うざい奴
短い・・・ですね。
今の状況を、改めて説明する。
俺、宮野蓮は朝起きると、白い髪の女の子・・・幼女になっていて、家族に見捨てられた。
その後、敦子さんに拾われて、栗林恋になった。
見た目的にも仕方なく、小学二年生になった俺は、喋る口調・発音がキザなドS・教師失格男・・・紅善吉に連れられて教室に向かったが、そこで善吉は名簿を忘れただか言い出して、教務室に戻ってしまった。
で、水を飲みに行こうとした俺は、
押し倒された。
いやいや。ちょっと待てよ。
もう、チャイムは鳴っただろ?生徒は教室に入るべき時間じゃないのか?
まぁ、小学二年生なんだ。異性(身体的には)を押し倒しても、まだ気にしない年頃だな。
ここは、大人の(高校生の)対応をしてやるか。
「・・・邪魔」
俺は、呟いた。
・・・。
もちろん、他の言い方もある。
だけど、俺は友達が欲しい・・・訳じゃない。
小学生の友達なんていらないし、作るわけにもいかない。だって、子供苦手だし。
それゆえの、じみアピールだ。
そもそも驚いたが、男に押し倒されてもどうと言うことはない。子供だし。
「う、うるせぇ!お前が飛び出してきたのが、悪いんだろ!」
起き上がりながら、文句を言う少年。
いきなり飛び出してきた・・・?
年甲斐もなく、イラッとしてしまったが、我慢する。
「・・・」
俺も、立ち上がる。
その間に「バーカッ!」と言って、少年は走って行ってしまった。
・・・本当にイラッとするが、俺は少年の行く先を無視して、水を飲みに行った。
善吉は、間もなくして戻ってきた。
◇ ◇ ◇
「お、お前!」
・・・。
・・・・・・。
善吉に呼ばれ、ようやく静かになった教室―――二年二組―――に入った俺をまず迎えたのは、少年の声。
と、言うか。さっきぶつかった少年だった。
「なんだ?お前らもう仲良くなったのか?」
「ちげぇよ!こいつが―――」
「彼が廊下を走っていたため、ぶつかっただけです」
嘘はついてない。
「ほぅ?和樹。貴様、また遅れてきたのか?」
「な、なんでそうなるんだよ!」
「先生と別れたのは、チャイムの後ですから」
「そう言うことだ」
「な、・・・ごめんなさい」
「はぁ・・・しょうがない。栗林、席につけ」
・・・。
・・・・・・?
は?
「どうした?何か忘れたか・・・あ」
おい。こいつ・・・。
「・・・栗林、挨拶しろ」
転入生の挨拶忘れんなよ・・・。
普通の子供だったら、泣くぞ?
「はい・・・」
ジド目を向けつつ、俺はチョークを取って、ギリギリ背の届く黒板の真ん中辺りに、『栗林恋』と書いた。
すると、生徒達がざわつき始めたが、無視しよう。
「ここに書いてある通り・・・」
「おい、栗林。平仮名で書け」
善吉に言われ、俺は我に帰った。
今の俺は、小学二年生だ。
そんな、子供が書ける字なんて、この中じゃ『林』だけだ。
やっちまった・・・。
「す、すみません」
俺は、漢字の下に『くりばやしれん』と書いた。
これなら、問題ないだろう。
「えっと・・・栗林恋です。・・・よろしく?」
「だれがお前となんか!」
「・・・」
俺は苦笑いを浮かべる。
あの、和樹という少年。
なんていうか、・・・うざいな。
◇ ◇ ◇
・・・疲れた。
小学生の質問攻めも、授業中の質問攻めも、もう飽き飽きだ。
まぁ、軽くあしらっていたお陰で、友達はできなかったが。
強いて言うなら、孤立的な地味な転校生に、俺はなれた。
・・・わざとだぞ?
で、次は体育の授業だ。
四時間目。給食前。
男女混合で教室で着替える。小学二年生だしな。
もちろん、俺は教室の一番端の一番後ろの席で一人で着替える。
小学生の着替えを覗き見るようなまねはしたくはないので、窓の方を見ながら着替えている。
俺は、上着を脱いで窓を見直す。
「っ・・・」
シャツ姿の女の子と目があった。
というか、鏡に写った俺と目があった。
う・・・。
風呂といい、着替えといい、慣れれないな・・・こればっかりは。
少し緊張して、赤くなった俺は、異常事態に気づいた。
あれ・・・?体操着は・・・?
てか、さっき机の上に置いたはずの体操着袋が、なくなっていた。
罪悪感を覚えながら、俺は教室を見回す。
「くす・・・くふふ・・・」
犯人を発見した。
現在犯人は、机の間を這うようにして移動している。
もちろん、犯人は和樹だ。
・・・さすがに、うざすぎる。
「返せ」
進行方向に立ち、俺は和樹を睨み付ける。
「わかった、よ!」
立ち上がった和樹は反対方向に、体操着袋を投げた。
そして、ケラケラ笑いだした。
「・・・」
無視だ、無視。
さっさと着替える・・・。
この時点から、俺と和樹の相性は最悪だな。もし隣になったらどうしよう・・・。とか、俺は被害妄想を始めていた。
ていうか、やっぱりこいつは、うざい。
◇ ◇ ◇ 次回予告 ◇ ◇ ◇
和樹「くっそぉ・・・つまんねぇな」
?「どうしたの?和樹君」
和樹「優人、あの転校生どう思う・・・?」
優人「ぼ、僕は・・・可愛い子だな、って思うよ?」
和樹「そうか?俺はアイツが楽しそうにしてるとムカムカする」
優人「えぇ?和樹君あの子と朝以外話してないじゃん・・・」
和樹「なんか、嫌なんだよ・・・」
二人「次回、望みたい望み」
和樹「アイツ着替えんのおせぇな・・・。よし・・・」
優人「?」