第4話:ヴァンパイアとの遭遇
城塞都市チールを出た2人はグリフォンにまたがり、フリージアの住む街を目指していた。
『見えて来たわ!あそこが私の住んでいる街イタルプよ』
『着いたか。もうそろそろ夕方だ早めに降りよう』
イタルプの街から離れた森の中に降りた二人は、グリフォンを森に残し歩いて街に向かった。
2人が街に入るころにはすっかり日も暮れていた。
『おかしい...。いつもより人が少ないわ』
フリージアは街を見渡すとつぶやいた。
『ヴァンパイアの事件を警戒してのことだろう。夜間外出禁止命令も出ているかもいれないな。犯人がまだ捕まっていない証拠だ』
2人は夜の街をヴァンパイアが姿を現すのを願い練り歩いていた。
何時間も街を歩き続け、フリージアが疲れからルベルに話しかけようとしたその瞬間だった。
『つか...』
『しっ。ヤツだ、こっちにくる。君は危険だ。そこの路地裏に隠れてヤツの顔を確認するんだ』
『わ、わかったわ』
フリージアは頷くと路地裏へと走って行った。
ルベルの正面から一人の男が歩いてくる。手には何も持っておらず、そして見た目もどこにでもいる普通の30代ぐらいの男性だ。
男は道で立ち止まっているルベルに気づくが、何もしてこない。
そのまま男は歩き続けルベルの真横を通過するタイミングでルベルが話しかける。
『こんな時間に外出かい?』
『あぁ、女を探している』
男は死んだ目を動かさずにぶつぶつと答えた。
『女?知り合いの女か?』
『いいや、女なら誰でもが。今日は街がもぬけの殻だ。まぁ男でもいいか』
男はそう言うと咆哮を発した。
『うぅうぉぉぉおおおおお!!!』
男が雄たけびを挙げると、身体が巨大化し上着が破れ、肌の色は黒くなり頭から左右に2本の角が生え、背中から大きな翼が生えてきた。
ルベルは男がヴァンパイアに姿を変えている間に距離を取り戦闘準備に入った。
ルベルが右手のひらを上に向けると手の中には小さな火の塊が現れた。
ルベルがその火の塊を変身したヴァンパイアに向かって投げようと振りかぶった。
『待って!その人じゃないわ』
2人の様子を見ていたフリージアが路地裏から顔を出しルベルに叫んだ。
その声にヴァンパイアも反応し、フリージアがいる路地裏に向かってものすごいスピードで飛んで来た。
『いるじゃねぇか女ぁぁああ!』
『やばぃ』
フリージアは全速力で路地裏の奥に向かって逃げていくが速度の差は明白、すぐに追いつかれてしまう。
フリージアにあと少しで追いつくヴァンパイアは飛びながら、長い爪で彼女を攻撃しようと腕を振りかぶった。
そして射程圏内に入ると腕を振り落とした。
『キーーーン』
金属同時がぶつかったような鈍い音がした。フリージアとヴァンパイアの間にはルベルが立って居た。
ヴァンパイアの攻撃はルベルの目の前にある見えない壁によって防がれた。
『すまないフリージア。路地裏に逃がしたのは僕のミスだ。最初から僕の近くにいた方が安全だったね』
『ルベル!どうやって...。こんなに速く移動したの』
『話は後だ。コイツは君が見たヴァンパイアでは無いんだね』
『えぇ、顔が違う。大きさもコッチの方が小さいわ』
『なるぼど。きっと噛まれたんだな』
そういうとルベルはポケットから聖水の瓶を取り出すと目の前のヴァンパイアにかけた。
『うぅぅうああああぁぁぁぁあ』
又もやヴァンパイアは咆哮上げた。
そして、聖水がかかった箇所から煙が上がり、煙の隙間からは人間の肌が見える。煙の出る箇所は徐々に広がって行きじわじわと男は人間に戻って行った。そして煙が出終わった時男は上半身裸で倒れていた。
『フリージア!君の力で...。あぁいやなんでもない』
ルベルは何か言う途中でやめてしまった。
男の叫ぶ声を聞いて街の傭兵が列をなしやってくるのが見える。
『この人は傭兵に任せよう。きっと助かったはずだ。とりあえず今はここから逃げよう。捕まったらヴァンパイア本体を倒せなくなる』
そうルベルは言うと、フリージアの肩に手を回し、そして消えた。
最後まで読んでいただきありがとうございました。
素人の書いた小説ですが、皆さんの心に何か響くものを届けられたら嬉しいです。
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