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58・栄養ドリンク

16・我楽多屋の裏事情と

20・夏休みのタヌキ ~蓮とククリ~

34・悪魔の依頼

のお話が少し(かす)っています


そして、短いお話。



お母さんへの手紙が完成したのは朝方。

私の隣では鬼さんが救命丸を持ったままあぐらをかいて寝かけています。そりゃそうだよね。だって、鬼さんは私と一緒に夜をオールしていたからさ。


そういう私も、夜をオールしていたので今、すごく眠いです。やっぱり徹夜はダメだね、頭が痛くなるし何より眠気が酷い。


「休み時間に寝ようかな」


時間を見ると、もう家を出て行かないといけない時間に迫っていました。お弁当を作る時間はないし朝ご飯だって食べるのは難しそう。でも、私は3食食べないとダメな人だからな。そうだ、通学路に商店街があるから、今日はそこで朝ご飯とお昼ご飯を買おう。


たまにはそういう日があっても良いよね。私はフラフラとした足取りのまま学校に行く準備をして家を出ました。



* * *



学校に着くなり、商店街のパン屋で買ってきたお惣菜パンを食べ、自販機で買ったお茶を飲み、クラスに先生が来るまで寝ていると腕をつんつんと誰かに触られました。


「もえちゃん、体調悪いの?」

「ううん、違うんだ。昨日、夜更かししちゃって」

「萌香、夜更かしは肌に悪いぞ」


ゆいちゃんと、ほのかちゃんが心配してくれました。それと、ほのかちゃん頬をつねるのはやめて、痛いよ。


「栄養補給に栗きんとん」

「成長のために牛乳も」


あやのちゃんが、机の上に和菓子屋二階堂の季節限定、栗きんとんとめいちゃんが小さい牛乳パックを置いてくれました。それから、あやのちゃんはポケットから袋に包まれた栗まんじゅうや羽二重餅(はぶたえもち)や小さな落雁(らくがん)を取り出してみんなに配っています。なんだかあやのちゃんのポケットは四次元ポケットみたい。


「水戸部君と委員長もどうぞ」

「ありがとう」

「あやの、落雁(らくがん)多めで」

「いいよー」


近くにいた委員長と水戸部さんにまで

お配り、あれ、あやのちゃんと水戸部さんって、いつの間に仲が良くなったんだろう。そう言えば後期に入ってからよく話しているところを見るな。


「ふぅ、やっと配れた」

「彩乃、これもらって良かったの?」

「うん!このお菓子達ね、お店で余っちゃって、家で食べるのにも多過ぎるから」

「和菓子屋って良いよね」

「でも、大変だよ。朝の仕込みとか忙しいし」

「お菓子食べれて」

「ほのかちゃん!」


あやのちゃんとほのかちゃんのやり取りを見ていると和むわぁ。うん、この栗まんじゅう、牛乳とよく合うね。残りのお菓子はお菓子好きの鬼さんにでもあげよう。それにしても、まだ眠いや。




* * *




今日は移動教室もなかったから、ゆっくりと授業と授業の間の10分休みは寝ましたが、それでも睡魔が襲ってきて6時限目は始まってから終わりまで寝てしまった。夜更かしは恐るべし。


「おねぇちゃん、眠そうだね」


声を掛けてくれたのはククリちゃん。現在私は、我楽多屋でバイト中です。


「うん、昨日、夜更かししちゃって」

「おねぇちゃん、夜更かしはだめだよ」


私は欠伸(あくび)をかきながらアンティークをはたきで掃除していると、店の奥から台帳のような物を持った蓮さんが出てきました。いつも思うんだけど、あの台帳のような物には一体何が書かれてあるんだろう?


「蓮さん、それは何ですか?」

「これは、求人募集のメモが書いてある台帳だよ」

「ほら、蓮って仕事がない妖怪に仕事を紹介しているって話したよね」

「あっ、首無しの仕事探しの手伝い!」

「そうそう」


首無しの話は、夏休み入ってすぐの時にククリちゃんから教えてもらったんだよね。


「今って何の求人がありますか?」

「うーん、海外からのお客様でメイドを募集している悪魔がいるけど、オススメはしないかな」


蓮さんが勧めない仕事ってなんだか恐ろしい気がしてきた。メイド募集だけど、厳しいのかな、それとも時給が安いとか。


「蓮、おねぇちゃんが夜更かしして眠いんだって」

「ククリちゃん⁉︎」

「夜更かしするのは良いけど体には気を付けてね」


蓮さんの懐から何かを取り出しました。そして、私に差し出したのは1本の小さな小瓶。蓋を開けてみると透明な液体が入っていて少し甘い香りがします。


「それ、栄養ドリンクみたいなもので、眠気覚ましにはいいから飲んでみなよ」


蓮さんから頂いた栄養ドリンクを飲んでみると眠気がさっぱりとなくなりました。それに、甘酸っぱくて飲みやすいです。これも蓮さんが作ったんだ。


「おぉ、眠気が覚めます」

「良かった、人間にも効果があるんだ」


安心したようにつぶやく蓮さんですが、聞き逃せない単語を発見。人間にも?それはどういう意味ですか?その発言だと、まるで、この栄養ドリンクは……


「蓮さん、人間にもって、それはどういう意味で?」

「うん、この栄養ドリンクは元々、妖怪専用の栄養ドリンクなんだけど、どうやら人間にも効果があるみたいだね」


蓮さん、私を実験台にしないでください。もう、全部飲んじゃったよ、どうしよう体に悪い物が入ってたり、いや、蓮さんが作る物には悪い物が入ってる事はないけど、それでも何が入っているか気になるよね。


「蓮さん、これには何が入っているのですか?」

「聞かない方が良いよ」


蓮さんの笑顔の裏に何かありそうなので聞くのはやめておきましょう。それに、眠気が覚めたから、もう良いよね。


「1本250円で、大きめの箱は20本で入りで1000円。萌香ちゃん、もう1本いる?」

「いえ、もう元気なのでいらないです」


蓮さんは懐から箱入りの小瓶を出して残念そうに戻しました。あやのちゃんのポケットとと言い、蓮さんの懐は四次元ポケットか!


「蓮が作る栄養ドリンクは人気なんだよ」


へぇ、妖怪も栄養ドリンクなんて飲むんだ。確か、いぬがみさんっていぬがみコーポレーションのお偉いさんで忙しそうだから栄養ドリンクを飲んでそうな気がするな。それと、メリーさんとかいぬがみコーポレーションで働く妖怪達。


「どこでも、栄養ドリンクは必須なんだね」


栄養ドリンクの偉大さに気付いた今日でした。

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