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28・夏祭り⑤

火ノ江神社の夏祭りはまだ続いていますが、これ以上、夏祭りに参加していると補導の対象になると言うことで、渋々、みんなと解散しました。


そして、ただいま私は一人、暗い夜道を歩いて家に帰宅中です。実はさっき、借りた浴衣を返そうと、あやのちゃんの家、和菓子屋二階堂に行ったところ、店主であり、あやのちゃんのおばあちゃんである千代さんから、この浴衣をあげるよと言われました。そんなことを思いながら夏の夜空を見上げると。


「うわぁー」


夏の大三角形が見えました。しかも、雲一つもない夜空なので星がはっきりと分かります。まるで、プラネタリウムみたいですね。


「おっとと」


上ばかりを見ながら歩いていたので小石につまづいて転びそうになりました。本当、よそ見はダメだね。気を付けないと




* * *




家に帰る頃にはもう夜の10時近かったです。遠くから私の部屋を見ると明かりは付いていませんでした。今日は木曜日だから、鬼さんは出て行ってないし、起きていたら絶対に電気は付いているから、鬼さんは寝ていると思う。


起こさないようにそっと、玄関のドアを開けて、忍び足で歩き部屋のドアを開けます。すると、鬼さんは私のベッドで寝ていなくて、窓の近くに体を横に座られて、顔だけを火ノ江神社のある方に向けていました。私の位置からだと丁度、鬼さんの横顔が見えますね。


「はぁ」


鬼さんが憂い顔でため息をつきました。満月の明かりに照らされた鬼さんの横顔の輪郭+憂い顔、いつもとは違う雰囲気の鬼さんに思わず見惚れてしまいました。というか、色気のある大人っぽい感じ。しかも、やけに、ため息が耳に残ります。


おぉ?なんだか胸の奥がもやもやしてきました。いや、もやもやじゃなくて、うーん、なんだろう、ドキドキ?自分でもよく分からない気持ちに悩み中。


「どうしよう、部屋に入りにくい」


熱くなった頬を両手で挟みながら首をぶんぶん横に振っても現状は変わりません。でも、いつまでも部屋のドアの隙間から鬼さんを見ている訳にはいかないので、勇気を出して中に入ります!んっ、勇気を出してはおかしいか、だってここは私の部屋だよね?私の部屋だから自由に出入りしても良いはずだよね?あれ、自分が何を思っているのが分からなくなってきた。今の私は、自分が自分じゃない感じがする。おかしいよ!


「深呼吸、深呼吸」


スーハースーハー、よしっ!行くか。意を決して部屋に入ります。でも、部屋に入りにくいから、忍者みたいに足音を立てず、ゆっくり、気配を消して中に忍び込みました。私の部屋だから堂々と入っても良いのに、一体私は何をしているんだ。


静かに部屋に入ったので、鬼さんは私が入ってきたことに気付いていないみたい。部屋の電気を付けようと壁にあるスイッチを探しましたが、窓からこぼれる満月の月明かりで、部屋は明るかったし。何より、月明かりに照らさせた鬼さんの横顔が、その、変な話だけど、もう少しだけ見ていたいなーとか思ったり?

そんな訳で、部屋の明かりを付けるのは止めました。


「はぁ」


またも、鬼さんのため息。何を悩んでいるのかな?それに、私がいることにも気付かないあたり、相当な悩みだと思う。私は無意識のうちに外を見ている鬼さんの隣に来ていました。それでも私には気付きません、それならいっその事、鬼さんが私に気付くまでここにいようかな。


私は、鬼さんと肩が触れそうなくらい近くに座って鬼さんと同じ火ノ江神社がある方を見ました。そこから見える景色は、私が帰り道に見たあの綺麗な星空よりも、さらに綺麗な星空が見えます。おまけに満月の光が太陽のように輝いて眩しいです。こんな綺麗な景色を見てため息とは、もったいない。


月明かりに照らさせた鬼さんの横顔を見ながらそんなことを考えていると、夜空に一本の光が走りました。あれは


「「流れ星!」」


あっ、鬼さんと私の声がハモった。


「うわっ!お化けっ!」


いきなり大声を出した鬼さんに私までびっくりしてしまいました。ですが、鬼さんは、ようやく私に気付いたみたいです。近くに私がいた驚きのあまり、鬼さんは飛び跳ねて、素早く後ろに後ずさりしました。それにしても、いくら驚いたからってお化け扱いはないでしょ。お化けは。


「も、萌香か」


胸に右手を当てて、肩で息をしています。かなり驚いているよね。まぁ、静かに部屋に入った私が悪いのだけど。まぁ、そんな事はさておき、鬼さんが私に気付いたところで、ここを離れますか。浴衣も脱がないといけないし、お風呂にも入らないといけないからね。


「可愛い」


私が後ろを振り返った瞬間、鬼さんが褒めてくれました。熱が顔に集まるのが分かります。なんだろう、気恥ずかしいような嬉しいような。


あぁ、もう一体なんなんだこの気持ちは!


「ありがと」


鬼さんには聞こえないような小声で、お礼をいいました。とりあえず、嬉しかったことには間違いないから、お礼を言わないといけないよね。


こうして、今年の夏祭りは、幕を閉じました。



いつもとは違う雰囲気の鬼さんにドキドキしてしまう萌香でした。

上手く表現出来たかな〜?



これにて夏祭り編は終了です

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