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62・いぬがみコーポレーション

話の中にちょいちょい出てくる

いぬがみコーポレーションについてのお話。


久しぶりにメリーさんや

『41・中国からの使者』に出てきた飛頭蛮(ひとうばん)

出てきます


とある日の昼下がりの社内にて

俺の名はいぬがみ。

他の妖怪たちからは、いぬがみコーポレーションの社長、偉い妖怪、裏ボスなど曖昧な名前で呼ばれているが正確には会社いぬがみコーポレーションを立ち上げた創始者だ。


創始者だからと言って仕事をしないわけでもない。俺は会社の奴らと共に外回りや企画の案を出したりする。初めは電化製品を主にしていたが、今はそれだけじゃぁ業界で生き残れない。だから、観光業を始めてみた。


いぬがみコーポレーションは1〜130の部署がある、社員は総勢1200名を越える巨大企業。その中でも一番よく働いてくれる部署は1部署と28部署と125部署の奴ら。


よく働いてくれるのは良いのだが、この3つの部署には他の部署よりキャラが濃かったり良い意味で目立つ奴らと悪い意味で目立つ奴らの曲者ぞろいだ。


1部署の社員達は全員女の幽霊。いぬがみコーポレーションで作った電化製品の販売業が主で仕事の成績は良いがその反面、無類の男好きでな。電化製品を買いに来た男性客になりふり構わず声を掛け、終いには逃げられるのが落ちなのだが。


「客に逃げられてどうする!買ってもらえねぇだろ!」


と毎回、その日の反省会で突っ込むのが疲れた。客に逃げられても売り上げが落ちないのは長年の賜物なのか。


125部署はイベントや企画を考えるのが主な仕事の部署。観光業のアイディアは俺が出したが、その後に様々なプランを考えたのはこいつらだ。1部署と同じく仕事の成績は良いが、部署全員が遊び人で自由奔放な性格。


俺が125部署に行くと必ず部屋に誰もいない。125部署にいる鉄鼠(てっそ)火車(かしゃ)は昼間から歓楽街に出て飲み歩き、雨女(あめおんな)小雨坊(こさめぼう)はゲームセンターへ、赤鬼の緋村(ひむら)猫又(ねこまた)と網切りは海に魚を釣りに行く。その他にも遊び人は大勢いるのだが全員を説明していたらきりがない。


「お前ら企画書はどうした⁉︎」

「知らねぇ〜」

「紙に書かなくても頭にあるから良いじゃん」

「その前に紙って貰ったかな?」

「別に、紙の一枚が無くても良いよね」

「アホかっ!」


企画はちゃんと考えてくれる根は真面目な奴らなんだけど、普段からこんな態度だから不真面目に見えてしまう。ここまでは悪い意味で目立つ奴らだか。

残る28部署は良い意味で目立つ奴らが2人いる。


28部署は観光業の旅行代理店みたいな感じの仕事と電化製品の売り上げや計算に関わる仕事がメインだな。


そして、良い意味で目立つ奴のうち1人は言わずもがな、最近テレビで引っ張りだこのメリーさん。仕事と芸能活動は厳しいものがあるが、彼女はそれを苦とせず毎日、いや、テレビの収録の日以外は真面目に働いてくれる。


「あら、いぬがみさん。お疲れ様です」

「メリーさんもお疲れ様です」

「今日も人間の姿なのですね。別に私はタヌキ姿の方でも良いと思いますけど」


メリーさんは俺が子ダヌキ姿の時を見たことがある。だから、こうして顔を合わせるたびに子ダヌキ姿がどうのこうのと言ってくるが、この姿にはちゃんとした理由があるんだ。


「それでは、お仕事頑張ってくださいね」


メリーさんは会社のイメージガールとしても働いてくれる。それと、人間と通話が出来ると知ったのもメリーさんが教えてくれたおかげだ。最近では『本を売り出したいから事務所と相談中です』と聞いた。


あと、もう1人は中国から来た飛頭蛮(ひとうばん)

メリーさんと飛頭蛮の関係は同じ部署で先輩と後輩の関係。もちろん後輩は飛頭蛮。メリーさんが言うには28部署で妹のように可愛がられているとか、弄られているとか。


飛頭蛮と出会ったのは8月の上旬。居酒屋『遊楽亭』で、仕事探しに困り果て泣きながら酒を飲んでいた飛頭蛮に俺が声を掛けた。そして、俺の会社に入らないかと誘い28部署で働くことになった。


「いぬがみ様!」


なぜか、飛頭蛮だけは様付けで呼んでくる。俺としては普通に呼んでほしいんだけど。


「今日はタヌキ姿じゃないんですね」

「あぁ」

「タヌキ姿の方が可愛いのに」


メリーさんの後輩だな、同じことを聞いてくる。

そもそも、俺が厳つい人間の姿になっている原因はいぬがみコーポレーションを創立させて間もない頃に原因がある。


いぬがみコーポレーションを創立させた頃、その時俺は子ダヌキの姿で社員に仕事の指示をしたが、なかなか言うことを聞いてくれない、しかも子ダヌキだからと言って完全に軽く見られ、経営は傾き会社は壊滅状態だった。


だから、俺は自分の妖力を使いたまたま近くにいた強面の人間を参考に見よう見真似(みまね)変化身(へんげ)し誰にも軽く見られないようにした。すると、この風貌にびびった社員が言うことを聞いてくれるようになったのが始まり。


それ以来、俺は妖力が尽きるまでこの姿で働こうと決めた。


「いぬがみ様をモチーフにいた商品とか出して欲しいですよね。ほら、いぬがみのふわふわクッションっていう名前で」

「売れないからな」


125部署と似たように飛頭蛮も様々なアイディアを出してくれる。まぁ、今回のクッションは無かったことにするが。


「あれ、いぬがみ様。目の下に(くま)が出来てますよ?」


飛頭蛮が手持ち鏡で俺を写す。鏡に写る俺は確かに目の下に隈が出来ていた。これは、仕事の疲れともうそろそろ妖力が切れることを指す。


そう言えば、鞄に我楽多屋の蓮さんから買った栄養ドリンクがあったはず、とにかくそれを飲めばなんとかなるだろう。


さて、これから78部署の奴らと一緒に外回りに行くか。

そのことを飛頭蛮に伝えたら、なぜか、子ダヌキのキャラクターがプリントされた首にかけるような長いタオルを渡された。


「まだ、外は暑いですから。熱中症には気を付けて下さいね!」

「ありがとうな」


俺の会社の奴らは曲者ぞろいだが、根は良い奴ばかりなんだ。だから俺はこれからも、この会社を長く続けて行きたいと思う。

いぬがみと飛頭蛮とメリーさん

以外の妖怪はモブです。


ただ単に飛頭蛮も

いぬがみコーポレーションの一員って

事を伝えたかっただけです


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