表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
8/95

麦茶覚醒 其の四

しばらくは毎日投稿しますが、

少しずつ出来なくなっていくと思います。

〜主人公サイド〜


 …麦茶はあの状態で戦っていたのか。

早く戦闘を中断させないといけない。


 パンッ!

 …交番を通りかかったから、ピストルを拝借したが

案の定私の腕では中らないか。

奴には聴覚が備わっているらしい。

中ってもいないのに、動きを止めた。


 とにかく、奴の注意を私に反らした。

バイクを再度動かし、麦茶を拾い、

すぐさま離脱する。

奴は動きが遅いため、かなり速く逃げると、

追ってこない可能性が高い。

だから、法定速度を大幅にオーバーした時速100kmで

バイクを走らせる。


 5分程走ったら、減速して慎重に路地裏に入る。

麦茶はまだ起きない。こんな状態なのだから。

私と麦茶の安全を考えれば逃げるべきなのだろう。


 しかし、それではここまでの麦茶の努力を

無意味にしてしまう。

そんなことよりも、命が大切なのは

間違い無いのだが、この状態の麦茶が目を覚まして

意見を聞くまでは、逃走は先送りだ。


 先程の動きから、

どうやら、奴は聴覚が発達していて、

基本的にはそれで周囲を把握しているらしい。

更にバイクのライトを点滅させた時の反応から

光を感じることはできても視力は非常に低く、

光の有無を確認できる程度なようだ。


 だから、ここで静かにじっとしていれば、

奴に気付かれることは無いであろう。


 そして、奴は基本的に動かないようで、

動くのは音を感知した場合だけらしい。


 …ということは、奴が私達を襲ってきた理由は

私が謎の液体(スライム)を討伐する際に起こした爆発音が

聞こえたからなのだろう。やってしまった。

後で、謝らなくてはなるまい。


ひとまず、麦茶を暖める必要がある。

私のスーツを被せればいいか。


 現状、麦茶が起きるのを待つ必要がある。

3時間程待っても起きないのであれば、

逃走を選択しよう。


2時間後……


麦茶が目を覚ました。


 …このまま二日三日

眠ったままでもおかしくないと

思っていたのだが。


「…ここは、動く樹木(トレント)は!」

「静かに…!」


「あ、憧さん…。…すいませんっす。

二人で戦うって言ってくれたのに、

先に倒れちゃったっす」


「安心しろ。私は怒っていない。

そもそも、そのように傷を体中につけた人に

もっと頑張れ等言う者はいない。

お前は良くやったよ、麦茶。

少々頑張り過ぎかもしれないがな?」


「さて、動く樹木(トレント)討伐だが、どうする?

まだ続けるか?奴と戦っているのも、

これ程までに健闘できたのも、

お前がいたからだ。だから、麦茶、お前が決めろ。

奴と戦うか?それとも、逃げるか?

どちらでも私は構わない。麦茶の意思がこの場では

最大限に尊重されて然るべきだ。

戦えば、こちらは相当な被害を負う上に、

もしかしたら、全滅も有り得る。

逃げれば、間違いなくこれ以上被害を負う事無く

生き残れるだけでなく、

後から確実に討伐できる戦力を連れて来た状態で

安全に討伐できるだろう。

さぁ、どうする?麦茶、全てはお前の選択次第だ」


「ははは、わかって聞いてるっすよね?

そうっすよ。そりゃあ、人間なんすよ?

楽で効率的で皆が幸せになるそんな選択をするに

決まってるじゃないっすか。

…すから、逃げる

…………選択肢が採れない俺は

人間じゃないんすかね?俺は戦いたいっす。

どんなに非効率的でも、憧さんとの

()()()の約束を果たしたいっす。

憧さんがもう良いと言ったとしても、

俺が果たすっす。だから、

この選択はただのエゴっす。

憧さん、俺と戦ってくれるっすか?」


「言っただろう?私はどちらでも構わないと、

ならば、お前がどんな選択を採っても、

従おう。私にとってはどちらを選んだとしても

二人共生還できるよう全力を尽くす。

ただ、それだけなのだから」


 麦茶は少し目を逸らし、誤魔化す様に言った。


「…ところで、憧さんの能力ってなんすか?」


「ああ、未来予知だ。未来予知で見た未来は絶対に

実現される。また、一度使ってから、一分間の

クールタイムを挟む必要がある」


「ほへー、凄いっすね。けど、ちょっと扱いが

難しくないっすか?」


「まあ、そうだな。後、見れる未来は未来の自分が

体験する事のみだ」


「なる程。ますます、扱いにくいっすね」


「では、動く樹木(トレント)討伐に戻ろうか。

ある程度、奴に接近してから作業をしなくては、

後が厳しいのではないか?」


「ああ、そんなこと無いっすね。麦茶を使えば、

ある程度の重さなら、無いような物っすから」


「そうか?では、他の超獣から30分間ここを

守ればいいんだな?」


「そうっすね。ここは、行き止まりに

なってるんで一方向からだけ

守ってくださいっす。割と金属音が出るんで

普通に聞こえると思うっす」


「そうか。了解だ」


 …音を立てすぎる訳には行かないから、

ピストルは使えない。いや、鈍器として使うか。

重いと聞いていたために、ダンベルを持つ感覚で

持ってみたが、確かに重いが思っていた程では

なかった。しかし、当然、金属製な為、

硬く頑丈で鈍器としてかなり優秀だ。


 私の姿を見られて、寄ってこられては、

本末転倒なため、隠れて一方的に見れるよう

位置に着く。…金属音が鳴り始めた。


 集中しようか。若者(麦茶)にだけ、無理をさせる

訳には行かないからな。


 どうやら、オッサン判定らしい私も

老骨に鞭打つ必要があるだろうな。


 …緊張を解す為の軽いジョークだ。

笑って欲しいのだが…。

さぁ、主人公らしさを魅せてやれ!

あ、強くはなりません。

覚醒イベントは強キャラの特権です。

主人公は能力者の中では下の上程度を

キープしていて貰います。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ