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33・草むしりの恐怖

委員長×マンドレイクのお話

とある真夏の午前中


今日はバスケ部の練習がオフの日だ。たまにの休日だから、家でゆっくりしよう思ったけど、そう言うわけにもいかない。それはなぜか、理由は簡単で目の前にある大量の洗濯物の山と家の掃除があるから。今、両親は海外旅行中で、家には僕と姉さんしかいない。確か、グアムに行ってくるとか言っていたな。


本当は、両親から一緒に行かないかと誘われたけど、僕は部活が忙しくて、姉さんは『恋に仕事に忙しい年頃なの。だから私はパスね。旅行のお土産待ってるよー!』と言うことで行かなかった。


そして、現在。僕は炎天下の中、庭の草むしりをしている。もちろん、姉さんは家にいるけど、クーラーの効いたリビングでアイスを食べながらファッション雑誌を片手に、自分が出ているドラマを見ていた。


「はぁ」


脇役のくせに、一丁前(いっちょまえ)に女優ぶってさ。少しくらいは家のこと手伝わないかな。あぁ、なんだが腹が立ってきた。

ガラッ、窓を開けて中にいる姉さんに声をかけてみる。


「姉さ」

「断る」


名前を呼ぶ前に即答かよ。くそっ、自分だけ涼しい所でのんびりして、だから料理や掃除の1つも出来ないんだ。これじゃぁ、将来、姉さんが嫁に行った時に困るのは自分なんだぞ。


「草むしりぐらい、手伝ってよ」

「嫌、絶対に嫌だ。だって、炎天下の中で草むしりって肌が焼けるでしょ?それに、日焼け止め塗っても汗で流れちゃって、日焼け止めの意味がなくなるし、そもそも、私が草むしりをやらなくても委員長がやってくれるから私がやる必要性はない。加えて、女優にとって日焼けは敵、分かる?敵なのよ、敵。それなのに、委員長はわざわざ、私を敵の陣地に送り込むわけ?最低ー!人でなし、血も涙もないのね。私はこんな子に育てた覚えはありません。はぁ、こんな姿をお母さんとお父さんが見たら卒倒するわ」


よくもまぁ、こんな長ったらしいセリフを言えるよな。これも、ドラマとか舞台で培ってきた才能か?いや、こんなところで才能を使うは間違っているけど。でも、結局は草むしりが嫌なんだろ。


「脇役のくせに」


ガンッ

読みかけの雑誌が投げられ、額に当たった。ボソッと言ったのが聞こえたのか、地獄耳だな。


「脇役じゃないし、お前の目は節穴か!」


そう言って、窓を閉められた。少しは手伝ってくれるんじゃないかって期待したのに、期待するんじゃなかった。


「やるか」


気を取り直して、草むしりの続きをやろう。ちまちま、ちまちま、腰痛いな。ちまちま、ちまちま、最近、自分が主婦化している気がする。地道に草をむしっていると1つのツルから変な緑色の丸い実がたくさん連なっている植物を発見した。


「何これ?」


見たこともない実だな。とりあえず、雑草になりそうだから抜いてみよう。地面から生えているので根元を掴み、抜こうとしたけど、びくともしない。それどころか、逆に引っ張られる感じがする。これは手強いぞ。


「はっ!」


引っ張るのではなく、縦横(たてよこ)に動かしてみると、徐々に根っこの上部分が見え始めた。ここまで来たら後は、ゆっくりと抜くだけ。


「よし、もう少し」


ん?よく見ると、この根っこは、他の根っこよりも太くて、例えるなら高麗人参みたいだった。それに、人の頭のようにも見える。まだ、全部を抜ききってはいないから、全体が分からないけど、これはきっと珍しい植物かな。


地面から少し引き抜いた瞬間。


「ギャッ」

「おぉ!」


いきなり根っこが悲鳴のような甲高い声で叫び始めたので、驚いて土に戻してしまった。今のは何だ、というか普通、根っこって叫ぶ?いや、叫ばないよね。それと、少し見えたんだけど、この根っこには目と口があった。


「ギャッァ」

「おっと」


もう一度、根っこを引き抜いてみるも、根っこは叫ぶように口を開けた。何となく、危険を感じた僕は、またその根っこを土に戻した。


「委員長、なんかそっちから変な声がしたんだけど、何かあったの?」

「なんでもない、ただ姉さんが手伝ってくれたら良いなぁって叫んでいただけ」


無言で窓を閉められた。この、たくさん実がなる植物はよく分からないので、保留。つまり、土に戻したまま。とりあえず今は他の雑草を抜かないとな。


また後で、宮川さんにメールで教えてもらおう。そういえば、宮川さんとは夏祭り以来1度も会ってないな。

マンドレイク


土から引き抜くと悲鳴を上げて、まともに聞いた人間は発狂して死んでしまうらしいです

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