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007 再会、幼馴染よ?

 パクリ臭いサブタイトルは気にしないで(汗)

 いきなり指を差され、妻斗は少し混乱した。

「えっと…どっかで会ったっけ?」

「え?…あ、そっか。変身してるから…」

 ソウカがウィザーズガントレットを操作してキーを外す。オウガの時と同じように体が光に包まれて二つに分離し、魔導師とギヴァーになる。

 ギヴァーは声からイメージした通りの若い男だった。20代半ばと言ったところか。それなりにハンサムだったのが一瞬、ほんの一瞬だけ人生=彼女いない歴の妻斗をイラっとさせたが、まあそれは置いておいた。

 魔導師の方はやはり少女だった。長い黒髪をツインテールにまとめ、青いシャツとひざ丈の黒いスカートに身を包んでいる。

 それを見た瞬間。

「…あぁぁぁぁぁ!!!エ…お前…魔導師になったのか!?」

 妻斗まで大声を上げた事に、レイナと青年ギヴァーとゴウキを驚かせた。

「妻斗、知り合いですか?」

「あ、ああ。」

 妻斗は少女を差してレイナに紹介した。

「こいつは吹原雪乃(ふきはらゆきの)。俺の実家のお隣さんだ。」



 妻斗が現在shadowに住み込みで勤めている事は知っての通りだが、もちろん実家はあるし両親もいる。稲森家と少女こと吹原雪乃の家は、お互いの母親が幼馴染であることに起因して、家族ぐるみで付き合いがあった。そして、妻斗も3歳年下の雪乃とは小さいころによく一緒に遊んだものだ。そんな幼馴染がお互いにギヴァーと契約を交わし、賢者の魔導師として戦っている事を知れば、そりゃあ驚きもする。

 shadowのテーブルで、妻斗と雪乃はその辺の事を説明した。

「幼馴染って実在したんだな。」

 そう言ったのは、ゴウキに変身していた少年だ。名を、土屋壌介(つちやじょうすけ)と言う。ナルシストっぽい雰囲気を持った、雪乃と同い年の少年だった。

「そりゃあ、探せばいるんじゃねえのか?」

 雪乃と契約したギヴァー、ライナーが頭の後ろで手を組みつつ言った。

 壌介のパートナーのアリシアは、初めて食べるフレンチトーストに興味津々だ。無言でナイフとフォークをひたすら動かしている。

「…アリシア。…おいアリシア!」

「んむっ!…は、はい…」

 驚いた拍子にフレンチトーストを胸に詰まらせたらしく、アリシアは苦しそうに胸を叩いた。

「姉ちゃん落ち着けって。ホラ水だ。」

 駆けつけた俊行にもらったお冷を一気に飲み干し、アリシアはやっと一息ついた。

「ごっくごっく…ふぅ…」

 アリシアは大人っぽい声から得られる印象よりもずっと若そうだ。20歳か21歳くらいか。黒っぽい褐色の肌と肩の辺りで切りそろえた銀髪が特徴で、これで耳がとがっていればフィクションのダークエルフその物だ。

壌介(マスター)、なんです?」

「いや、会話に参加せずに食ってばっかだから気になるんだよ。」

「し、失礼しました。」

 アリシアが赤くなりながら座り直す。流石に恥ずかしかったのだろう。

「んで、私が聞きたいのは此処から。何であんたが賢者の魔導師になってる訳?」

 雪乃が手に持っていたストローで妻斗をピシっとさした。

「俺?俺はな…」

 聞かれたので、妻斗は自分がレイナと契約するに至った経緯を話した。

「…あんたバカ?」

「バカ!?」

 雪乃が呆れ気味に言った言葉に、妻斗は思わず反応した。

「だってそうよ。契約って一生解除できないのよ?あんたは唯の一時の義憤心でそれをやったのよ。」

「しかし雪乃、妻斗は賢者の魔導師としての素質は中々のものです。潜在能力で言うなら、以前の私のパートナーを越えているかもしれません。」

「あんたレイナって言ったっけ?そうは言っても、さっきの戦いで分かったわ。こいつ魔術師としては完全に素人じゃない。いくら素質があっても、それじゃ意味無いわよ。」

 けなされているようで腹が立ったが、妻斗はすぐ、一つの疑問を抱いた。

「なあ雪乃。」

「何よ?」

「さっきから俺をトーシロ呼ばわりしてっけどよ。お前はどうなんだよ?」

 同じ現代人なら、ただ契約した時期が違うだけの筈だ。しかもホムンクルスとギヴァーが目覚めたのはほんの数ヶ月前だ。

「ああ、あんたは知らないんだったわね。私の家は魔術に携わる家系なのよ。お父さんなんか魔導師じゃなくて魔術師だし。」

「マジ!?」

 妻斗は驚いた。それはそうだ。彼が知っている吹原家は、母親が外で働き、父親が家事や子育てを担当している事を除けば普通の家だ(母親の家事能力が壊滅的なのが理由らしい)。そして雪乃父も、魔術のまの字も無さそうな所帯じみたマイホームパパだ。何せ、一番最初に思い出すのはチェックのエプロンを着て湯気の立つ鍋を持っている姿なんだし。

「だから私は、小さいころから魔導師として育てられたの。ホムンクルスがいつ蘇ってもいい様にね。」

「ちなみに僕の家もそうさ。ま、吹原家程の格式はないけどね。」

 壌介が補足する。

 妻斗はと言えば、身の周りからどんどん非日常が掘り返されていくようで、少し呆然としていた。というよりだんだん慣れて行っているらしかった。もう、俊行が実はスティーブン・セガールばりの強さを誇る怪異バスターだったり、自分が実は人間と天界人のハーフだったりしても驚かない自信があった。

「おい妻斗、言っとくけど俺はセガールの足元にも及ばないからな。」

「心読まないでくださいよエスパーですか。」

 俊行が妻斗に言い、妻斗が返した。

「まあ、魔術関連の家系なんてそうそう多くはないけどね。で、話を戻すと、あんたも魔導師になった以上は自分を鍛える必要がある訳。」

「わーってるって。実感ねえけど。」

「ってわけで、私がこれからあんたを鍛えてやりたいんだけど。」

「そうか?そいつはありがた…」

 そう言ってから、妻斗は一瞬だけ固まった。

「…え、これからって、いつから?」

「これから。今すぐ。」

「…マジ?」

 文中の記述について触れますが、セガールなら素手でホムンクルスを倒しても不思議じゃないですよね。フルメタアナザーではセガールが素手でサベージを倒す映画とかあるらしいですし。

 それはそうと、この作品に登場する賢者の魔導師ですが、実は名前に法則性を持たせてあります。

 まあ、そんな難しい物ではありません。使用する魔術の属性に関する二字熟語をバラして名字と名前の頭文字に当ててるだけなんですけど。

 列挙すると、

・稲森妻斗→稲妻

・吹原雪乃→吹雪

・土屋壌介→土壌

 となります。

 なので今後はキャラの名前にも注目していただければ、と思います。

 ちなみにその他のキャラはその場のノリで付けてます。

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