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1.快晴の日に。

すみません、更新速度が変わるかもしれません。

詳しくは活動報告で<(_ _)>









「いちじく、にんじん、さんしょに、しいたけ……!」

「マルカよ。なんだ、その歌は」

「え、数え歌だよ?」

「お、おう……」



 マルカの答えを聞いてもピンとこなかったらしい。

 リリスはしゃがみ込んで、彼のことをジト目で見上げながら言った。



「しかし、まさか魔王城の中庭で農作業とは……」



 黙々と作業をする青年。

 そんな彼の後姿からはもうすでに、ベテランの風格さえ漂っていた。

 魔物たちもできる範囲で手伝わされており、なかなかに本格的である。もちろん、その農作業を手伝うのは普通の魔物たちだけではなく――。



「あ、ハヤテ。そっちはもう少し待ってて」

『分かりました。魔王様』



 もはや戦意喪失した疾風のハヤテも、労働力とされていた。

 ちなみに先日の戦いで顎を完全に砕かれたために、完治するまで彼は筆談である。顔を包帯でぐるぐる巻きにして固定し、元気な身体をせっせと動かしていた。

 その背中には敗北による哀愁というより、一人の農夫としての哀愁がある。



『魔王様。こちらの苗はどうしましょう?』

「そうだなぁ。ここの土は全体的に痩せてるからなぁ」

「なに普通に相談してるんだ、お前ら……」



 さも当然のように勤しむ彼らを見て、リリスはため息をついた。



「時にマルカ。訊きたいことがあるのだが……」

「ん、どうしたの? リリス」

「お前はどうして、魔王になったのだ?」



 そんな時、ふと少女は気になっていたことを訊ねる。

 すると現魔王は、あっけらかんと答えるのだ。



「みんなで仲良く農作業したいから!」

「…………は?」



 曇りなき眼で。

 リリスは思わず頭を抱えた。

 何故ならこの農民は【仲良く農作業したいから世界を平定するね!】と、のたまったのだから。つまり、それは【みんなで仲良くするためにぶん殴るね!】という意味であり……。



「もういい、考えるのをやめよう……」



 そこまで考えてから、リリスはこの思考が無意味なことだと結論付けた。

 そして、ボンヤリと空を見上げて思う。今日は魔族の領地としては珍しい程に快晴だった。基本的にこの地域は曇りが多い。

 リリス本人は晴れの方が好きだった。

 しかしながら、何やら胸のざわめきを覚えるのは何故か。



「ふむ……?」



 そこまで考えて、少女は気付いた。

 あまりにも穏やかな空気が流れすぎて、なにかを忘れていることに。

 そう、それは――。



「不自然な快晴、もしかして……!」



 リリスはマルカに向かって、叫ぼうとした。

 だが、それより先に声がする。




「あっはっはっはっはっは! 暢気に農作業とは、呆れたものだな!!」

「ひぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃ!?」

「ん、キミは誰? またお客さん?」




 彼女の悲鳴が響く中、青年は首を傾げた。

 その視線の先にいたのは、一人の大柄な男性魔族。



「おう、よく聞いてくれた! 俺様の名は――」




 その魔族は、威勢よくこう名乗りを上げるのだった。






「炎の化身、ヴァルボ様だ!」――と。





 


キネティックノベル大賞というものに挑戦しようと思い立ちました。

詳しくは活動報告より、お願いいたします。



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「キネティックノベル大賞へ向けた練習作品」新作です。こちらも、よろしくお願い致します。
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