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47・友人として

委員長の友達、水戸部視点のお話


委員長との付き合いは幼稚園からだ。それから今の今まで、誰かと付き合ったという話は聞いたことない。ましてや、委員長が誰かを好きになったという話も本人から聞いたことがない。


今まで委員長は特定の女子と仲が良かったことはなかったな。誰にでも対して平等で友達。でも、委員長は面倒見が良く、努力家、そんな奴は誰からも好かれて当然だろう?だから、委員長が好きだったいう女子は小中にたくさんいた。


委員長を好きな奴はいるけど、委員長には好きな奴がいない。こんな感じが高校の6月上旬まで続いた。


そんな委員長に変化が起こったのは、宮川 萌香という女子が編入してきてから。それからというもの、宮川と委員長の組み合わせをよく見かける様になった、宮川は委員長の時だけ敬語を解除するし、これは宮川の方が委員長に気があるのかと思った。


だから、俺は委員長のいない時、さりげなく委員長をどう思うかって聞いてみたところ、宮川は委員長の事を『友達』と言った。俺の予想は外れたか。そして、前期、バスケ部の部員全員に囲まれた時、委員長は宮川のことを『友達』だと言い放った。


でもさ、委員長と宮川を観察してて思ったんだけど、お前ら友達レベルじゃねぇよな?って事が感じられた。それは火ノ江神社の夏祭り、はぐれた委員長を見つけたと思ったら、隣には宮川がいて、しかも手を繋いでいた。高校生にもなって手を繋ぐのは恋人くらいしかいねぇだろ?そう思った俺は夏祭りが終わってみんなが解散した後、その帰り道で委員長に宮川について聞いてみた、それでも委員長は友達だと言い張る。


あぁ、またか。この感じだと恋人には発展しないなと思っていた……その時は。


だが、後期に入って、委員長から突然の好きな人が出来た告白。それも、部活帰りの寄り道したコンビニを出てすぐに、さらりと「菓子食う?」的なノリで言われたから危うく食べていた唐揚げを喉に詰めそうになった。しかも、今日、『今度、遊びに行こう』と宮川を誘ったらしい。


「大丈夫?」

「ゴホッ、いや。友達止まりかと思ってたからさ、それに、誘うだなんてやるな」


俺が委員長の腕を小突くと……あれ?反応が無いな。どうしたんだ?まぁ、それは置いといて。


「で、どこに行くつもりだ?」

「それが、決まってないんだ」

「は?」


こいつなんて言った?決まってないだと。いやいや、普通、誘う時は行く場所を決めてから言うもんだろ。


「いや、宮川さんが、元気なかったから、元気付けようと思って」

「へぇ?」


委員長の話によると、宮川は各部活の部長達に追われて疲れていたらしい。ほぉ、で、元気付けようと遊びに誘ったわけだ。しかも突発的に、どこに行くかさえも考えずに。委員長ってたまに思い切ったことをやるな。


それにしても、いきなり2人で遊びに行くとか、初恋で恋愛経験ゼロの委員長にしてみればハードル高い事だよな。


「まずは、宮川が好きそうな場所を考えてみろ」

「考えたけど思いつかない」


こりゃ、重症だな、おい。考え過ぎて思考停止か。うーん、そんな委員長に俺からアドバイス。


「今すぐ決めろとは言わん、とにかく今は頭を冷やせ。考える時間はまだあるだろ」


思考停止した頭には冷やすのが一番。


「相談ならいつでも乗ってやるから、心配するなよ」

「ありがとな」

「どうも」


その時、俺はあることを思い出した。


「敵が多そうだな」

「敵?」

「宮川を好きな男は学校内にたくさんいるからな。俺の情報によると2年生とか3年生にもいるらしい」

「その情報はどこから」

「あやのから聞いた」

「あやのって二階堂さん?」

「あぁ、そうだけど」

「いつの間に仲良くなったんだ?」

「夏祭りの時かな」

「へぇ」


今まで恋のこの字も無かった友人に好きな人が出来た、しかもその相手は学校で有名な宮川 萌香。そして、俺は友人として、委員長の初恋を見届けたいと思う。


委員長の初恋が実りますように


子供染みた願い事だけど、本気でそう願う。

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