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それでも、彼は憧れる  作者: 鋼鉄製ハンマー
ヒーローの定義
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大罪という名の贖罪 其の二

やっぱり戦闘描写はいいですね!

 先ほど、話し合いでの最後に語った内容は以下のような物だった。


『シンプルな身体能力が高い以上、生け捕りは難しいだろう。ならば、交渉が決裂した時点で仕留めるのは仕方ないのではないか』


 それを聞いていたこの執事の反応の予測は至極簡単だ。この通り、手の向けている方向から反れるようにして、()()する。


 凄まじい速度での跳躍に追いすがるのは無理だったとしても、予めわかっていた回避行動に対して、攻撃を合わせるのはそこまで難くない。


 その為、目的通り白石は身をかがめ、跳躍をした執事に向かって、空気砲を当てた。


 執事は意外と細身である。


 一般成人男性が地面で踏ん張れる状態で真横から受けても、五メートル近く吹き飛ぶ空気砲を飛びやすい角度かつ地面で踏ん張る事の出来ない状態で細身の執事が受ければ、十メートル程飛ぶというのはそこまで想像に難くないだろう。


 当然、今現在我々がいる室内でそれを行い、執事が窓に当たったれば、外に追い出せるという訳である。


 つまり、今回、我々の奇襲で果たしたかった内容はこうだ。


『我々の偽の目的を聞いた執事は不意打ちをされた時点で大きな回避をするだろう。故に、その回避に合わせて、空気砲を放ち、大きく距離を取る事』


 そして、それは果たされた。距離を取った以上、我々は隠れるなりなんなりするべきだ。


 この建物は外から見た様子では五階層、多くて六階層といったところだった。そして、我々が今いるのは三階層。あの執事の跳躍力なら、四階層ほどまでならば、跳躍で登ってこれるだろう。だからといって、六階層に焦って登ってしまえば、途中で見つかってしまう恐れが高くなる。更に、この建物から脱出する際に、執事と同じ階層に入る必要性が出てくるのだ。危険な事極まりないだろう。


 また、下の階層に下りれば、執事が下の階層から追い詰めていく場合に、ばったり遭遇してしまう可能性が上がる。


 最も安全なのは……、三階層若しくは二階層、か?いや、三階層では飛び降りが厳しかったとしても、二階層であれば、飛び降りることも可能な事を考えれば、二階層の方がいいか?


 すぐ下の階から、勢いよく窓を割る音が聞こえた。……これは、執事にこの思考を読まれているな……。思っていたよりも、頭が回るようだ。


「白石、四階に移動しよう。恐らく、執事が次に捜索する階層は三階だ」


「……何でですか?一階かもしれないのに……」


「執事は我々がすぐさまこの建物から脱出しないと読んでいる。だから、二階層に急いで移動したんだ」


「なるほど……」


 四階以降に緊急脱出用の道具あればいいのだが……。そう思い、四階に足を踏み入れた途端、凄まじい音ともに地面が大きく揺れた。


 ……地震か!?とも思ったが、揺れはすぐに収まり、三階からはガラガラと瓦礫が崩れ落ちる音がする。……聞こえる場所から推測するに、先ほどまで、執事と交渉していた場所だと思われる。


 これは……いないとわかっていての脅し……でいいのだろうか。


「……憧成。これって……」


「ああ、そうだな。恐らく、直ぐに出て来いという事だろう」


 そう会話をすると、背後のつい先ほど上っていた階段が爆発した。


 急いで白石に覆いかぶさり、小さな礫を背中で受ける。……これなら、夜の影や結実の時の方がよっぽど辛かったな。


 この身を挺して守ってきた人に大切じゃない人なんていない。そして、今私は愛する人を庇っている。倒れるわけにいかない。背中の感覚が痛いから、熱いに変わっていく。衝撃はまだ襲ってくるため、庇うのをやめるわけにはいかない。


 その時間は恐らくほんの一瞬だったのだろう。だが、私にとってその時間は一時間や二時間で足りるものではなかった。やがて、衝撃が来なくなり、背中に力が入らない事を確認する。恐らく、背中からはかなりの出血をしているのだろう。


 固く閉じた瞼を緩め、光を認識すると、こちらを見つめる無傷の白石がいた。それを見れただけで、あの激痛が報われたような気になる。


 白石を護るため再び立ち上がる。そろそろ白石も空気砲を放てるはずだ。当てやすい状況を作るために命を懸ける。


 崩れ去った階段。元々そんなもの不要であったと言うかのように、無表情の執事が階下から跳び上がってくる。こちらに目を向けると、その中年というには少々老けが進み過ぎている顔を優しく微笑ませた。


 きっと普段ならホッと一息を吐いてしまうような笑顔だったのだろう。だが、それもこんな状況で見れば、悪魔の微笑みにしか見えないわけで。その心情がいったいどんなものなのか少なくとも私に推し量れるものではないという事しか理解できなかった。


 古武術には縮地というものがある。体を前方に倒し、その時の推進力により最高速に近い状態でスタートダッシュを決められるというものだ。ファンタジー作品ではそれぞれのアレンジを加えられて、登場することも多い技術の一つであろう。


 目の前の執事は垂直に立っていた。少なくとも、微笑んだ瞬間には。


 しかし、微笑んだ直後、未来予知が発動したのだ。


 凄まじい速度で掌が私の胸ぐらに飛んでくる。


 余りに早すぎて、掌しか認識できないのだと推測し、その胴体にもぶつからないよう注意する。その掌の形から、飛んでくるのは右手、つまり胴体は私から見て右側のはず。


 急いで、体を左側にずらし、何とか回避に努めようとする。


 今私の後ろにいる白石の手を掴んで、引き寄せ、安全地帯に多少適当ではあるが、放った。


 私が回避をしたその瞬間には執事の姿は消えていた。


 ……いや、違う。身をかがめて、私の視界に入り込みにくくしている!予め動きを知っているからこそ見えた挙動。冷静に考えろ。


 先の未来予知の光景はなんだった?それは掌が『胸倉』に飛んでくる光景。つまり、掌は私に必中という事なんじゃないのか?


 そのことに気づいた時には、もう執事に胸倉をつかまれていた。

因みに、執事の年齢は四十八歳です。見た目から連想される年齢は六十五から六十八くらいです。


なんで、そんなに老けてるんでしょうね。


あ、執事はこの作品を作るときに主人公の次に思いついたキャラです。なんか知りませんが、作者は美少女よりもシブオジの設定を練るのが好きみたいです。

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