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005 それから

 夜の路地裏。日付がとっくに変わった中、くたびれたサラリーマン風の男が、街灯がぽつぽつとともる中を必死に走る。

「ハアッ…ハアッ…何なんだアレは…」

 男が『ソレ』に遭遇したのは、30分ほど前の事。会社の同僚と居酒屋で飲み、解散したのち上機嫌で歩いていた時だった。いきなり現れた男が目の前で異形の姿に変身し、彼の方へと歩み寄ってきたのだ。明確な殺意と共に。

 複雑な道を走り続け、後ろに追手の姿が無い事を確かめる。酔いなどとうに吹き飛んでいる。

「ふう…」

 一息ついた直後。

「へえ。もう終わり?」

 男は凍りついた。顔を上げると、目の前には撒いたはずの怪物が。

 ガタイのいい褐色の体。半ば胴体に融合し前にせり出した頭には見るからに鋭いツノが付いている。そう、まるでサイを思わせる姿だ。厳つい見た目に似合わない軽薄な声だったが、男に本能的な恐怖を刻み込むには十分だ。

「んじゃ、魔力いただきまーす。」

 サイ怪人が、腰を抜かした男に向けて拳を振り上げる。

「や…止めろ…誰か、誰かァァァァァァァァ!!!!!!」







『エフェクト:サンダー!』

 バァン!

 唐突に響いた少女の声。そしてはげしく鳴り響くサウンド。その直後、サイ怪人が大きくよろめいた。

 男が覚悟していた衝撃も、激痛も来なかった。

「…え?」

 男が顔を上げると、目の前の光景には変化が起こっていた。背中に大ダメージを負ったサイ怪人と、その数メートル後ろでそろえた人差し指と中指を拳銃の様に構えた、黄色とメタリックシルバーの鎧人間。

「…早く逃げな。」

「あ、ああ…」

 男は慌ててたちあがると、よろめきながらその場を走り去って行った。

「お前…賢者の魔導師かよ。メンドくせえ…」

「そりゃどうも。」

 サイ怪人――スラストライノセラスの言葉に、オウガは飄々とした口調で答えた。

「お前のせいでメシが逃げたっつーの。」

「願ったり叶ったりだな。」

『妻斗、無駄口を叩いている暇があったら…』

「分かってるぜレイナ。ソッコーで片づける。」

「チョーシ乗りやがって!」

 いきり立ったスラストライノセラスがオウガに飛びかかる。しかし、5メートルほどの間合いに接近した瞬間、オウガの指先から放たれた電撃がスラストライノセラスを直撃した。

「グアァッ!」

 サンダーショット。オウガが行使する、指先から電撃を放つ魔術だ。一度のキー装填での使用可能回数は10発。その射程距離は約20メートル、威力は実に4000万ボルトにも及ぶ。

 続けざまに叩き込まれた8発の電撃が、全てスラストライノセラスに直撃する。装弾数を使いきったオウガはスラストライノセラスに踊りかかり、パンチとキックの雨霰を叩きこんだ。

「ンの野郎!」

 スラストライノセラスはツノに手をかけると一気に引き抜いた。直後、手の中の角が肥大化、大振りのランスに変化する。

「お前だけが武器持ってるとでも思ってんのか?」

 オウガは重量級の刺突を交わしつつ、手の甲のパーツから新しいキーを出現させ、腰の横のデバイス――スペルリーダーに装填した。

『アームズ:サンダーブレイド!』

 空中に黄色い魔法陣が出現。オウガがその中から引き抜いたのは一振りの刀だった。

 日本刀の様な刀身だが、反りは入っていない。鍔にはオオカミのような意匠があしらわれ、柄頭にはキーを装填するためのスロットが。

 サンダーブレイド。初陣で倒したソードマンティスから手に入ったキーで召喚される、オウガの武器だ。

 オウガはすさかず手にした刃を振るった。1撃、2撃、3撃と斬撃がスラストライノセラスのボディに食い込む。本体も武器も重量級のスラストライノセラスは、オウガの素早い動きにまるで追従できない。ランスが弾き飛ばされ、渾身の一突きがスラストライノセラスの体勢を大きく崩す。

 オウガはサンダーブレイドを左手に持ち替えるとさらに新しいキーを召喚。スペルリーダーではなくサンダーブレイドのスロットに装填した。

『ファイナル:ボルティックディバイド!』

 サンダーブレイドの頭身に、眩い稲妻が纏われる。オウガはスラストライノセラスまで突進すると、刀身を下に振り、その弾みで大きく体を捻る。そして1回転の勢いを乗せた必殺の斬撃が、スラストライノセラスのボディを直撃。

「ぎゃあぁぁっ!そんな・・・そんなぁぁぁぁぁ!!!」

 断末魔の声をあげ、スラストライノセラスが爆散、石化した体が砕け散り、新しいキーがオウガのもとに飛来する。

「よっし、いっちょあがりっと」

『さて、戻ったら魔術の練習を再開しますよ。』

「…やっぱやるのな。」

『当り前です。継続は力なり、と昔から言います。魔術とて例外ではありません。一朝一夕で何かをものにしようなど甘い考えであって(以下略)』

「分かった。分かったから!」

 オウガはげんなりした声を上げつつ変身を解き、妻斗とレイナに戻る。





『…次のニュースです。ここ数カ月世間を騒がせていた謎の失踪事件が、近頃目に見えて減りだしました。とはいえ、完全に無くなった訳ではなく、人々の不安の声は…』

 日曜の朝。女性アナウンサーがニュースを読み上げる声が、shadowの店内に響く。それを聞きつつ、妻斗は机に突っ伏していた。

「…疲れた…」

「ハハハ、そんなにきつかったのか、レイナの特訓?」

「ありゃ特訓じゃなくてもう完全にお勉強ですよ…」

 俊行の茶化すような言葉に、妻斗は勘弁してくれとばかりの声を絞り出す。

 妻斗がオウガの力を手にしてから、1カ月。先のソードマンティスとスラストライノセラスを含め、妻斗は5体のホムンクルスを撃破していた。

 ちなみに、守川夫婦は妻斗がレイナと契約を交わし、オウガとなってホムンクルスと戦っている事を知っている。妻斗自ら説明し、目の前で変身したら二人ともあっさり信じてくれた。おかげで、戦いに行く時に変な言い訳を使わずに済む。

 レイナは、何と住み込みでshadowのウェイトレスになった。「shadowって喫茶店にすげえかわいいウェイトレスが来た」と言ううわさは町内に結構な速さで広まり、彼女を目当てに来店する客も増えていた。

「そんなグロッキーで大丈夫か?今日買い出しに行ってくれるって話だったと思うが。」

「…そーでした…」

 妻斗は疲れた顔を起こすと、でっかい溜息をついた。

 唐突ですが、此処で企画を一つ開催いたします。

 オリジナルホムンクルスのアイデアを読者の皆さまから募集したいと思います!

 実は今企画してるホムンクルス、テラフォーマーズがヒントになったものがかなり多いんですよ。そして、そのせいでかなりの割合が虫です。動植物がベースなのにこれはバランス悪い!かなり!ということで、こうなったらいっそ募集しちゃえと言う感じです。

 応募していただいた場合、何としてでも出演させるつもりです。

 さて、募集要項は以下の通りです。


個体名:武器、または特性を現す英単語+動植物(ペガサス、ケルベロス等と言った神獣は不可。出来れば虫以外で)の名前

使用武器、能力など

その他備考:戦闘スタイル、性格、弱点など


 気が向いたら、ぜひ応募お願いいたします!

 応募特典として、もれなくDXオウガ変身セットとソフビフィギュアをプレゼント(嘘)!

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