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119・温もり

修学旅行編が終わったので

少しの間、ほのぼのシーンが続きます

ほのぼのよりも、甘々ぐだくだたったりして

私が修学旅行から帰ってきて夕飯やお風呂、何もかもが終わり、寝る前のまったりタイムの時、鬼さんは今までの寂しさを潤すかの様にくっ付いてきました。


「萌香」


私を後ろから抱きしめ、膝抱っこしたり首筋に顔を埋めたり。今の私は修学旅行の疲れと背中から感じる鬼さんの体温が程よく暖かくて眠いです。それと、鬼さんに抱きしめられていると安心感があるからかな。ちょっとうっとおしいけど。


「修学旅行楽しかった?」

「んぅ、楽しかったよぉ。あれぇ?私、夕飯の時に鬼さんに修学旅行の話しなかったぁ?」

「まだ、オレ修学旅行の話聞いてないよ」

「そぉっか」


半分夢の国だったから思考と呂律が回ってなかった。いかん、いかんちゃんと鬼さんに修学旅行の話をしないとけいないね。私は重くなりつつある瞼をなんとか閉じない様に気を付けながら修学旅行の話をしました。


「キジムナーに会ったんだよ」

「沖縄と言えばあいつらだよな。何か悪いことはされなかったか?」

「されなかった」


ケチ、ババア、チビって言われたけど悪戯はなかったし、私が作ったブレスレットを渡したらすごく喜んでくれた。意外と可愛いところも発見できたな。って、あぁ私、鬼さん用にタカラガイのブレスレットを作ったんだ。まだ、キャリーケースにあるから渡さないと!


「萌香、どこ行くの?」

「鬼さんにプレゼント渡すから取ってくるの」


私が立ち上がろうとすると鬼さんは私を抱きしめる腕の力を強めました。と言うか、行かせないようにしている。今、眠気MAXで頭が回らない状態の私はその理由が全然分からなくて、悩みに悩んだ挙句、私は大人しくその場で座っていることに決めました。


「明日、休みだし。その時で良いから」

「良いの?」

「だから、今はこのままが良い」


このままが良いって事は動くなと言うことか。その証拠に脚まで絡んできたぞ…。いつもなら、うっとおしいって何がなんでも抜け出そうとするけど、今夜はまぁいいか。私はテレビを見ながら鬼さんに話しかけます。


「鬼さん、ちゃんと料理できた?」

「作ったには作ったけど、はい、精進します」


自己完結した!声のトーンが下がったことから多分、酷い物が出来てしまったらしい。鬼さんが酷いと思う物は相当なんだな。怖いもの試しに見てみたくなってきた。もちろん、私の保身を考えて食べはしないけど。


「でも、食器洗いをして私のマグカップを割ったって言うことはちゃんと作ったって証拠だよね」


あの、マグカップ気に入っていたんだからね。私が洗う時も割らないように洗っていたんだから。電話越しではお揃いを買えば許すとか言ったけど心の奥底では、まだ怒ってるかも。


「遠回しに言ったな」

「そぉ?」


右頬をつんつんされたから、両頬を少し膨らましてみるとリスみたいだと言われました。確かに小さい子が怒った時に頬を膨らますと私もリスみたいだって思う。ん?ちょっと待って『小さい子が怒った時に』だよね。小さい子かぁ、自虐するのはやめよう。


「萌香が猫ならオレのマグカップは犬にしようかな」

「犬柄ね。あっ、なんだか鬼さんに合ってる気がする」


と、その前に買う場所はやっぱり妖怪界(むこうのせかい)だよね。マグカップかぁ、鬼柄があったら一番良いのにな。


「そうか?」

「そうだよ」


なんだろう、このぐだくだな会話。別に嫌いじゃないけどね。それに、鬼さんの声がいつもに増して甘く聞こえるのは気のせいかな?あと、ちょうど鬼さんの手が私のお腹辺りに来ていてとても暖かいです。そろそろ、眠さの限界が近づいて来たぞ。


「萌香、無防備すぎ」

「んぅ?」


鬼さんの左手の人差し指で私の右側の首筋をなぞられそのまま鎖骨もなぞられた。


「くすぐったいよ」


身をよじると頭の上から鬼さんの楽しそうな笑い声が聞こえてくる。おまけに、いつの間にか私のお腹には鬼さんの手が滑り込んできていた。しかも、()に。


その時の私はと言うとパジャマのズボンをしっかりと握って耐えていた。眠気もあってなのか、こういう時に触られると気持ち良くて寝てしまいそうです。本当に眠気って恐ろしい。


「嫌じゃないの?」


まるで、誘うような低くて甘い声に背筋がゾクっときてしまった。しかも、耳の側で言うから余計に感じてしまう。もう、私の頭は眠さで限界かな〜。


「どっち?」


あっ、質問されてるんだ。


「眠い」


私が答えたのは鬼さんの質問とは違う答えです。なぜなら、本当に眠いから。


「答えになってないけど」

「んぅ」

「眠いの?」

「…んぅ」

「萌香」

「……んぅ」

「好き」


耳の側で聞こえる鬼さんの低いて甘い声が変な話、耳に心地よく響き、もう私の眠気は限界を超えました。


「ソウキ」


私は体を動かして鬼さんと向かい合わせに座り、膝立ちをして自分の顔と鬼さん顔を同じ高さにします。目の前には目を丸くした鬼さんが見える。そして。


「んっ…おやすみ」


右頬に触れるだけの軽いキスを落としてから鬼さんの胸に吸い込まれるように抱きつくと、私はそのまま眠ってしまいました。頭の上から鬼さんが何か言っているけど、私の耳にはもう、聞こえません。


そう言えば、キスした後の鬼さんの表情は半分寝ぼけていたからよく覚えてないや。

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