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122・あと何年?

夕飯を食べ終え、修学旅行から帰ってきた次の日に、鬼さんから渡されたお母さんからの手紙を読み、只今返事を書いている最中です。


「なんだか、今日の仕事の休み時間さ」

「はいはい」


私は猫型座布団に座り簡易テーブルでルーズリーフに手紙の下書きをしながら隣でテレビドラマを見ている鬼さんと会話しています。そして今、テレビドラマでは皮肉にも警察がとある詐欺グループを弾圧している場面が映しだされていました。はぁーぁ、私のお母さんが逮捕されたのは詐欺をやっちゃったからなんだよね。


「社員達のほとんどが会社にいなくて」

「あー、それ大体、夕方の6時ごろだったでしょ」

「そうだけど、何でわかったんだ?」


だって、我楽多屋にたくさんのいぬがみコーポレーションの社員さん達が来てくれたから。そのことをもう少し鬼さんに詳しく話すと渋い顔をされました。ついでに鬼さんに告白したろくろっ首さんの事も。


「鬼さんモテモテですね」


『モテモテ』って死後だったけ?そんなことを思いつつ私の書く手は緩めません。よし、大体、修学旅行で起きたことはまとめられた。次はこの文を清書するだけ。


鬼さんがモテモテなのは凄いことですよー。だって、それだけ魅力があるからでしょ。それに、鬼さんは仕事にも真面目だし女妖怪に紳士的だし、だから好きになる妖怪が増えたんだよ。と、自分で自分を誤魔化しているけど内心は鬼さんには私がいるのに告白しないでよ!って身勝手に妬いてしまう。これを聞いた鬼さんは一体、どんな反応をするんだろう?


「もしかして、妬いてる?」

「まさか!」


即答で返すと『じゃぁ、どうやったら妬いてくれるのかな?』とワザとニヤニヤしながら言ってきたので久しぶりにテレビのリモコンで鬼さんの腕を叩いてしまいました。改めて思ったけどいつの日かテレビのリモコンが壊れそうだから極力やらないようにしよう。


「鬼さん、そう言うのワザとしないでね?」


一応、釘をさしました。どうやら、私は真顔で怖かったらしく鬼さんの顔色がだんだんと青ざめていくのが分かります。別に鬼さんは青鬼だから多少顔が青くても問題ないよね!


「あっ」

「どうした?」


そう言えば、私も修学旅行中に委員長から告白されたから鬼さんの事言えないんだ。何を私は自分を棚に上げて言っているんだ。


「なんにもー」

「えー、気になるんだけど」

「秘密です」


私は、唇に右手の人さし指を当てて片目を閉じました。




* * *




さてさて、ようやくお母さんへの手紙を書き終えたところで、鬼さんが私の手元を覗いて来ました。と言うよりも、文章を読んでいる。そう、お母さんへの手紙には委員長に告白されたとかキジムナーにあったとか変な事は書いていません。


「ねぇ、萌香のお母さんっていつ出所できるの?」


鬼さんも言葉を選んでいるのかいつもより口調がゆっくりとしています。私としては普通に聞かれても良いんだけど。でも、もし自分の立場が逆になると聞き辛いよね。


「えーと、あの時は私が9歳頃で、お母さんは団体で詐欺ってたから組織的犯罪処罰法で1年以上の有限懲役、だから罪が重くなって、普通の詐欺罪は懲役10年以下で」


私が色々な単語を並べていると隣で座っていた鬼さんが頭に疑問符を浮かべているのに気付きました。そりゃ、そうだよね、今私が言ったのは鬼さんの頭では処理しきれないことだもんね。


「つまり、お母さんは個人で詐欺ってたんじゃなくて団体で詐欺ってたから、その分罪が重くなったの。そのまでは良いかな?」

「あぁ」

「で、いつ戻ってくるのかと言うとえーと」


確か出所できるのは私が9歳の時に8年って言われたから17歳の時か。と言うことは今は15歳だからあと2年。いや、もうすぐで誕生日だから実質あと1年。そう、鬼さんに分かり易く教えました。


「お母さんが戻って来たら萌香はお母さんと一緒に暮らす?」

「今はそう言う話は出てないから分からないな。でも、多分そうなるのかな?あっそうだ手紙に付けた足そう」


私はもう一枚の紙を取り出してやんわりと付け足しました。それから、あともう一つ絶対に聞かないといけない質問も添えて。


お母さんと手紙を何度もやり取りして、今ではようやくお母さんからの返事が長くなってきた。だから、今なら聞けるんじゃないかなって思って。それに、今で私はその質問から逃げてきたような気がするから。







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