2021年9月 全国フェミニスト議員連盟の公開質問状に対する反応
全国フェミニスト議員連盟の公開質問状に対して、9月9日に松戸市教育委員会と千葉県警、そして9月16日に松戸市こと松戸市市長が回答を出している。
各回答を、社交辞令を抜きにして本文のみ引用する。
まずは松戸市教育委員会。
「平素より、本市における教育行政にご理解、ご協力を賜り厚く御礼申し上げます。
さて、この度、いただきました「ご当地VTuber戸定梨香」を啓発動画に採用したことに対する公開質問状に関しましては、松戸警察署及び松戸東警察署が交通安全啓発活動における施策の一環として実施したものと理解しており、基本的には、他の行政機関が実施した個別の施策に対して、松戸市教育委員会として意見を表明する立場にございません。
しかしながら、松戸市教育委員会としても、人権尊重を基本とし、教育施策において様々な人権教育を推進しておりますことから、もし、人権が侵害されるような場合には、これを支持するものではございません。」
次に千葉県警。
(わかりやすいように、各質問について、全国フェミニスト議員連盟の質問内容を引用し、回答として千葉県警の回答を引用する)
全国フェミニスト議員連盟 質問
「1、交通事故防止啓発キャラクターに、戸定梨花を採用した理由をお答えください。 」
千葉県警 回答
「質問1について
松戸警察署では、小学生や中学生を対象としたコロナ禍における非接触型の交通安全教育を模索する中、松戸市の魅力を発信するなど地域に根ざした活動を行っている芸能プロダクションから「ご当地VTuber戸定梨香」による広報啓発活動の提案を受け、起用に至ったものです。」
全国フェミニスト議員連盟
「2、女児を性的な対象として描くキャラクターを採用することは、性犯罪誘発の懸念すら感じさせるものですが、採用決定過程においてどのような検討をされたかお答えください」
千葉県警 回答
「質問2について
松戸警察署の男性職員及び女性職員が参画して、「ご当地VTuber戸定梨香」の過去の出演映像等を確認するなどして検討しました。」
全国フェミニスト議員連盟
「3、ジェンダー平等の視点から、このようなキャラクターを起用した警察署の発信をどうとらえているかお答えください。
4、青少年への様々な教育や施策に関わる立場として、この動画をどう考えるかお答えください。 」
千葉県警 回答
「質問3及び4について
今回の啓発動画は、対面での交通安全教育が実施困難な状況下において、自転車の安全な利用を呼びかけるため、地域に根ざした活動を行っている芸能プロダクションのご協力をいただき、交通事故防止の観点から作成したものです。
いただいた御意見につきましては、今後の広報活動の参考とさせていただきます。」
最後に松戸市こと松戸市市長。
「平素より、本市行政にご理解ご協力を賜り厚く御礼申し上げます。
松戸市ご当地VTuber戸定梨香を交通安全啓発活動における施策の一環として採用したことに関しましては、他の行政機関(千葉県警察)が実施した個別の施策であり、経緯の詳細について存じませんので、意見を述べることは差し控えさせていただきます。
松戸市におきましては、人権を尊重しつつ、男性と女声が対等な関係性を持って、ともに様々な分野において活躍し能力が発揮されるよう取り組みを進めてまいりますので、ご理解賜りますようお願い申し上げます。」
さて、当事者である千葉県警はともかく、他の二つは要約すると「警察が独自にやったことは知ったこっちゃないよ」と言って、最後に当たり障りない言葉を述べているだけである。
考えてみればそれもそうとしか言えず、なぜ全国フェミニスト議員連盟が松戸市と教育委員会へ公開質問状を送ったのか私にはわからない。
全国フェミニスト議員連盟の主張が正しいのかどうかは後で検証していくが、奇妙なのは「当局の謝罪」を求めていることだ。
議連の文章の当該部分を抜粋すれば「私たちは、(中略)千葉県警、松戸警察署・松戸東警察署に(中略)謝罪(中略)を求めます」となる。
疑問は二つある。
何を謝るのか?と誰に謝るのか?だ。
もしも全国フェミニスト議員連盟の抗議内容を吟味した結果、議員連盟の主張が正しく、警察が性犯罪やらなにやらを助長しているのであれば、謝罪する必要があるのかもしれない。
少なくとも、全国フェミニスト議員連盟はそう信じていると思うので、それはいい。
だが、誰に謝るのか?は依然として謎のままだ。
気をつけなければならないのは、「私たち『は』謝罪を求めます」と書いてあるのであって「私たち『に』謝罪を求めます」と書いてあるわけではないことだ。
つまり全国フェミニスト議員連盟は自分達に謝罪しろと主張しているわけではない。
そして事実、千葉県警は公開質問状に対する回答において、全国フェミニスト議員連盟に謝罪は行っていない。
もちろん私達が知らない裏で千葉県警が全国フェミニスト議員連盟に対して謝罪をしている(かつ、その事実は全国フェミニスト議員連盟と警察しか知らない)可能性がゼロではないのかもしれないが、あえて公開質問状に書いてある謝罪要求を無視して別口で謝罪するのは不自然だと思う。
よって、千葉県警も全国フェミニスト議員連盟に謝罪する意図はないのだろう。
ここからは想像だが、おそらく千葉県警の責任者に記者会見を開かせて、松戸市民あるいは日本国民に謝罪をすることを求めていたのではあるまいか。
こうしたパフォーマンスばかりを重視し、本当に女性差別撤廃の役に立つことはせず、女性の仕事を奪うのが昨今のフェミニストの特徴なのだな、と呆れた次第である。