ざまぁ展開で婚約破棄されてる聖女ですが、妹殿下と繋がっているので怖くないです
「この悪女め!聖女を名乗るとはどういうつもりだ!」
と声を張り上げているているのは、私の婚約者でこの国の王太子の、ハルベルト王太子殿下だ。
気持ちがさぁーと冷めていくのがわかる。
今思うと、なぜこんなやつを好きになったのかと疑問になるほどだ。
私は元々、孤児院にいた。
でも、私は治癒魔法を使える数少ない人間だった。
その治癒魔法をみそめられ、下級貴族の養子になり学園に通っていたのだが。
ある日、魔物の間引きも貴族の役目であり、その体験授業の実習中の時にモンスタービートーーーー魔物の暴走が起きた。
その時、多くのものが怪我を負った。
もちろん、この王太子も参加していた、正直言ってその時から少し、情けないと思っていた。
だって今、王太子のとなりにいる(自称)親友ちゃんと一緒にいた親友ちゃんを逃げる時に魔物の方へ突き飛ばしていたのだ。
…正直言って、そんなことがあったのに王太子と一緒にいる気がしれないのだが。
そしてその時、親友ちゃんも大怪我をし、その後、王太子ももちろん大怪我を負った。
そして、私が二人の怪我も、他の人々の怪我も全て治したわけだが、なぜかこのバカーーーー王太子は王太子の前に怪我を負って気絶していた親友ちゃんが自分の怪我を治したと思っているのだ。
いやいやいや、親友ちゃんはあんたに突き飛ばされて先に怪我負って気絶してたのみてたよね???と思ってしまうほど、頭の中身が空っぽのようだった。
怪我を治して王太子が目を覚ました後、王太子が親友ちゃんが治してくれたと言い出した時は、私の治癒が不完全で脳みそがなくなったのかと思った。
そして、今は、どうやら親友ちゃんがあの時に怪我をした人を全員治したのは自分なのに私が功績を奪ったと言い張っているらしい。
ちなみに、この話は王太子の妹で、国民からの人気も、貴族からの人気も、そして同年代で未来の彼女ーーミレイアの側近になるであろう人たちからの人望も厚い、それに側近もとても能力が高い。
正直、この王太子を辞めさせて、ミレイア王女殿下に王太女をしてもらったほうがいいのではないかと言われているスーパーガールであるミレイア様が教えてくださった。
親友ちゃんは
「で、殿下、その件はもういいと言ったでしょう?!!」
と焦ったように言っている。
まあ、この場にいる全員、私がみんなの怪我を治したと知っている。
親友ちゃんが嘘をついているのは明らかにわかっている、わかってないのは王太子だけだ。
こうなるように煽っているのはミレイア様だ。
王太子に悪いことは晒さなきゃ!と正義感を煽ったりしたらしい。
ミレイア殿下は本当に賢い。
この場には、伯爵家以上の家しかおらず、しかも、ミレイア殿下を王太女に推しているものばかりだ。
今回の件は、彼女にとって都合がいいのだろう。
今、城下で聖女だと噂が広まっており、貴族のものも私を支持しているものが増えている。
つまり、それは私の婚約者でである王太子を勢いづけることになる。
この場で、王太子が婚約破棄を持ち出せば彼の地位は崩れる。
ミレイア殿下より、婚約破棄を持ちかけられたら、すぐに了承してほしいと言われており、婚約破棄されても、今後の地位は約束すると言ってくださった。
「なぜ止める!この女は君の功績を奪い聖女を名乗っているのだぞ!」
私は決して聖女を名乗ったことはないのだが。
周りがそう囃し立てており、それをミレイア殿下が煽って噂を広げておるだけだなのだ。
…おっそろしい王女殿下。
「お兄様〜、どうかされましたか?」
といつも通りの可愛らしい顔で言う。
「ミレ〜」
と甘々な顔で王太子がミレイア殿下に抱きつこうとする。
「お兄様、人前ですよ!」
とほおを膨らませながら怒ったふうにする。
側から見たら可愛らし妹が兄を叱っているようにしか見えない光景だが、本性を知ってしまった今は恐ろしいとしか思えない。
「ごめんね〜ミレー」
と王太子がいうと
「何があったんですかお兄様?」
といい笑顔で言う、黒く見えるのは私の気のせいだろうか。
「この女が聖女を名乗るから」
「お義姉様がどうしたんですか?」
と白々しくおっしゃってるミレイア殿下。
……こわっ。
おっとミレイア殿下に王太子が喋り終わったみたいだ。
「まあ、ひどい、その女が私の義姉になるなんて嫌だわ」
と言っている、王太子はミレイア殿下が私が嫌だと言っているように聞こえているようだが、完全に視線は親友ちゃんを見ている。
でもそれを自分の都合の良い方にしか考えられない王太子は
「そうだろう!おい!お前とは婚約破棄する」
と声を張り上げる。
あ〜あ、ミレイア殿下、完全に王太子をゴミを見る目で見ている。
「はい!わかりました!」
といい笑顔でそう返すと呆気に取られた顔をする王太子。
「つっつよがっているのだろう!」
と苦し紛れに言っているが、混乱している。
「っっっっっあっはははっはは」
とついに笑いを堪えきれなくなったミレイア殿下が声を張り上げて笑う。
「どうしたんだ?ミレー?」
と不思議そうな顔で声をかける王太子、いや、もう、王太子じゃなくなるか、王子でいいや。
するとミレイア殿下はいい笑顔で
「お兄様、ありがとうございました、これで完全に、お兄様は後継者争いからいなくなりますね」
という、だが王子は混乱したように、
「どう言うことだ?ミレー?」
と返す、ミレイア殿下はバカにもわかるよに
「まだ、わからないのですか?お兄様が王太子でいられたのは聖女を王妃に迎えるためだけですよ?あなたが聖女の婚約者でなければ、王位を継げるわけないじゃありませんか。私はあなたより全てが優れているのですから」
と教える、完全に兄に妹として接している態度じゃなくなっているが、ミレイア殿下の言うことは真っ当なことだ。
婚約破棄さえしなければ、王位を継げたのに、バカな王子様。