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144・本当に視えないの?

後書きには

【今だからそこ投稿出来るお蔵入りネタ】を載せてあります。


1月下旬の夜8時ごろ。

鬼さんがお風呂に入っている間、私はお父さんに電話をしていました。話の内容はお母さんが刑務所から出所した後について。本当はこの話、ずっと前にしようと思っていたんだけどお正月は鬼さんと一緒に部屋でまったりと過ごして初詣では火ノ江先輩と土地神様に出会い、つい先日へ生死を彷徨っていて。こんな感じがしばらく続いたせいか完全にお父さんに電話するのを忘れていました。


「あー、その話ね」

「うん」

「今はまだ詳しくは考えていないな」

「ぉおう!」


あれっ!まさかの答えが返ってきました。私はてっきりこの火ノ江町から出て新しい場所で暮らすのかな?でも、そうしたら私と鬼さんはこれからどうしうと色々考えていたのに。


「でも、今から早苗が帰ってくるまで時間はある。それまでにゆっくりと考えようか」

「そうだね」

「あっ、でもまた3人で暮らすのは確実だよ」

「分かってるって」


そこで話は終わった。今、一応、分かっているのはお母さんが出所してから3人で暮らすけど場所はまだ未定。詳しくは知らなくて少し不安要素もあるけどお父さんが言った

時間はある

一度、死にかけた私にとって時間があると言うことはまだこれからも生きていられると言うことで少し安心感を持った。うーん、でも3人で暮らす時、鬼さんとはどうなるんだろう?


「萌香と一緒に暮らす」


とか言いそう。…って


「にゃっ!び、びっくりしたぁ〜。背後に立たないでよ」


出た出た鬼さんのお得意技、人の背後に立って盗み聞きする能力。と言うか、ついさっきお風呂に入ったばかりじゃないの⁉︎時計を見ると鬼さんがお風呂に入ってから15分は経っていました。なんだ、ただ単に私が長話をしていただけか。


「どうしたの?」

「あーいや。そう言えばオレ!萌香のお父さんに視てもらえないんだったよなって思って

そりゃまぁ、私のお父さんは霊感とかそう言うのがないから鬼さんの事を観られないのは当然でしょ」


ん?あれ?視られない?何が私の中で引っかかる。なんだろう、何がおかしい。鬼さんは本当に普通の人には視られない?言葉にしようにも上手く自分の中でまとまらなくて言えず気持ちが悪い。あと少し、あと少しで何が分かりそう。私は鬼さんから視線を外して考える。


「萌香」


名前を呼ばれて顔を上げると額に柔らかいものが当たった。それが鬼さんの唇だと気付くのに数秒かかり、思わず飛び退いた。


「ふ、不意打ちとは!」


盗み聞きスキルに不意打ちスキルが加わっただと!なんだ、最近の鬼は進化し続けているのか。それなら、私もパワーアップだ!なーんてそんな事は出来もしないし思いつきもしないから、じと目で鬼さんを見上げるだけ。


「そんなにしわ寄ってると変な顔になるよ」

「ならないもんっ!」


くすくす笑う鬼さんは冷蔵庫からスポーツドリンクを取るとそのまま簡易テーブルがある方へと行きました。あー、もう!今ので考えていたことが全部飛んだよ。一体、今何を考えていたんだろう?


私はまだ熱を持つ額に手を当ててしばらく考え込みました。でも、さっきのおでこキスの記憶が蘇ってそれどころじゃない。落ち着けー!落ち着け私の頭ー!

それでも、私の頭はまだパニック状態でした。












【今だからそこ載せれるお蔵入りネタ】


題名:十五夜の日に


とある9月の月が綺麗な夜。

実は今日と言う日は十五夜なのです。と言うことで私は商店街でお月見にいる品を買ってきました。流石にまだ私は未成年なのでお月見にお供えする神酒は仕事帰りの鬼さんに買ってくるよう連絡はしてあります。


「よし」


まずは買ってきた15個の団子を丸いお皿に綺麗に乗せました。それから、大家さんからもらった3つの柿と牛乳プリンを袋から取り出して、団子が乗ったお皿と共に長方形のお盆に置く。あとは大家さんに了承を得て採ってきた八幡荘の敷地にあったススキを花瓶にさす。で、これらを部屋とベランダを区切る大窓のそばに置いて完成。


「牛乳プリン食べちゃおうかな〜」


でも、どうせ後で柿と牛乳プリンと団子は食べるから今は我慢しよう。そうだね、柿は普通に食べてもいいし干し柿にしてもいいなぁ。団子は醤油で焼いて海苔で食べるか、あんこがあるからそれで煮込むのも良いよね。


そんな事を考えていると、私はふと大事な事に気が付きました。

それは…


「十五夜パワーを浴びた牛乳プリンを食べたら身長がもっと伸びるかも!」


いやいや、十五夜パワーってなんだよ。と、自分でノリツッコミしていたら玄関が開く音が聞こえました。そして、部屋の中に入ってきたのは仕事用のカバンを持った鬼さん。


「ただいま」

「おかえり」

「萌香、何してるの?」

「何って今日は十五夜だから、お供え物をね」


鬼さんの目が丸くなり次第に顔色は青くなってきます。ついでに発見したことを言えば、鬼さんの手には仕事用のカバンだけがある。そう、仕事用のカバンだけ。


「神酒、買ってくるの忘れた!」


ほら、やっぱりね。そうだとは思った。


「まぁ、別に無くても良いか。どうせ飲めるのは鬼さんだけだし」

「萌香は飲まないのか?」

「お酒は飲めないんだ」


飲まないと言うか飲めません。私はまだ未成年だから法律的にも歳的にもアウトなんだよ。うーん、そうだね。あと5年後には私もお酒が飲める歳になるかな。それまで少しだけ待っててね。私は未来で自分が鬼さんに晩酌している姿を思い浮かべながら立とうとした時。


「買ってくる」

「えっ、買ってくるの⁉︎」


ピューっと漫画のような音を立てて鬼さんは神酒を買いに行ってしまいました。一人部屋に残された私は、やれやれと肩を竦めて作りかけの夕飯の調理を再開。


今日の夕飯は他にも品はあるけどメインは十五夜にちなんで月見そばと月見うどん。ちなみに私は月見うどんの方です。本当は出汁とかつゆはカツオで一回、取ってみたいけど正直、今やるのは面倒さいのでここは商店街で買ってきただし汁を使おう。



* * *



鬼さんが部屋から出て行った数分後、ようやく帰ってきました。


「おかえりーってそれ神酒じゃないよね?」


なんと鬼さんの手には神酒ではなく炭酸飲料が入った袋を持っていたのです。


「これなら、萌香も飲めるだろ?」


あらっ、優しい。そんな心遣いに思わず笑みがこぼれてしまいました。よし、鬼さんの月見そばに入れる卵、2個にしてあげよう。そんなことを思いつつ私はお礼を言います。


「鬼さん、ありがとう」


鬼さんを見上げて笑顔で言えば頬を赤くして上目遣い反則と言われてしまいました。ちょっとこれ、計算だったりして。実は、上目遣いで言うと鬼さんの照れたかわいい顔が見れるんだ。


異性に対してかわいいはおかしいけど、本当にかわいいんだよ。さて!鬼さんも帰ってきたことだし夕飯にしますか。せっかく十五夜だし、食べる時はカーテンを開けて月が見えるようにしながら食べるとか!それも良い案だよね。


「今日は月見そばと月見うどんだよ〜」


こうして、今年の十五夜は鬼さんと一緒に過ごしました。


〜終わり〜


【後書き】

お蔵入りの訳は

このお話を執筆した時は9月の半ばでして、まだその頃は萌香が鬼さんに自分が視えると明かしておらず。しかもまだ萌香が鬼さんか委員長のどちらかを選んでいなかったからです。

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