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千夜狩猫アーカイヴス  作者: 千夜狩猫
ロファ・サーフェ・アーカイヴス
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10.そして生まれ変わる者たちへ.3

これでこの話は最後になります。次の話からまた違う物語になります

「・・・泣いても笑っても、今日、この日で決着がつく。お前も、フォル達と一緒に祈っていてくれよなゼクト」

日が未だ完全に出てはいないこの時間、ウィックは一人『灯の家』を出て、ここに来ていた。

 アルムトゥバルの奥部に位置する『剣』の継承の広場。

その祭壇を前にしてウィックは、フォルについていった弟、ゼクトに語りかけていた。

フォルにも、ロファの運命が決まる事を伝える為に・・・。

「頼むぜフォル。ロファを・・・守ってやってくれ・・・」

 気のせいか、ウィックには、フォルの返事が聞こえたような気がした。


 ところで、自分の運命が決まろうかというその日の朝。

ロファは何をしていたかというと・・・

「くぅ~! 生き返るなぁ~!!」

・・・朝風呂につかりながらお酒を飲んでいた。

「思いっきり、余裕かましていますねロファ」


アレクは、酒を片手にオヤジ状態の(おの)が師匠を見て、なんだか馬鹿らしくなって来ていた。


「こいつ、他人(ひと)の酒だと思って・・・。高かったんだぜそれ!」

 酒の提供者であるギルティスは、すでにあきらめ調子でロファに言う。

「いや、でも確かに美味いなこの酒。オレも気に入ったよ」

ディクスレイもお相伴にあずかりながら、機嫌よく言った。

「そんなにいいかぁ? おいらはまだ、酒よりも食い物の方がいいけどなぁ・・・」

「同感だね俺も。酒なんてただ苦いだけじゃないか」

リュウとセレトの少年コンビはまだまだ育ち盛りの真っ最中。

 当然の一言だろう。

「でもさぁ、何でみんなも風呂に入ってるんだ?」

それがロファの先程より抱いていた疑問であった。

「まぁまぁ。久しぶりにみんな揃った事なんだし、いいじゃないですかロファ」

ベネティアも明るい声で笑う。

「いないのはカイ、ウィック、ユウ、ランバート。あとはグラハムだけだな・・・」

ディクスレイは一同を眺め回してからそう言う。

「まぁな。もっとも、こんな所に女性陣が入って来たなら大変な事になるだろうけどな・・・」

と、ギルティスが言った矢先、

「なーに男同士で朝から風呂場で呑んでるのよ!! ジジムサい!」

風呂場の戸を開け、入って来たのは誰あろう、イリスその人であった。

「ブハッ!!」

 ギルティスが思いっきり酒を吹き出す。

「イ、イリス! 何しに来たんだよ。ここ男湯だぞ!?」

あわてふためいているのはイリスよりもむしろ男性陣の方であった。

「心配するな。百も承知だ」

「そ、その声はゼルダ?」

ロファは目に見えて慌てた。

「そうよぉ、だから遠慮はいらないわよ」

「エ、エリザまで・・・」

ギルティスがやや退く。

「出血大サービスですぅ~!」

「サラ、あなたもですか?」

セレトは内心のドキドキを押さえつつ、何とか冷静さを保とうとしていた。

「ハーイ!! 私もいるわよセレト!」

「え~! な、なんでセレナまでぇ!?」

リュウはリュウであさっての方向を向いていた。

「あたしもいるからね、リュウ」

「おやシンディ、あなたもですか?」

いつもとたいして変わらないのはベネティア一人であった。

「私もいるよ。よく見てよベネティア!」

「何だと、ユニスまで来てるのか? いったい何事だよこれは!?」

ディクスレイは女性陣に背を向けたまま叫んだ。

「イリスがね、『男同士でお酒なんか飲んでお風呂に入っていても美しくないから、ここらでビジュアルシーンを入れましょうよ』って言うから、みんなでお風呂に入りにきたの!」

元気良く答えたのはユニスの隣に立っていたテナーであった。

しかし真相は、『ロファをからかうのもこれが最後になるかも知れないから、みんなも手を貸して!』とイリスが言い出し、それについてゼルダが賛同。

そして一通り声をかけた結果、この様になったのである。

予想通り、男性陣はバスタオルを巻いて現れた女性陣に対し、それぞれ複雑奇妙なアクションを取っていた。

「さてそれでは湯船につかるとするか」

ゼルダは淡々と言いながらタオルを掴む。

「こ、こら、やめなさい!! 嫁入り前の娘がはしたないですよ!」

 ロファは目をつぶったまま抗議をする。

「あーら、嫁入り後だったら良いのかしら?」


イリスが(つや)っぽい笑みを浮かべる。

「私、別に平気だよ!」

「私も!!」

少女の純真さとは時にとても恐ろしくなる。

無邪気なユニスとテナーの発言は、この混乱した状況下ではとても大胆に聞こえた。

「やめるんだテナー!でないと後でカイに怒られるぞ!」

「大丈夫ですよ。ちゃあんとカイさんには前もって話を通してありますから。あ、ユウの方にも話しておいたからねギル!」

セレナの一言に、男性陣はとりあえずカイを恨むことにした。

(ウィックならかえって悔しがるだろうし、なにより顔面蒼白になったギルの姿を見てしまったので・・・)

「それじゃあ、せーの!!」

エリザのかけ声で、一斉にバスタオルが宙を舞う。

その下で、男性陣はまさしく恐慌状態に陥った。

が、しかし・・・

「・・・それが水着という物ですか。皆さん、なかなかよくお似合いですよ・・・」

何が起こっても常に余裕を感じさせる男、ベネティア。

彼は最後までクールだった。

「・・・イリスの負けだな。大穴というのはハズれるから大穴なのだぞ」

「フン、だ。こつこつやるのはギャンブラーじゃないわ。女は度胸よ!!」

「でも負けちゃあどうしようもないわよイリス」

「わぁ、この臨時収入、何に使おうかなぁ・・・」

「ねぇねぇ、後で何かおいしい物でも食べに行かない?あたし、前に来たとき、チェックしておいたお店があるの・・・」

「あ、良いですねぇ。どこのお店ですかぁ?」

「私達は大事に貯金しておこうねテナー」

「うん、そうだねユニス」

凝り固まったままの男性陣を湯船に残し、女性陣は、来た時同様にあっという間に去っていった・・・。

これは後に『女性陣乱入、お風呂場パニック!』と命名された。


その日の昼間は、結局、何事も起こらなかった。

というのもロファ、ギルティス、ディクスレイ、アレクの四人は、興奮して酒が一気に回ったのか、フロから出るとひっくり返り、四人共々ランバート、ユエリーの二人の看護を受けることとなったし、おもだった女性陣、すなわちイリス、ゼルダ、エリザ、サラ、シンディ、セレナ、そしてユニスとテナーとオルニカは、イリスのおごりで食事に出かけ、後の面々は子供達と外で遊んでいたからである。


そして夕方、ロファ達は目を覚ました。

今日の夕暮れは、まるでこれから起こる事を暗示するかのように、(あか)(あか)く燃えていた。

ロファはしばし、夕日に目を細めつつも窓の外を見つめていた。

「さてと・・・行こうか!」


夜になり、辺りもすでに暗闇に包まれた。


 その暗闇は、『灯の家』を出て何処(いずこ)かへと向かいだした冒険者達と、その後をつける神官達の姿をも包み隠していた。

神官達は火を灯さず、前を行くたいまつの火を頼りに後を追い、そして行き先に見当をつけると先回りして隠れ、そのまま『死の道化師』が現れるのを待つことにした。

『灯の家』の冒険者達は、いつの間に設置しておいたのか、三本足の篝火の一つ一つ火をつけて回った。

四つの篝火は、ちょうど横に長い長方形を形作っていた。

そこを舞台として、その正面に当たる場所には簡単な作りの礼拝用台座が設置されていた。

「・・・いったい何をするつもりだあいつら・・・」

草むらに隠れたままの神官が小さく呟いた。

舞台の中にはロファが一人で入り、他のメンバーはその外側で、正面以外の三方を守るようにして立っていた。

「・・・まるで何かの儀式のようだ・・・」

「そうだな。確かにこれは儀式かもしれない・・・」

すぐ後ろからその声が聞こえた途端、彼の背筋に悪寒が走った。

「きさっ・・・」

その神官は口を封じられると、ダガーで喉を切り裂かれた。

「さぁ、ショータイムだ・・・」


舞台を用意して待つこと一時間。

突如、暗闇を切り裂くような悲鳴が草むらのあちこちからわき起こった。

その悲鳴に、仲間達は瞬時に身構えた。

悲鳴が止んでわずかな静寂の後、草むらから出てきたのは、両手がはさみのようになった奇妙な人形数体であった。

その人形が赤く見えるのは決して篝火のせいだけでは無いだろう。

「無粋な見学者には眠ってもらったよ。もっとも、俺が直接手を下したのは最初の一人だけなんだけどさ・・・」

平然と物騒なことを口にして、兄はその姿を現した。

「イリュージョンが得意なようだね兄さんは。もちろん『ウィザーズ・ナイフ』のような小技もかなりの腕のようだけどさ」

顔は笑ってみせたが、その実ロファは、初めて見る兄の実力に内心で舌を巻いていた。

「こいつは『マリオネット・キリング』という名のイリュージョンさ。結構使い勝手がよくてね。よく『仕事』で使っているよ」

兄はロファにそう説明した。

 ロファの腕では動かせる人形は、トリックを用意した舞台の上であっても一体だけ。

だが今、兄が動かしている人形は五体あった。

しかも驚くべき事に、兄はその人形を使って暗殺をやってのけたのである。

「・・・『はじめまして』を忘れていたな、お互いに・・・」

兄はとても楽しそうに笑っていた。

そう、彼は今、周りが凄腕の冒険者達に囲まれていながら、それさえも楽しんでいた。

「初めまして兄さん。おいらの招待状を受け入れてくれてありがとう。家の方に来てくれたらしいけど、留守にしていて悪かったね」

「別にいいさ、気にするな。今はこうして、お前に会えたのだから・・・」

人形はその場に残し、兄は一人、堂々とロファに向かって歩いていく。

しかし周りの仲間達は、いつ彼がロファを殺そうとするかわからない為、ピリピリとした空気に包まれていった。

「さてと、弟よ。父と母と叔母、それに数多くの優秀な仲間達を引き連れて、お前は俺となにで取引をするつもりかな?」

仮想舞台に入った兄は、正面からロファに対峙していた。

その距離は、その気になればいつでも相手の喉元を切り裂ける程に近かった。

「あなたには、おいらと共に剣舞を奉納してもらう。剣舞は?」

「・・・問題ない」

兄は驚きを隠せなかった。

兄には弟の考えが読めなかった。

 彼は己の命が危険にさらされているこの状況で共に剣舞を、しかも奉納舞として舞えと言う。

自分は神の下僕である司祭を殺した罪で追われているというのに、自分はお前を殺す為だけにお前の事を探していたのに・・・。

「心配無用さ兄さん。この奉納舞は一応、アエスタースの神殿守たるオルニカと、司祭のルヴィナによって認められている。簡単ではあるけど正式な奉納剣舞さ」

ロファは、兄の考えとは見当違いの発言をした。

笑っているため、本心を掴むこともできなかった。

そこへ、ルヴィナが二振りの剣を携えて近づき、その剣を二人の前で掲げた。

ロファは、先に兄に剣を選ばせると、自分ももう一振りを取る。

「剣に細工が無いか、互いに交換して調べよう」

兄はロファの剣を受け取り、抜け目無く調べ、細工が施されていない事を確認してからロファに返す。

ロファもまた同じ。

「この奉納舞を邪魔するすべての害意ある者に災いあれ!」

「ロファが呪いの言葉をはくなんて・・・」

ユエリーのみならず、それは多くの者にとってちょっとした衝撃だった。

「兄さん・・・。これは剣舞だけど、おいら達は生まれて初めてここで出会い、お互いのこともよく知らない。だから当然、呼吸が合わなくても相手を斬り殺してしまうかも知れない。しかし、もしそうなったとしてもそれは当然の事故なのだから、その後のお互いの身の安全を保障しあいましょう」

兄はその一言を聞いた時、うっすらと楽しそうに笑った。

「そして、この奉納舞が終わった時にこそ、すべての決着はついている事でしょう・・・」

「それはつまり、最後に立っていた者こそが、『ロファ・サーフェ』を名乗るにふさわしい人物だと、そう言う事かな?」

兄の一言は仲間達に、ロファの真意を諭すものであった。

「・・・おいら達の状況で、事故が起きない方がおかしい」

「ロファ! てめぇ、最初からそのつもりで・・・」

カイが怒りにまかせて叫んだ。

「誰にも邪魔はさせないよ。これはおいら達の『舞台』なんだ! そして『舞台』に立つ以上、おいらが死ぬなんて事は決してない!!」

ロファは真剣であった。

その気迫は兄を前にしても決して揺らぐことはない。

(こいつ・・・生き残るつもりでいやがる・・・)

兄は苦笑を禁じ得なかった。

 この、『奉納舞』をかたどった『神前決闘』で生き残ると言う事は、すなわち相手を殺して勝利することを意味していたのだから・・・。

「面白い・・・。お前の実力、試させてもらおう!」

「それじゃあゼルダ、リシュリタ。用意してくれないか?」

(あなたを、信じています・・・)

戦いを前にしたロファの心にリシュリタの声が届いた。

そして、互いの剣先が下方で交わると、戦いの始まりとしてはあまりに優雅な音曲が、辺りに流れ始めた・・・。

今、戦いは静かに始まったのである。


二人はゆっくりとした動きで剣先を徐々に持ち上げつつ、小さく数合、刃を交える。

剣先が腰の辺りを過ぎると、そこから動きは一転して大きく、力強く、それでいて鋭くなっていった。

「くっ!」

上からの斬撃を、ロファは全身をバネにしてこらえる。


だがそれでも手には(しび)れが残った。

兄は容赦なくロファに刃を打ち込んでくる。

戦う術など持ち合わせぬロファとは違い、兄の一撃には十分な重さと威力があった。

もちろんそれは、レイナやシンディ、ディクスレイのような剣の達人とは比べるべくもなかったが、しっかりとした柔軟さを宿した筋肉が生み出す一撃は、兄の確かな実力を現していた。

だからと言って、ロファもまた、受けるばかりではなかった。

なぜなら、剣舞である以上、攻めも守りも同程度に行われるからだ。

ロファが兄との一騎打ちを決めた時、『剣舞』を選んだ理由はそこにもあった。

相手の実力をある程度封じ、かつ、自分の実力を引き上げる事がその目的であった。

だが、やはりロファの考えは甘かった。

ロファの一撃は、兄に簡単に受け止められてしまうのだ。

 無論、剣舞なのだからそれは当然の事なのだが、これはただの剣舞ではなく真剣試合なのだ。

だから当然、ロファも一撃一撃に全力を込めた。

しかしそれさえも、兄の前では無力だった。

 撃ち合いは曲に合わせて苛烈に、そして鮮烈に行われる。

二人の気迫が辺りを包み、二人の舞は一つにうち解け、昇華するように美しくなっていく。

「美しい・・・」

我が子達が互いの命を懸けて戦っているというのに、グラハムの口からついて出たのはそんな一言であった。

「・・・何を・・・話しているのかしら、あの子たちは・・・」


トリエには不思議と、二人が大声で(わめ)き合いながら兄弟ゲンカをしているように見えた・・・。


 兄は()れていた。

あくまで剣舞に乗っ取っているとはいえ、自分は手加減せずに全力で攻めているのだ。

さらに、隙を見つけては手元を狂わせてわざと打ち付けたりもしていた。

最初の頃にはそんな余裕もなかったが、今は自然に体が動いていくので考える必要は無くなっていた。

だからこそロファを徹底的に攻め、疲労でロファが剣を落としたその後に、事故としてロファを殺すつもりであった。

隙はそれこそ、彼から見ればそこら中にあったのだが、自分でも不思議に思うほど、剣舞に乗っ取っていた。

その内に彼は、少し前の日々を思い出していた・・・。


それは、『運命の年』も半ば過ぎた辺りの頃の事だった。

各地で起こる異変や事件も、彼はたいして気にせずに生きていた。

彼には、生きる目的が無かった。

子供の頃はまだ、『両親に会いたい』、そう願ってもいた。

初めての仕事は十歳の時であった。

 それ以後、彼はその手を血に染めながら生きる事になったのだが、それでもいつか、両親の元に返れる日が来ると信じていた。

だがそれも、風の噂で伝わってくる両親の話を聞く度に、彼の中から消えていった。

彼はその頃から、自分は汚れた存在であると信じ始めた。

なまじ家族と過ごした記憶があった為、彼は芸人としての誇りをもその身の内に宿していた。

そしてその誇りこそが彼を苦しめ、自分は汚れていると信じさせる原因でもあった。

 彼にとって、両親は『聖域』であり、芸人とは『聖職』であった。

だから両親は『神』であり、『神』に対する『畏怖』の心が、彼を両親から遠ざけた。

そんなある時、彼はグラディウス山の消滅に関わる噂の中で、『水芸をする芸人』がいることを知った。

その珍しさ故に、彼はその男に興味を持ち、その男について調べ始め・・・ショックを受けた。

男の名前はロファ・サーフェ。

その後、調べを進めていくと、男が紛れもない自分の『弟』である事を知った。

弟は旅を続けている内に急速に腕を上げ、手品師になり、そして・・・道化師になった。

彼もまた、その時には既に『死の道化師』として十分に知られていたが、突然に現れて、道化師にまで上り詰めた弟の存在に、彼は最初、恐怖した。

弟が、自分の名前で光の中を歩くのを見るにつれて、彼は罪悪感に苦しんだ。


 自分の理想とも言える弟の存在が現れた事で彼は、(おの)が醜さを見せつけられたような気がした。

そして彼は不安になった。

自分はこのまま光に飲み込まれて消えてしまうのではないか、と・・・。

それを裏付けるかのように弟の名声は高くなり、その一方で、自分には病が発覚した。

おびただしい量の血を吐きながら、彼は願った。

(嫌だ! 俺はまだ死にたくない・・・!!)

 しかし現実は、そんな彼の願いをむなしく裏切った。

 死を宣告された彼には、もはや何も残ってはいなかった。

だから彼は誓った。

弟を殺すことで、そのすべてを手にしてやろうと・・・。

でもそれは、一人で死んでいく事の寂しさに対する単なる言い訳なのかも知れなかった。

彼は、たとえ会った事が無いと言っても、弟のことを愛していた。

だがそれ故に彼は、弟の持っているすべてを手にする事を強く望んだのであった・・・。


ロファは兄と剣を交えながら、兄に対して、哀れみと嫉妬を覚えていた。

今でこそなかなかの実力を誇るロファであるが、はっきり言って彼には芸の才能が無かった。

それでもロファは芸を愛し、自分の不器用さを嘆きながらも、頭の中では自由に想像の翼を広げていたのだった。

彼は芸が好きで、芸をする両親が好きで、芸を教えてくれる優しい祖父母の事が大好きだった。

旅から旅への生活もまた、ロファの中の見聞を深め、想像力を豊かにする材料となった。

彼は自分の中の想像について家族に話し、家族はそれに合わせて、彼に芸を教えてくれた。

いつでも家族にべったりで、おかしな事ばかり言っていた彼は、いつしか一人になっていき、友達もいない、内気で泣き虫の孤独な少年になっていった・・・。

しかも皮肉な事に、彼の想像力を支えていた旅暮らしが、尚更、彼に友達を作らせなかった。

いつも一人の少年は、本来なら友達と遊ぶための時間を芸の練習に費やす事で、友達のいない寂しさを紛らわせていた。

そんな孤独な少年時代が現在のロファの芸の腕と、子供達や家族に対する愛情、そして仲間達との友情の根幹にあった。

彼が子供時代の事を話さないのは、話したくても話すことが何も無いからであった。

だが、彼の目の前に立つ実の兄は、そんなロファの苦しい積み重ねさえも、あっさりと越えているのであった。

それは年の差によるものでなんか無い。

それに兄の場合は、芸の事を教えてくれる人など誰もいなかったであろう。

なのに彼はロファよりも、道化師として、芸人として、一個人としても実力は上なのであった。

兄が『水芸』をしていたという話を聞いた時、兄の実力が何によるものかを知った気がした。

それは『才能』である。

誰が教えなくても、兄の中に流れる血は、それを確かに知っていたのだ。

親の手ほどきの元に、苦労して覚えたのとは訳が違う・・・。

 加えて兄は強かった。

男である以上、ロファも強さには憧れる。

そして兄には勇気もある。

大勢の人間に囲まれて、彼らがいつ、自分に対して向かって来るともわからない、何が起こるのかもわからない。

そんな危険も承知の上で、あえて相手の中に踏み込んでいき、それを突破してしまうのだから・・・。

そこにあるのは揺るぎ無い絶対の『自信』と『誇り』。

病に冒され、両親に見捨てられたも同然の状況にあっても、兄はすこぶる気高かった。

目の前に立つ実の兄に対し、ロファは尊敬の念を抱きつつも、自分の卑小さを思い知らされているような気がした。

その事は、両親が兄を失った悲しみから自分を生み、兄の代わりとして『ロファ』と名付けたのだという思いを未だに拭いきれずにいた為に、余計に悔しい事でもあった。

こうして兄と対峙していると、ニセモノは所詮、本物には勝てはしないのだと、そう無言の内に告げられているように思えてならなかった。

ロファは兄を愛していたが、彼にとって兄とは、越えなければならない存在だった・・・。


 剣舞はいよいよ盛り上がる。

いつしか兄は、事故を装った攻撃を止めていた。

二人は真っ向からぶつかり合い、互いに互いを傷つけた。

 二人の体は傷だらけで、呼吸も肩でしてる有様だった。

今にも落としてしまいそうな剣を支え、持ち上げ、撃ちつける。

二人を突き動かしているものは、もはや互いの気力のみであった。

火花が飛ぶ程激しいぶつかり合いの中を、ゆったりとした動きが流れていく。

二人の動きから余計なかたさが抜け、段々と自然な動きに変わっていく。

二人は怒りや憎しみを、一回剣を交えるごとに昇華していく。

それに合わせて二人の表情も、実に楽しそうに変化していった・・・。


「何だぁ、あいつら。笑ってやがる・・・」

ウィックは多少拍子抜けした気分でそう言った。

「ホントにね」

そう言うレイナも、優しい笑顔を見せていた。

「私達の気持ちも知らないで」

少し頬を膨らませてむくれるユウを、ギルティスは優しく見つめた。

「でも、なんかすげぇよな・・・」

わずかに興奮しつつリュウが言った。

「うん。すごいよね・・・」

シンディも、リュウの一言に応えるように笑った。

「・・・ったく、調子くるうぜ・・・」

カイがぼやいて頭をかく。

「ずっと・・・このままでいられたらいいのに・・・」

サラは見惚れるようにそう言った。

「時が止まらずに流れているからこそ、わたくし達は今、こうしていられるのですよ。それに、例えこの先がどうなろうとも、この時間が消えて無くなる事はありえませんよ、きっと・・・」

そう語るベネティアの顔には、いつものポーカーフェイスが浮かんでいた。

「そうですね。例え過去がどんなに辛いものであったとしても、生きてさえいれば、いつの日か越えられる事でしょう。すべてのわだかまりはそうして消えていき、いつしか、幸せだけが降り積もっていくのでしょうね」

ユエリーは慈愛に満ちた眼差しで、気力を絞って戦い続ける二人の姿を見つめていた。

(・・・後で二人を治療する時に、体の具合も一緒に調べることにしよう。もしかしたら治せるかも知れないし・・・)

ランバートは一人、心の中でそう思っていた。

 やがて、曲も終わりに近づいたその時になって、二人の行動に異変が現れた。

二人はお互いに剣を胸の位置まで持ち上げると、水平に構えたのだ。

「ま、まさか!」

「やめるでちゅ、二人共!!」

 ルヴィナとオルニカはすぐさま声を張り上げて叫んだ。

しかし、そんな叫びを無視するように、二人は互いに相手の体を貫こうと最後の力で駆け出していた!

「いやぁぁぁ!」

「師匠~!」

イリスとアレクの声が重なる。

 そして今、二つの剣先が相手の心臓を貫こうとした、その瞬間!

ヴィィィン!!

そんな音と共に、曲は終わりの一歩手前で止まった。

二つの剣先もまた、共に突き刺さる寸前で止まっていた。


「・・・何で止めたんだい?」

ロファは間近にある兄の顔を見て尋ねる。

「・・・剣舞だろ、これは・・・」

兄はそう言って、フッ、と穏やかに笑った。


「すまないなリシュリタ。うっかり弦を切ってしまった・・・」

 ゼルダが申し訳なさそうにリシュリタに謝る声が聞こえた。

「何だってぇ!? だ、大丈夫かいリシュリタぁ!」

 自分の方が重体のくせに、ロファはあっさり剣を放り投げるとリシュリタの元に駆けて行く。

(へ、平気よロファ。心配しないで・・・)

リシュリタの声が痛々しい。

でもそんな声の中にも、ロファの無事に対する隠しきれない喜びが満ちていた。

(何だぁ? ホントに大丈夫なのか、リシュリタ・・・)

 ロファにはリシュリタの喜びの意味がわからなかった。

「すまなかったなロファ。つい、手を滑らせてしまってな」

「へぇ、ゼルダにしては珍しいね」

今のロファには、ゼルダが何故、曲に失敗したのに誇らしげにしているのか、その理由さえもわからなかった。

それほどまでに、心身共に疲れていたのであった・・・。

リシュリタをロファに渡し、後日、リシュリタの弦を取り替える約束をするとゼルダは、一人、ロファから離れていった。

「・・・手。大丈夫か」

仲間達から少し離れた草むらに腰を落としたゼルダのもとに、カイが静かにやって来た。

「・・・何のことだ?」

ゼルダはすました顔してとぼけた。

「最後に弦が切れたの・・・アレ、わざとだろ?」

「さぁな」

 口ではとぼけていても、ゼルダの顔は笑っていた。

その笑顔が何よりも雄弁に真実を語っていた。

「ま、俺は気にしねーけど、バレたらロファの奴。きっと騒ぐぜ。あいつも、騒ぐとやかましいからな。後でランバートにでも見てもらうんだな」

カイの、その不器用な心遣いに感謝しつつも、ゼルダは意地悪く言った。

「こんな所でお前と話していると、変な噂が立つ。私はユエリーに誤解されたくはないからな。用が済んだならさっさと行け」

「な!?お、俺は別にユエリーとは何でも・・・」

「ほうら、ユエリーがこっちを睨んでいるぞ」

「なにっ!?」

その慌てようを見てゼルダは、心の底から笑いがこみ上げてくるような気がした。


兄はただ、地面に座り込んだまま、それらの一部始終を眺めていた。

 するとそこに、グラハムとトリエがやって来た。

「ロファ・・・」

気まずそうに声を掛けてくる父親に対し、兄は明るい声で笑った。

「父さん、あいつ、大したもんだよ! さすがは俺の『弟』だ!!」

「ロファ、あなた・・・」

トリエは涙を流していた。

「母さん・・・。あいつを生んでくれて、本当にありがとう。せいぜい俺の分まで、孝行させろよな・・・」

 トリエが聞き返そうとしたその時、突然兄は、胸を押さえて咳き込み始めた。

おびただしい血の量が、咳き込むごとに吐き出される。

「兄さん!!」

それに気づいたロファは、リシュリタを背中に背負って兄の元に駆け寄った。

「死ぬなよ兄さん! ユニスから女神像を預かってきたっていうのに、せっかくそれを返しても、兄さんが死んじまったらその意味が無くなるんだからな!」

「・・・気に入らなかったかな・・・」

兄の声はひどく弱々しくなっていた。

ランバートも慌てて兄の体の具合を調べる。

「違うよ! これは兄さんの物だから、もらうわけにはいかないって・・・」

ロファは、泣きそうになる自分を必死で堪えた。

「そうか・・・」

兄の息づかいも、次第に荒くなっていく。

ランバートは必死でその命をくい止めようとしていたが、もはやすべてが手遅れであることは誰の目にも明らかであった。


「・・・あの()がいらないと言うのならロファ、・・・お前にやる。こいつは・・・俺の人生そのものだ。・・・もてるか?」

ロファを試すように問いかけてくる兄の顔は、どこか優しげであった・・・。

「ああ。お守りほどにも感じないよ」

ロファは女神像を受け取って、不敵に笑ってみせる。

「ぬかせ・・・」

だが兄は、満足そうに頷いて微笑み、そして・・・

「兄さん?」

彼は救われた。

人生の最後の最後に、弟の手によって・・・。

「・・・兄さぁぁぁん・・・・・!!」

ロファは今、初めてわかった。

 霧のかかった十五の記憶が、いったい何であるのか・・・。


「バァちゃん、バァちゃん・・・」

「・・・ケガは無いかいロファ?」

ロファは激しく頷くと、祖母は嬉しそうに笑った。

「どうして? どうしてバァちゃん、僕の事を助けたの? 僕が轢かれていれば、バァちゃんはこんな目に遭わなくてすんだのに・・・。僕・・・、僕、バァちゃんがいないなんてヤダよぉ!!」

祖母は、泣きじゃくるロファの頭を優しく撫でる。

「バァちゃんだってね、可愛いお前がいないなんて辛いんだよ。だから、そんなことは言わないでおくれ・・・」

「バァちゃーん!」

「最後まで、思った通りに生きなさい。誰にも何にも捕らわれないくらい自由に・・・。あなたの思いが、あなたの世界を決めるのだから・・・」


それがバァちゃんの、最後の言葉だった。

馬車に轢かれそうになったロファを、身を投げ出して救ってくれた祖母。

ロファはその悲しみに耐えられず、その時の記憶を無意識の内に封じていたのだった。

だが今、再びそのことを思い返してみるとあの最後の言葉は、兄の存在をふまえた上で言った言葉だったのかも知れない。

バァちゃんだけが最後まで、兄と自分を区別してくれていたのだと思った時、ロファは、自分の意識が遠くなるのを感じていた・・・。


「・・・あいつまだ目を覚まさないのか?」

部屋から出てきたランバートにカイが尋ねる。

「うん。体の方は、もうだいぶよくはなったんだけどね・・・」

あの後、ロファは意識を失った。

体の傷と出血と、何よりも精神的なショックにより発熱を起こし、一時はロファまでも死線を彷徨ったのだ。

兄の死体は火葬にされ、遺骨については、祖母であるマーガレット・サーフェの墓に埋葬することになった。

本来ならゼルダもついて行く所だが、グラハムは彼女をロファの元に残し、妻と二人でゼルダの家へと向かった。

仲間達に感謝の言葉を残して・・・。

イリスは一旦、夫、フィオネルの元に事後報告をする為、帰ることにした。

ユエリーとお茶会の約束を取り付け、リシュリタを励ましてから・・・。

アレクはまだ残っていた。

すぐにまた旅立つにしても、少しゆっくりしたいとのことである。

 オルニカは神殿に対し、事件は『死の道化師』自身の死によって幕を閉じたと告げた。

その正体については不明であるとされ、事件は騒ぎの内にうやむやとなった・・・。

その原因の一つには、パウエル司祭には黒い噂があった事がわかり、そのことを公にするのを避けたいという神殿側の意向もあった。


三日目の朝、ロファは目を覚ました。


「あ、気が付いたのねロファ!」

ベッドの側でつきっきりの看病をしていたユニスが、涙声ながらに叫ぶ。

「・・・なんか、前にもこんな事があったね」

ロファは布団から手を出すと、ユニスの頭を優しく撫でる。

「こんなの私、何度も経験したくない!」

ユニスはいかにも怒ってるんだぞ、といった具合にロファを睨む。

「・・・ごめん、ユニス」

ロファは未だ放心状態のように呟いた。

その様子がいつものロファとは違うので、かえってユニスが気まずくなった。

「本気じゃあ、ないからね。あ、でもでも、半分は本気だけど・・・」

「そうじゃなくて・・・」

 ロファはユニスから顔を背けた。

「兄さん・・・助けられなかった。だから・・・」

ユニスは、ロファが涙を堪えていることが痛いほどわかった。

「・・・泣いてもいいんだよロファ・・・」

ユニスは一言、優しく言った。

「みんなが言ってた。『ロファはよくやった』って。私もそう思う。だから・・・」

それでもロファは黙っていた。

「お兄さんはきっと、ロファを助けたかったのよ。だからロファは、そんな風に自分をいじめてちゃダメ!」

「でも、おいらだって兄さんを助けたかったんだ!!」

ロファはユニスにそう言い返した。

「だからって自分をいじめてたら、お兄さん、きっとがっかりするわ。・・・それに、お兄さんは死んでないもの!」

 自信満々に言うユニスの顔を、ロファは驚いて見上げた。

「お兄さんはね、ロファと一つになったのよ」

ユニスは得意そうに続ける。

「殺し屋さんって、本当の名前は名乗らないものなんでしょ?だから『死の道化師 ロファ・サーフェ』というのは本当の名前じゃないの! 世界にロファ・サーフェは『道化師 ロファ・サーフェ』しかいないの!」

ロファは、ユニスのその理論の飛躍に苦笑する。

「それでね、ロファはね、今はどこかに行ってしまったお兄さんから、『ロファ・サーフェ』の名前をもらったの。そして今度はロファがお兄さんの跡を継いで、『道化師 ロファ・サーフェ』になったのよ。お兄さんがくれた女神像は、その証拠なの!!」

そう言ってユニスはポケットから、小さな白い女神像を取り出した。

その背中にははっきりと、『ロファ・サーフェ』という名前が彫ってあった。

(なんてマジックなんだこれは・・・)

ロファは驚愕していた。

ユニスの提案は、全く例の無いものではない。

格式と伝統を持つ芸人の家ではよくある『襲名』という行為である。

ユニスはそんな事など知らないままに、ロファを『二代目 ロファ・サーフェ』とする事で、兄であるロファも、せめて死んだ後ぐらいは光の中に連れ出そうというのだ。

だが、タダではいかないのが世の常である。

 『二代目』を継ぐということはそれは、今までのロファの人生、そこまで行かないにしても、今まで『ロファ・サーフェ』として手に入れた功績のすべてを、兄に譲り渡すことでもあった。

なぜなら、今日より前の自分は『ロファ・サーフェ』では無くなるのだから・・・。

さすがにロファでも、ためらいが生まれる。

だがユニスの一言が、彼の迷いを断ち切った!

「だから今日はロファにとって、もう一つのお誕生日なんだよ!!」


「よし。今度行って目が覚めてなかったら、俺が叩き起こす!」

「ダメですよカイ。ロファはまだ病み上がりなのですから・・・」

「でもさぁ、いつまで寝てるつもりなんだロファの奴・・・」

「まぁ、そう言うなリュウ。仕方ないから寝かしといてやれよ」

「あま~い、ディクスレイ。オレは忘れていないぜ、ロファがついたウソのこと。あーいう魂胆だったなんてよぉ・・・」

「ウィックの言うとおりかも知れないわね。正直言ってあたしも、あのときばかりは斬りかかる所だったわよ!」

「押さえて押さえてレイナったら! でも、なぁんかお仕置きしたい気分よね・・・」

「シンディの言う事に賛成! まったく、あたし達の気持ちも知らないでロファったら・・・」

「そうよ!ホンっトにロファったら、人に心配かけてばかりいるんだから!」

「まぁ、でも結果的には少しはマシだったんだし、あいつもきっと落ち込んでることだろうし、許してやれよエリザ、ユウ」

「そう言えば、ユニスはまだロファの看病をしているのですかルヴィナ?」


「ええ。ベネティアの心配もわかりますが、あの()がどうしてもと言うので・・・」

「熱も下がってきた事だし、ユニスも少し休ませた方がいいね。僕がユニスを説得するよ」

「あれ? 中から話し声がしますよ」

アレクのその一言を聞くと、一同はホッと胸を撫で下ろした。

「・・・入るぞロファ」

ゼルダが扉を開けて中に入る。

ロファはベッドの上で体を起こしていた。

 その目は赤く、顔には涙の後が光っていたが、ロファの表情は誇りに満ちあふれていた。

「ロファ、お前・・・」

呆然と立ち尽くすカイや仲間達に向かい、ロファは優しい微笑みを浮かべた。

「・・・初めまして皆さん」

ロファのその一言に、戸惑いはますます深くなる。

「おいらがこの度、『二代目』を襲名いたしました道化師の、『ロファ・サーフェ』です。『初代 ロファ・サーフェ』もろとも、どうぞよろしくお願い致します・・・」

「えっ、初代? 二代目!?」

「いったいどうなっちゃったんだよロファ!」

ユエリーもリュウもその他の仲間達も、どうなってるのかわからなかった。

ユニスはそんな大人達を見てクスクスといたずらっぽく笑った。

「おいら、今日から生まれ変わる事になったのさ。だから今日はおいらの、もう一つの誕生日になるんだよ!」

ゼルダはその一言を感慨深く受け止めていた。

「・・・『死』とは『再生』ではなくて『新生』・・・。古き殻を脱ぎ捨てるには、一度死ななければならない。そういう事なのかもしれないな・・・」

死兆星とは、必ずしも『命の終わり』を暗示しているものではないのかもしれない。

そこから生まれる物も確かにあるのだからと、ゼルダは心の中に刻み込んだ。

「さぁって、パァっといきましょうかぁ!!」

彼らの新しい『運命』は今、静かに動き始めようとしていた・・・。

原稿訂正が殆ど必要なかったので在庫である分は全部投稿します。

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