78・鬼の困惑
鬼さん視点!!
そして、1500文字くらいのかなーり短いお話
元々、鬼さんの一人称は『僕』でしたけど
今回は『オレ』となっています。
その理由は数話後にて
萌香が寝てから3時間後、今オレは色々と考えながら熱を出した萌香の看病をしている。
「どっちだ?」
萌香は視えているのか視えていないのか。
さっき萌香が電話越しに言っていた『メリーさん』と言う単語。一瞬、萌香が好きなアニメに出てくるキャラクターの事かと思ったけど会話の内容を聞くにどうもそうではないようだ。
『カッパさんから聞きました』
『おお、同期の小豆洗いさんと結婚ですか』
『まさかのツンデレ⁉︎』
『さ、砂糖がたくさん』
『ギターガール一筋ですね』
『飛頭蛮さんにもよろしくです』
『メリーさんが書いた本読みましたよ』
『結婚式に呼んで下さい!』
ギターガール。確かあれは、居酒屋遊楽亭でいぬがみとカッパと飲んでいた時に、カッパが得意気にメリーさんと言う単語と一緒に口にしていたと思う。いや、その前になんで萌香の口からカッパの名前が⁉︎あっ、でも、カッパって言っても種族はたくさんいるし、あいつの事じゃないかもしれない。オレの思い過ごしか?
「おっと」
額に乗せた濡れタオルが落ちそうになった。今、冷蔵庫には冷えピタが無いから濡れタオルで応急処置をしている。萌香を見ると熱にうなされているらしく息が荒い。濡れタオルを触ると熱によって熱くなり体も汗ばんでいるようだ。
「タオル変えるか」
オレも昔、人間と関わったことがあるがここまで、オレが人間を気に掛けるのは萌香が初めてだ。同じ部屋に住んでいるからとかじゃなくて、これはきっと。
「コホッ、コホッ」
今は考えている場合じゃないな。オレはもう一度、洗面所で濡らしたタオルを持ってきた。こんな時、オレが出来ることと言えばえば熱を下げるために濡れタオルを額に置いたり汗を拭いたりすることくらい。
まぁ、汗を拭く時、流石に際どいところはオレの理性的にもアウトだから首や鎖骨辺りまで。
「んぅ…」
「っ!」
首筋の汗を拭いただけなのに身を捩ってそんな声出すなよ!なんかオレが悪いことをしているみたいになるだろ!ちょっ、一旦やめよう。萌香の声が心臓に悪い。
「うーん」
萌香は額に置いた濡れタオルが邪魔だったのか、素早く床に投げ捨てた。それからは、まるでコントのようにオレが萌香の額に濡れタオルを置いて萌香が投げ捨てるの繰り返し。
何度も繰り返しているうちにタオルはボロボロになりオレは別の方法で熱を冷ますことを考えた。とりあえず、このタオルは洗濯カゴの中に入れてこよう。
「うん?」
立ち上がって洗面所に向かおうとした時、左手が握られた。どうやら、スヤスヤと寝ている萌香は無意識のうちにオレの左手を握ったらしい。そして、萌香の口が開き次に出て来た言葉に驚いた。
「ソー…キ」
えっ、それオレの名前⁉︎なんで萌香が知ってるんだ!
「…そば」
ソーキそばかいっ!そうだよな、少し考えてみれば萌香がオレの名前を知ってるはずがないよな。そもそも萌香と話したことすらないから萌香か知るはずがない。
と、ここで萌香の目が薄く開きオレの方を見てふわりと柔らかい表情で笑った。そして、また目を閉じて眠る。今のは何だ、オレに対して笑ったのか?
「はぁ」
オレはただ萌香が視えるのか視えないのか知りたいだけだ。もし、萌香が視えるのならオレの想いを伝えたい。視えないのなら、まぁ、出来るだけ考えたくはないな。
でも、どちらかと言うと今のところオレは萌香が視える可能性が高い。さっきの電話の会話で少しは可能性が見えたような気がした。
「まずは風邪を治すのが先だな」
オレは萌香の風邪が早く治るようにと願い、額にキスをした。
オチがこれで良かったのかと悩み中
糖分はあったかなぁ(>_<)




