その王妃 傾国の美女
オステリウス王国。
この国の王妃は傾国の美女である。
『傾国の美女と呼ばれる』ではない。まさしく『傾国の美女である』だ。
なにせ体重が70垓kg
(=7,000,000,000,000,000,000,000kg)ある。
月の10分の1だ。(月ってなんだ?)
居るだけで地盤が沈む。国が傾く。
この国の王がまだ王太子だった頃に、当時婚約者であった公爵令嬢との婚約を破棄してまで手に入れた平民の娘だ。しかし、身分が平民だとかいうのは些細な問題だった。文字通り国に激震が走った。何せ実家から王城に移動するだけで全土を大地震が襲うのである。
地軸が傾き、自転が狂った。
公爵令嬢は父公爵ごと遠くへ避難した。円満婚約破棄である。めでたしめでたし。
「これが真実の愛だ!」
王太子の言葉に涙を流すソレ。濁流に呑まれる王都。
それにしても、王城どころか王都よりデカい。何なら国よりデカいソレ。居るだけで国境問題である。
さて、王太子妃、果ては王妃ともなれば、外遊も大事な公務である。
しかし、外遊先の国々からは
『何でもいうことを聞くから、後生だから来てはくれるな。』
という無条件降伏に近いお断りの言葉ばかり。解せぬ王太子(後の国王)。
アホすぎる国王が、一周回って世界の覇王に君臨である。
「これが真実の愛の力だ!」
王の言葉に歓喜に震えるソレ。空前の地震が世界を襲う。
広がりすぎた版図。その全てが被災地。
災害対策で国庫は空だ。
不満を募らせる国民が、ある時遂に一斉蜂起する。クーデターだ。
国王夫妻は王位を追われ、ここにオステリウス王国は終焉を迎えた。
傾国の美女(物理)が傾国の美女(政治)へ。二冠王である。
おしまい




