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それでも、彼は憧れる  作者: 鋼鉄製ハンマー
忘却の更に先へ
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歴史は繰り返す

ふう、間に合った。

 その後も、様々な場所を巡ったが、大した結果を得ることはできなかった。



 ~~翌日~~


 昨日、町は一通り巡ったのだが、声と少しの会話しか思い出せなかった。なんだろうか。記憶の消失の仕方と言い、思い出し方と言い、作為を感じる。


 今日は昨日声を思い出したので、どんな声だったかを伝え、コンピューターで音を出力してみるという事をやろうと思ったのだが、コンピューターで音を作るまではできるのだが、そもそも作りたい音を知っているのが、私しか居ないという事に気づいてしまった。


 その為、音の出力は断念した。次は会話の方を結実に再現してもらい、その言葉を他人に言われれば、何か思い出すのではという実験をしてみた。


 何の成果もなかった。いや、何も起こらないという成果が出た。


 ここまでが午前の出来事である。


 午後になってからは、何かあるんじゃないかという望みを賭けて、外に出た。


 そして、一時間ほどとりあえず昨日歩いていた道を辿ってみたのだが、当然結果は出ず。


「あづい…。あづいよぉ…。あ、お兄ちゃん。あのお店行かない?」


「まあ、いいが。…良いのか?」


「うん、あのお店、私的になんか楽だから…」


 適当に近くのコスプレ系の服やカラーコンタクトレンズ、ウィッグ等を販売している店に入った。結実は時々友人にこの店へと連れて行かれるらしく、何度も連れられるうちにこの店が家以外で最も落ち着く場所になっていたそうだ。


 この店はとりあえず試着してみろがコンセプトらしく、至る所に試着室が用意されている。試着室に入ると店長がやってきて、褒め称えてくれるらしい。そして、買わずに帰るまでがセットらしく、時々店長が哀れで買ってしまうそうだ。


 二人で冷房に当たっていると、現実で掛けている人などいないと思っていた所謂ぐるぐる眼鏡を賭けた男性が奥の部屋から出て来た。あれで前が見えているのかが、非常に気になる。


 その人物は私たちに近づいてきて、両手を勢いよく合わせる。しかし、あまりきれいに音が鳴らず、二回やった。二回目もダメだったため諦めたのかいきなり話しだした。


「やぁ!いらっしゃい!結実さん!と誰かな?いや、待ってね。当ててみせるよ」


 ぐるぐる眼鏡をつけた高身長で更にいい声もしている。ぐるぐる眼鏡さえなければ、さぞ異性に好かれるだろう。…本当になんでぐるぐる眼鏡なんだ?


 顎に手を添え、考え込むその姿は中々に様になっている。そう、ぐるぐる眼鏡さえなければ。


「わかった!あなたは結実さんの叔父さんですね!?」


「残念外れ。正解はお兄さんだ」


 驚きすぎて、声が出ていない。そんな姿もまた、黄色い感性が上がりそうに見える。…ぐるぐる眼鏡を除いては。


「えっと~何て言うか、すみませんでした。さ、さてと、今日は何をしに来たのかな?試着をしに来たんだったら、今日ちょうど入荷したものがあるけど?」


「う~ん、違うんだけど、まあ、折角だし、着てみるかな?」


 結実は私をちらりと見る。


「まあ、良いんじゃないか。このままでは一向に進まないだろうから、軽い気分転換も兼てな」


 何やら、結実はガッツポーズをしている。


「では、僕は衣装をとってきますね」


「それじゃ、選んでくるね!」


「「え?」」


 私と店長だけが残った。


「えっと~、では、僕は服をとってきますね?」


「ああ、よろしく頼む」


 私は次の行動を考える。少しでも記憶につながりそうな行動を思考する。しかし、これまで以上の行動をどうしても思いつかない。


 思考している内に、いつの間にやら、結実と店長が戻ってきていた。


 そして、結実の手の中には、男性物の衣装が沢山ある。その衣装を前に突き出して、


「おに~ちゃん。これ、着てくれるよね?」


「…わ、わかった」


 凄まじい気迫に押されて、つい了承してしまったが、…あれ全部だろうか?今日の時間無くなるのでは?と思ってしまう程の量の衣装が結実の腕の中に収まっていた。


「あ~、お疲れ様です。なんて言うか、妹さんアグレッシブですよね!それでは!ぐえ」


 店長は結実に首根っこを掴まれる。


「あはは~?逃がすと思った~?」


 そして、全力の愛想笑いをしながら店長は結実に笑いかける。


「い、いや~そんなはずないじゃないか!そう!逃げようなんてもってのほか!ただ、男性用の衣装も入荷したけど、持ってきてなかったなぁってね!」


「そっか!そうだよね!店長が私の愚痴を長野君に言ってたって私聞いちゃったけど、そんなの嘘だよね!」


 店長の愛想笑いが引きつる。


「そ、そうだとも!さ~て!すぐに持ってきちゃうぞ!」


「さ、お兄ちゃん?私もこれ着るから、ね?お兄ちゃんはこれ着て?長野君着れなかったから、誰かの見たかったんだ!」


 目をキラキラさせて言っている。一応見たところ、そこまで変なものは無さそうだから、仕方ない。着るか…。


「はい!これ!私はこっちで着替えるからね!」


「わかった」


 試着室で着替える。結実があらかじめ、着替えやすいよう服のサイズを調整していたようですぐに着替えることができた。


 試着室から出ると結実はまだ試着室に居るようで、手持無沙汰をしていると店長が奥から出てくる。


「あ、お兄さん。衣装、持ってきましたよ。それで、結実さんは…。ああ、試着中ですか」


 店長と結実が互いの知らない時期についての話で盛り上がる。丁度入れ替わるように時期が違うため、かなり話が進んだ。この店長は中々見る目がある。結実の良いところと少し悪いところの何方もよくわかっている。この人とは仲良くなれそうだ。


「ああ、そういえば、自己紹介していませんでしたね。僕の名前は原江(はらえ)冬芽(とうが)です。これでも、一応超人なんですよ?能力は万理眼ダークです。いや~、どこに何があるのかは目を閉じててもいやでもわかるんですが、目を開けると見えすぎちゃって、もしも目を開けても、数段階で見られるように、この眼鏡を掛けてるんですよ。ずっと目を閉じてるので、『ダーク』なんです」


 成程、ずっと疑問だったのが解決された。能力関係だったのか。


「私は四茅野憧成。超人だ。能力は未来予知。基本的に未来を予知するだけだ。予知した未来は変えることができないがな。それでも、十分使えるだろう?」


「そうですね。確かに、使いようがいくらでも思いつきますね。それにしても、そうですか。四茅野憧成。えっと、多分テレビに出てましたよね?なんでしたっけ?」


「ああ、対超獣中心軍事拠点の事だな。私は討伐者だから、国に祭り上げられているんだ」


「ああ、なるほど。私は経済的に少し苦しいですが、そちらは別の意味で苦しいんですね。このご時世、お互い大変ですね」


 そして、結実が入っていた試着室が開く。

これからは、毎日投稿は厳しいです。毎日ではなくなると思います。

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