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4・タヌキと鬼さんの名前

毎度、毎度、短い文章です

季節は7月上旬


朝が暑苦しくて早く起きてしまう。それでもやっぱりまだ眠いからベッドの中でうとうとしていると、玄関のドアが乱暴に開かれた。あぁ、そうか、昨日は金曜日だったから鬼さんは飲みに行ったんだ。で、今は土曜日の朝だからもうそろそろ帰ってくる時間かな。


ドシドシと重たい足音が聞こえる。これは鬼さんの足音じゃない!じゃぁ、一体誰?

私は薄目で部屋のドアの方を見る。

ガチャり


「くそっめんどくせーこと、ありゃしねぇぜ」


大きな声で大きな独り言。もとい文句を言いながら入ってきたのは、鬼さんを担いだ見た目は30代後半でスーツを着た強面の男、左目を縦に切られたようなキズがあるのが特徴的。身長は鬼さんと同じくらいかな。


「河童の野郎はとっとと帰っちまうし、結局最後は俺が送らないかんし、元はと言えばソウキがここまで、酔っ払うからだっ!」


成る程、酔っ払った鬼さんを運んでくれたんだ。もしかして、前に鬼さんが寝言で言っていたお仲間さんかな。えーと、あの時は、かっぱといぬがみって言ってたよね。どう見てもこの人は河童には見えないから、いぬがみさんだよね。


「くそっ!」


ドカァッ!!テレビの前に鬼さんを投げつけた。それでも起きない鬼さん。それどころかスヤスヤと気持ち良さそうに寝てるし。えっちょっと待って、今の音ってかなり痛そうだったけど、鬼さん大丈夫かな。

まぁ、人間よりも体は丈夫みたいだし平気か。


「んっ?」


いぬがみさんがこっち見た。薄目を閉じて寝たふり、寝たふり。


「ここの住人か?前は男だと聞いていたが、新しく入ったのか」


ハスキーボイスが近くで聞こえるよ。いい声だけどお酒臭い。ここは少しの我慢、そしたらどこかに行ってくれるはず。











よしっ、体感時間だけど多分3分は経ったはず。目を開けて体を起こすと。

ゴンッ


「うおっ!」

「いたっ!」


いぬがみさんと私の頭がぶつかって痛かった。まだ居たのか!すると、いきなり目の前で煙が上がって布団の上に重いものが乗ってることに気づいたの。


「きゅっ」

「きゅ?」


煙が晴れるとそこには、まぁ、なんと可愛らしい絵に描いたような子ダヌキ。そうか、いぬがみさんは子ダヌキだったんだ。だって、左目に傷があるもん。

逃げようとした子ダヌキさん。もとい、いぬがみさんを素早く捕まえて腕の中に抱きしめた。


「かわいいー!」

「キーキーッ!キーキーッ!」


何この生き物かわいい、尻尾ふさふさ、柔らかくて温かいしもふもふしてる。逃げようとジタバタするけど、何と言うかジタバタされる程、逃がしたくないな。これが、さっきまで強面のおじさんだったとは考えられないよ。


「ふさふさー」

「キューキュー」


なでなで、もふもふ、さわさわ。


「あっ」


私の腕からすり抜けていぬがみさんは全速力で玄関へと出て行ってしまった。私も後を追って玄関に行くと、いぬがみさんはドアの前でドアを引っ掻いて出ようとしていた。今はタヌキの姿だから、ドアノブに手が届かないよね。

本当はもっともふもふしたかったけど、いぬがみさんにも帰るところはあるだろうし、残念だけど、残念だけど、本当に残念だけど


「せめて、最後にもふもふさせて?」

「ギュー!」


もう一度、腕の中に抱きしめて私はドアを開けた。そして、ゆっくりと玄関の前の廊下に降ろすや否や、脱兎の如く走り去ってしまった。


「くそっ、ソウキの部屋にこんな奴が居たとは」


帰り際いぬがみさんがぼそりと呟くの聞いた。

ソウキの部屋?そう言えば、いぬがみさんがここに来た時もソウキって言ってたよね。もしかして鬼さんの名前は『ソウキ』って言うのかな。いや、いぬがみさんが2回もソウキって言ってたから確実に名前はソウキなんだ。

ソウキかぁ、呼びにくいから今まで通り『鬼さん』でいいや。その方が呼びやすいしね。


部屋に戻るとなんでか知らないけれど鬼さんが私のベッドで大の字になって寝てた。おい、いつの間にベッドに潜り込んだんだ。

かと言って、目は覚めちゃって二度寝は出来なさそうだし、学校の宿題は昨日のうちに済ませちゃったから、一週間溜めたアニメとかドラマを消化しちゃおう。

時間は有効に使わないとね!

【いぬがみ】

・ 本当は子ダヌキ

・人間に化けられます

・身長は鬼さんと同じくらい

・左目に傷がある

・ 鬼さんとは金曜日の飲み仲間

・お酒には強い

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