ、これほどまでにいい加減な言葉はない。


だけど、このひとは恐らく気まぐれなどで私を魔界に連れて行くのではない。


天界に帰れない私を助ける為に魔界に連れて行くのだ。


そんな確信が心の中にあった。


「・・・・・・本当に宵い月だ」


暫らく私は男爵と一緒に夜空に登る月を見続けた。



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