かいしんのいちげきなんだわ
クエスト成功祝いの飲みがはじまってしばらく彼らが幼馴染なことや今までの苦労話などを聞いていた
メンバーの一人が貴族だとか需要そうな情報をリックが酒を煽りながらべらべらと話している
冒険者の身の上は大体が長い
酒が何杯も必要なくらいに
大抵の奴が戦争や魔物に襲われて家族を失い職を探して冒険者になる
だがこいつらは昔から冒険者になるのが夢だったらしく大いに語ってくれた
俺は聞くだけだったから酒も大いに進んだ
盛り上がってきたリックの酔いが回ったのだろう、俺に絡んできた
「いやぁ今日の俺はすごかったっすよね!トーマスさん!!」
「あの時は草狼にナイフを投げてくれて助かったよ」
「そうっすよね?!よく反応できたと思いますよ俺!リリも敵に突っ込んでたしアーシアもリリについてたからさ!!」
「そうだな。リリもむやみやたらに敵に突っ込むのはよくないぞ、回復役がお前につきっきりになってしまうからな」
「助言ありがとうございます!ほかにもあったら是非お願いします!」
「ふむ・・・だとすれば大剣持ちは牽制や威嚇を心がけるとかなだな。大剣は重いしでかいからな、その分威力はあるが取り回しも難しいしここぞという時に敵に当ててでかいダメージを出すのとかいいんじゃないか」
「あっこいつ怪力スキル持ってるんで振り回すのは大丈夫っすよ!トーマスさんくらいなら頭から簡単に真っ二つっす!!」
恐ろしいことを言うな、想像したら酒がまずくなるだろうが!
「こら!乙女の情報を簡単に漏らすな!トーマスさんすみません・・・」
「いいさ、こいつもクエスト達成が嬉しいんだろう」
「だいぶ酔っぱらってますね。明日に響くのは勘弁してほしいんですが・・・」
俺は明日にならないとどういったクエストを受けられるかわからないが、彼らには予定があるのだろう
「でもやっぱ草狼が近くに来た時にどうにかできないのってまずくないっすかね?」
また絡みの矛先が俺に戻ってきたな
「うーんまぁ俺は左腕がこれだからな武器は杖しか持てんよ」
と左腕が上腕の真ん中辺りから無いことを、パーティの皆にもう一度見せた
クエストを受ける前に事前に左の肘から先がないのを確認したんだがなぁ
大きな荷物は背負えるし、ポーションの類は斜め掛けしている魔法カバンに入れている
俺の職も魔術師だから割と身軽なほうである
その時はオプションだし簡単なクエストだからと快く快諾してもらったが酒で忘れてしまったのか
ちょっと心が傷ついた
「ちょっと、失礼ですよリック」
アーシアさんが優しい
一言でも助かる
おっさんは傷ついた心が癒されますよ~と思っていたらリックは俺に大ダメージを与える一言を繰り出した
「やっぱ左腕がないから近接が弱いんすかね!!」
「は?」
この場の空気が付近のテーブルごと凍り付いた