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千夜狩猫アーカイヴス  作者: 千夜狩猫
ロファ・サーフェ・アーカイヴス
21/60

8.灯の家・宴会物語(二日目)・2

全7話構成の4話目です。

「ところでサラ、オルニカ?」 ルヴィナが突然、サラとオルニカに声をかける。「なんですぅ?」

「どうかしたでちゅか、ルヴィナ?」

二人は不思議そうな顔をして、ルヴィナの方を向く。

ルヴィナはじっと二人の顔を見ると口を開く。

「カイとユエリーはお墓参りの途中で、リュウ、ディクスレイ、レイナはその付き添いも兼ねて遊びに来てくれたわけですけど、二人は別に、何か特別の用事があるんじゃないですか?」

「えっ!?」

ルヴィナの鋭い問いに二人は驚くと、まずオルニカから口を開いた。

「実は、前にアレクから灯火の家について聞いた時にでちゅね、あたしにも何か出来る事はないかと考えたんでちゅ。それで・・・」

「それで?」 ユエリーが先を促す。

オルニカは真剣な顔をするとしっかりとした口調で話し出す。

「それで、ここには司祭のルヴィナもいることでちゅし、子供達の教育・育成の場としても大切でちゅから、神殿の方でも出来る限り補助すべきでちゅ、と提案したんでちゅ!」

「オルニカ・・・!」

オルニカの突然の一言に、ルヴィナだけでなく他の仲間達も驚いた。

「なかなかやるじゃないか、オルニカ! さっすが『亀の甲より年の功』だよな」 リュウの一言を、心の中で復讐を誓いつつ、オルニカは黙殺する。

「それで、補助に値するかどうかをこの目で直に確かめるという名目で小うるさい神官達を神殿に残し、ここに遊びに来たんでちゅ!」

「要するに事務仕事がイヤで逃げ出してきたんだろ」

カイが容赦なくつっこむ。

「なぁんだ、そうだったのか! で、当然決まりだろオルニカ?」

リュウが明るい声でオルニカに問いかける。

「もちろんでちゅ! だから後はルヴィナが決めるだけでちゅ」

「どうするのルヴィナ?」 ユウがルヴィナにそっと尋ねる。

ルヴィナは静かに考え込んでいたが、ゆっくりと顔を上げて言った。

「ありがとうオルニカ」 ルヴィナははっきりと礼を言う。

その一言にオルニカも嬉しそうだ。しかし・・・

「でも、その申し出はお断りします」 ルヴィナは毅然として言い切った。

「えっ!?」 その一言に、誰もが驚きを隠せない。

「どうしてでちゅ、ルヴィナ?」 オルニカは悲しそうに、しかし優しく尋ねる。 ルヴィナは、そんなオルニカの姿に心が痛んだ。

「・・・神殿の補助が得られれば、それはとても助かります。ですがそのぶん、神殿の影響も大きくなるでしょう」

オルニカはその事実に気付くと、辛そうな顔をした。

「・・・そんな顔をしないでオルニカ。確かに私はあなたを信じています。しかし、いくらオルニカでも、その影響の全てを消すことは出来ないでしょう?」

そのとおりだろうと、カイもまた、心の中で思っていた。

「私は・・・子供達には、自分の生きる道を自由に決めてほしいんです。そしてロファのように自由で、大きな心で物事を見てほしい。だから、なるべく神殿には関わらないつもりです」

ルヴィナの顔には静かな微笑みが浮かんでいた。それは強く優しい母の顔であった。

「私は、自分で神に仕える道を選びましたから後悔していませんが、子供達は・・・」

「わかったでちゅルヴィナ」

今までじっと聞いていたオルニカが、顔を上げる。

「そうでちゅね・・・。この子達自身が納得できる道を選ぶ為にはその方がいいでちゅね」と言って、笑顔を見せる。

「オルニカ・・・」

シンディはその時オルニカがフォルを思い出していた事に気付いた。

「・・・でも本当に困った時は遠慮なく言うでちゅよ。その時は必ず相談に乗りまちゅから」

「ありがとう・・・」 ルヴィナは目に涙をためつつ、頭を下げた。

ルヴィナの涙のひとしずくが、ユニスの頬を伝って流れ落ちる。

「いいんでちゅよ。それじゃあ次はサラでちゅね」

「へ!? あ、そうですねぇ・・・」

 二人の成り行きを気にしていたサラは、突然、当のオルニカに声をかけられ、ちょっと戸惑う。

ルヴィナが指先で涙を拭い顔を上げると、サラはどこか緊張した面持ちでこう言った。

「あ、あのですねぇ、わ、私もここに置いてもらえますかぁ?」

「なんだって!?」 ギルティスが突如、大声を上げる。

その大声に怯えながらもサラは続けた。

「わ、わたい、料理はあまり上手じゃないですけどぉ、一生懸命働きますからぁ・・・。お願いします!!」

そのサラの様子に、ギルティスはサラに誤解させてしまった事に気付く。

「わ、わるい! 別に脅かすつもりじゃあなかったんだ。ただ、ついびっくりしちゃって・・・」

ギルティスは笑ってサラに謝る。

「そんなに堅くなるなよサラ。もちろん、俺は大賛成だ!! みんなは?」

「反対なんてすると思う?」とユウ。

「ああ、嬉しい!! 女手が足りなくて困ってたのよ」とはエリザ。

「わたくし達がこうしているのも、全てはサラのおかげなのですから。いまさら何を遠慮するのですサラ?」

ベネティアも、表情こそ変わらないが、とても優しい声で言った。

「この家があるのも、みんながここにいるのも、全てサラのおかげなのですから・・・。私は最初から、いつかサラにも来てもらえたらと、そう願ってましたよ」 最後のルヴィナの一言で、サラの『家族』入りが決まった。

子供達も、明るくはつらつとしたこの少女の事を暖かく迎え入れた。

「あ、ありがとうですぅ!!」 サラはこの場の全員に感謝した。

「そうだ! 今晩は、サラを迎え入れたお祝いも兼ねて宴会にしませんか?せっかくカイ達も遊びに来てる事ですし・・・」

ルヴィナがふと思い立って、そう提案した。

「宴会?」 リュウは素早く反応した。

「あ、いいわね、それ!」 エリザも嬉しそうにはしゃぎだす。

「宴会でちゅ~!!」 オルニカもめいっぱい騒ぐ。

「宴会だそうですよ、カイ?」 ユエリーが隣に座るカイの腕をつかむ。

「お、俺は別に・・・」

と言いつつも、カイは気分が高揚している自分に気付いていた。

「それじゃ、街に買い物に行かなくっちゃ! ユニスも手伝ってね」

「うん!」 ユウはユニスの元気な答えに満足そうに頷いた。

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