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わーるど ちぇんじ  作者: 焼き黄粉餅
編入編!
7/7

望みたい望み

エタってすみません。


ハッピーエンド目指して頑張りますので、応援よろしくお願いします。




 体操着を取り返し、着替えた俺は、1人で体育館に向かった。

 体育は合同授業らしく、1組と3組らしい生徒も集まっていた。

 この学校の体操着は、上が白で下が青だ。

 ちなみに、指定のジャージの着用も許されていて、そのジャージは上下どちらも青色。

 デザインは入っているものの、そこまでいいデザインではない。普通の、体操着だ。

 でも、水着のように男女別だ。

 簡単に言えば、体操着の・・・下の先が短い。

 体操着の先が、腿の付け根の部分までしかなく、その、えっと・・・恥ずかしい・・・。

 これじゃあ、ほとんどブルマじゃん。

 パンツの上にもう1枚履いてるだけじゃん。

 ピッチリとした感触が、何とも言えない。

 男子は、普通の短パンくらいの長さだ。

 だ、男女差別・・・反対・・・。


 だから、恥ずかしくて俺は上下ジャージを着用している。

 他の生徒を見る限り、俺以外にはジャージを着ている生徒はいない。

 まだ、羞恥心を覚えるには早すぎる年頃だよな・・・。

 1人でも同じような人がいれば、安心できるのだが。

 って、なんで小学生の仲間を求めてるんだよ。

 俺には、仲間はいらないんだよ。


 子供なんか嫌いだし。

 血が繋がっていようと、何年一緒にいようと、関係なかった。

 それなのに、ただの友達が、他人を裏切らないわけがない。

 だから、いらない。


 これが、俺の言い訳だ。自分の心への言い訳。

 本当は、誰かに支えて欲しい、誰かに助けて欲しい気持ちを偽るための、言い訳だ。


 ・・・でも、ふと見たら1人だけ、別のクラスに、上下ジャージを着た子がいる。

 どこかで、見たことあるような・・・そんな気がする。

 茶色の髪を高い位置でポニーテールに纏め、寂しそうに1人でポツンと座っている、可愛らしい女の子。

 周りの生徒の事をチラリと見ては、俯く少女。


 ・・・。

 なんとなく、俺はその子に近づく事にした。

 話しかけてみることにした。

 特に深い理由もなく、俺は彼女の目の前に立った。


「・・・」


 俺に気づいたらしく、ポニーテールの子は、俺のことを見上げる。

 黒い瞳に、孤独を感じた。

 だけど、どこか期待の目を俺に向けていた。


「・・・」


 う・・・。

 なんて話そうか。

 よく見たら、周りの子より、今の俺よりも幼く見える。

 寂しげな表情もあって、凄く弱々しい見た目の女の子だ。

 ・・・。

 なんで俺、話しかけたんだろう。

 1人でいればいいのに。静かにしてればいいのに。

 って、話しかけてないか。

 なるように・・・なれ、でいいな。

 そもそも、なんとなく話しかけたくなっただけだし。


「大丈夫・・・ですか?」


 うむ。敬語キャラは続行だ。

 別に、敬意を払っているわけじゃない。ただ、距離を作っているだけだ。


「私・・・?」


 キョロキョロと辺りを見回してから、ポニーテールの子は自分を指差した。

 そしてやっぱり、どこか期待している目をしていた。

 1人ぼっち・・・なのか。

 この子は、友達がいないのか。

 ・・・。

 そうか、俺は親近感を抱いていたのか。

 誰かと心を共にしたいけど、できない。一緒にいたいけど、いれない。

 家族に捨てられた俺と、友達がいない少女。

 少しは、似ている気がする。

 まぁ、友達いないと決めつけない方がいいか。


「・・・」


 だから、俺は彼女の問いに小さく頷いた。

 それを見た少女の顔は、やや明るくなった気がした。


「なぜ・・・貴方は1人でいるのですか」


 さすがに、露骨すぎたか。

 質問が鋭すぎたか。

 彼女は、辛そうな笑みで、「えへへ・・・」と寂しく答えた。

 強がっているのが丸わかりな、痛々しい笑顔だった。


「私、学校に来たの、久しぶりだからーーー」


 ・・・学校に来たのが、久しぶり?


「だから、友達が、いないんだ」


 友達が、いない。

 言っては悪いが、それは見れば分かる。

 それよりも、気になるのは、学校に来たのが久しぶりという言葉。

 2年生で、この学校。

 あいつと、同じだ。


「学校に来たのが、久しぶり?」


「うん。私、体が弱くて、学校全然来れなかったの」


 体が、弱い。

 まさか。

 そんな筈は無い。

 だって、あいつは、目が赤かった筈だ。

 それに、あいつの体質は、治らない。治れないんだ!

 だから、違う!


「・・・名前は!?お前の、名前は!?」


 思わず、俺は声を荒げる。

 言葉遣いを気にしていられない。

 俺の声に驚いた少女は、やがて答えた。

 その口から零された言葉は、俺の望まないものだった。


「宮野・・・宮野、梨花」


「っ!?」


 梨花?

 梨花だって?

 俺の、妹の、梨花?

 そんな、そんな筈は・・・。


「どうしたの?」


 彼女の問いに、俺は答えられなかった。

 頭の回転が、追いつかなかった。


 『梨花の病弱体質は治った』

 『後は、君の行動次第。梨花を元気に出来るかどうかは、ね』


 あの女の言葉が、頭の中で蘇る。

 本当に、治っているなんて・・・。

 そして、告げていたもう1つの言葉。


 後は、俺の行動次第。


 俺の行動次第で、梨花に、償えるということか?元気に出来るのか?

 ・・・梨花の顔を改めて見る。

 寂しそうな、梨花。

 俺が、俺が・・・梨花の支えになって、梨花に友達を作ってあげれば・・・。


 そうすれば、梨花を元気に出来るのか?


 ・・・。

 本当は、梨花とは会いたくなかった。

 会わせる顔なんてなかった。

 でも、梨花を元気に出来るなら。

 俺は、梨花の近くにいよう。

 梨花が元気になるまでの間。友達ができるまでの間。

 俺は、梨花を守り続けよう。


「栗林恋」


「え?」


 俺は、梨花に手を差し出した。


「栗林恋です。宮野さん、友達になってください」


 俺は、梨花を守る。

 梨花に償う。


 そう、決めた。


「私と!?友達!?」


 信じられない。そんな顔をする、梨花。

 安心しろ。

 俺はもう二度と、お前を裏切らない。

 許してもらえるとも思ってない。

 だけど、これからは、ずっとお前の味方だ。


「はい」


 俺は、小さく頷く。


「え、あ・・・ありがとう」


 俺は、梨花の暖かい手をしっかり握った。



梨花「そ、その・・・よろしく、ね?」


恋「はい」


梨花「・・・」


恋「・・・」


梨花「えっとーーー」


恋「宮野さん、貴方は何組ですか?」


梨花「1組だよ?それでーーー」


恋「なら、とりあえず1組ですね」


梨花「え?あ、うん・・・」


二人「次回、友達を増やせ!」


恋「そのままなタイトルですね」


梨花「うん・・・」


梨花(敬語じゃなくていい。とか、名前で呼びあおう。とか、言えなかった・・・。病院の友達とは、そうしてるし、せっかく友達になれたのに・・・)

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