91・ハロウィン
後半部分が過激かも…
とあるハロウィンの清々しい朝。私は目覚ましよりも早く起きてベッドから静かに抜け出し勉強机の引き出しの中に隠してあったクラッカーを取り出します。そして、このクラッカーをベッドですやすや寝ている鬼さんに向けて発射!
「うわっ!」
「ハッピーハロウィン」
そう、このクラッカーは文化祭の後に買ったあの、鬼さんを驚かすためのクラッカーです。買ったのはいいが、クラッカーを使う道がなくなってしまい途方に暮れていたところ、ふとカレンダーを見て『そうだ明日はハロウィンだからその時に使おう』と決めました。
「びっくりした」
「だって、今日はハロウィンだからね」
「ハロウィン?何それ?」
「えっ、鬼さんハロウィンを知らないの⁉︎」
「オレ、生まれも育ちも日本だから」
さいですか。と言うことで私はハロウィンと言う素敵な日を知らない鬼さんのために朝っぱらから懇切丁寧に説明しました。
いやー、まさか鬼さんがハロウィンを知らないとは思ってなかったよ。そう言えばさっきの面を食らったような顔、面白かったな。してやったぜ!みたいな感覚で楽しかったよ。
さて、残りのクラッカーの数は何本かな?
* * *
一日というのは早く過ぎるものでもう夜の7時30分頃、鬼さんの帰りは大体8時になると今日のお昼休みにメールと電話が掛かってきたのです。
教えてくれるのは良いけど、別に電話とメールの2つは無いんじゃない?
「さて、ハロウィン料理を作りますか」
今日はハロウィンと言うことで夕飯もハロウィン風にしたいと思います。私が作るのはゾンビオムライス、眼球ゼリー、魔女色の紫色スープ、どれもグロ系の品々ですよ。最近、何かとやられっぱなしの私が思い付いた鬼さんへの悪戯。ホラーが苦手な鬼さんにとってはかなり攻撃力の強い一撃だと思う。
「クラッカーあと4本も残ってるし…」
魔女色の紫色スープを作りながら不気味に笑う今の私の姿は誰がどう見ても魔女って答えそうだな。数分後、料理を作り終えた私は鬼さんが帰ってくるまでの間、もう一つの悪戯の準備に取り掛かりました。
「ただいまー」
おっ、ナイスタイミング!私は部屋のドアの前に立ち、ドアを開ける鬼さんを待ちます。そして、ついにドアが開かれました!
「萌香、きょうはほんと……」
「鬼さん、おかえり」
鬼さんが顔を青ざめて固まってしまいました。それもそのはず、だって今の私の格好は顔と腕にホラーメイクを施したリアルゾンビの姿なのです!この特殊メイクみたいなのは家でも簡単に出来るとあやのちゃんに教わったのでやってみました。
「ねぇ、私、キレイ?」
口裂け女の名台詞を言うと鬼さんは青ざめた表情から一変、あわあわと慌ててスーツの胸ポケットから携帯を取り出すと私に話しかけながら携帯の画面を操作し始めました。
「萌香大丈夫か!生きてるか⁉︎って、怪我してるっ!救急車!警察!110番!119番!」
「ネタバレするけど、これはホラーメイクだよ」
驚いて気絶するかと思っていたら、なんと予想外の行動に出ました。それと、119番は消防機関への番号だからね。私がホラーメイクだと言うと鬼さんの手から携帯がポロリと落ちて良い音だけが響きました。そして、勢い良く私に近づいて両肩をがっしり掴むと顔や腕をまじまじと見てきました。
「これ、メイク?」
「うん、そうだよ。あの、とりあえず肩から手を離して落ち着きませんか」
握る力が強くて肩が痛いです。こういうところが、やっぱり鬼だなって思う。
* * *
その後、なぜか私は向かい合うように猫型座布団に座る鬼さんの膝の上に乗せられてホラーメイクをまじまじと観察されています。頬に付けたホラーメイクを触ってはグロいグロいと何度も言って眉間にシワが寄っている。
「グロいなら見なければ良いのに、あと無闇に顔を触らないで、意外とくすぐったいから」
「うわー何これ、ぶよぶよして気持ち悪」
聞いてないし。
「でも、本当に怪我してなくて良かった」
「驚いて気絶するかと思ってたから、あの反応には驚いたよ」
「気絶はしそうになったな」
残念!でも、鬼さんの慌てっぷりを見られたから良いか。あれ、ハロウィンってお菓子をくれないと悪戯するんだよね。私の場合、順序が逆になっているような気がする。
「あとでお菓子あげるから、それで今回の悪戯はチャラね」
鬼さんに全てのホラーメイクをティッシュで拭われながら約束しました。流石に悪戯だけじゃぁ、悪い気がするからさ。
「もう一回、確認するけど悪戯してもお菓子をあげたらチャラになるの?」
「本当はトリックオアトリートって言って、お菓子を貰えたら悪戯はなし。貰えなかったら悪戯してもオーケー」
と言うか、鬼さんって本当に私を抱きしめるのが好きですよね。今だって、向かい合わせだけど、私の腰に両手を添える感じでナチュラールに鬼さんと私の距離を近づけている。
「まぁ、別にそんなルールは関係ないか」
「へっ?」
突然の事に私の口からおかしな言葉が出てしまいました。
「萌香がやったのならオレもやって良いよね」
「あの、鬼さん?何を言っているのですか?」
腰に込める力が強くなり私は一気に鬼さんに引き寄せられ身体が密着しています。この流れは非常に危険な香りを醸し出しているようなのですが、何かの勘違いですよね?
「悪戯してもお菓子をあげたらチャラでしょ」
「ちょい待ち!そんなルールはぅん」
や、やられた。耳、食べられた。しかも、変な声出したし、顔が熱くなるのが分かる。うわぁぁあ恥っずかしいよ。本当、なんで私は耳が弱いんだ!
「萌香って反応かわいいよね」
「だからぁ…その声で……さ…さやくなぁっ!」
片腕だけどしっかりホールドされていて逃げれないいぃ!鬼だ、耳攻め好きの変態鬼がここにいるよ!誰か助けて!知り合いのお坊さーん。鬼さんの耳攻めに身悶えていると腰に回っていた手に動きがありました。
「ひゃっ!まっ待ってストップストップ」
「なーに?」
腰に回っていた手はゆっくりと背筋を撫でながら上に動き、ブラのホックのところで止まりました。
「早い、早いから」
「何のこと言ってるの?」
絶対にわざと言ってる。しかも、外すな!
「この、ロリコン鬼!身体が目的なのですかっ!」
「んー、どうだろう?強いて言うなら萌香の反応が、かわいいからかな」
目を固く瞑れば、首筋からリップ音。もやもやとした腰を撫でられればつい肩を震わして反応してしまう。これで、完全に腰が砕けたし体に力が入らない。
「後で痺れるような甘いの、あげるから」
囁く声はハチミツよりも甘く、耳から脳髄を溶かしていき、まるで危ない薬のようです。耳から鬼さんの体温が離れる感じがして顔を上げるとそこには妖艶に微笑む鬼さんがいました。不覚にもその笑みにくらっとした自分がいる。
ハロウィンってこんな過激な感じだったかなぁ。




