麦茶覚醒
さぁ、麦茶!
主人公はキミだ!(違います)
ふぅ、未来予知の検証を続けるとしよう。だが、まずはわかったことをスマホに記入しよう。未来予知にはクールタイムが存在している。そして、どうやらそれは一分のようだ。ちょうど一分で発動していた。
次は……未来予知で見た未来は改変できるのかの検証だな。これは同時に未来予知の的中率についての検証も行う事ができるだろう。
一人では限界があるだろうから、麦茶の協力を仰ごうか。
麦茶が能力の検証をしている部屋へ移動したところ、麦茶が麦茶の麦茶を飲んでいるタイミングだったようだ。これは、既視感があるな。
どうやら、未来予知は私が未来に体験する事を予め体験できるという能力のようだ。
「麦茶、頼みたいことがあるのだが、今問題は無いだろうか?」
「はいっす!憧さんの為なら、日の中、海の底っす!たとえ、問題があっても、一瞬で消し去るっすよ!」
何やら物騒なことを言っている。
「そもそも行く事がほぼ無理な上に行った瞬間死ぬような場所に行け等言わない。どんなパワハラだ。それに、問題があるなら無理をせず、片付けてからで結構だ。問題があるなら結構だが、未来予知の検証を手伝って貰えないだろうか」
「それくらいならお茶の子さいさいっす!呉越同舟に乗ったつもりでいて欲しいっすよ!」
お茶の子さいさいとは古い言葉だと思うのだが、案外そうでもないのか?
「とりあえず、そんなピリピリした船には乗りたくないな」
「あれ?もう一つの意味知らないっすか?」
「当然知っている。だが、そもそも我々はそこまで仲が悪いだろうか?」
「ファーストコンタクトは最悪っすよ?」
「そこから、吊り橋効果か何かでまともな関係性になれたのだから語源が語源で私は苦手な言葉だが、『終わりよければすべてよし』だろう?」
「おお!孔子からシェークスピアに飛んだ!
ユーラシア大陸横断っすね!」
「端と端だけだがな」
「それで手伝いってなんすか?」
「ああ、麦茶は何か特技はあるか?」
未来予知!
ッ!『俺、ちょっと卓球が得意なんすよ』
「俺、「やはり言わなくてもいい」
「え〜、なんでっすか〜」
「そこも含めた検証だ」
ふむ、多少強引だが未来の改変は可能とみてよさそうか?
ふと、社員専用の休憩室が目に入った。この会社は福利厚生がしっかりしていたらしい。
「あ、見てくださいっす!休憩室っすよ!ん?卓球台があるじゃないっすか!ふふ、実は『俺、ちょっと卓球が得意なんすよ』。中学ん時に県大会でベスト16まで、残ったんすよ!凄いっすよね!?ね!」
……今、麦茶、なんて言った?いや、落ち着け。ひっひっふー、ひっひっふー。キャラが俺に戻っているぞ〜。落ち着け〜。
つまり、未来予知で知った未来はどんな形であれ実現するということだな。そこまで、動揺する事ではなかったな。十分に予測の範囲内だ。
後からその予知した結果にする因果逆転のような能力である以上、的中率は100%だとかんがえていいだろう。
「お〜い、急に考え込んでどうかしたっすか〜!むむむ、また、俺なんかやっちゃったっすかね」
「そうだな。やってくれたな。あと、著作権に引っかかりかねない発言は慎め」
「唐突なメタ発言っすね。作者に乗っ取られたっすか?」
「まぁいい。麦茶の検証が終わり次第呼んでくれ。それまで、私は超獣や超人について調べている」
「あ、俺、もう終わってるんで」
「そうだったのか。中々早いじゃないか。では、能力について評価しようか」
「はいっす!俺の能力は麦茶生成っすよ!
その効果は俺が生物の体内だと思っている所以外であらゆる物を麦茶に変化させ、操作するっていうものっす」
「なる程。だが、残念だったな。どんなに格好良く言っても、麦茶は麦茶だ」
「言わないで欲しいっす……」
「では、次は私の能力の紹介…の前に、麦茶、超獣が来たようだ」
「そうっすね。デカイっす」
ここ東京の木イチョウが超獣化に伴う巨大化をして、大体5メートルの木なはずが、10メートルにも届きそうな樹高となりこちらに迫って来ている。
「火、点くと思うか?」
そう言って、ライターに火を灯す。
「…RPGだと、動く樹木の弱点と言えば、火や斧っすけど、実際の木は火なんて乾かさないとそうそう点かないし、斧も本来は何百回と叩き衝けるらしいっすよ」
そうか、知ってたが、やはり無理か。
「動きが遅いのが救いだが、逃げるか?」
「…いえ、任せて欲しいっす」
「何を言っているんだ。戦うにしても二人でに決まっているだろう。…考えがあるんだな?聞こう」
「はいっす!まず、奴が…」
「わかった。早速行ってこよう」
今回の作戦だが、簡単に言うと、『検証と信号』だ。
まず、動く樹木は果たして、本当に樹木なのかを検証しなくてはならない。少なくとも、ここまで来る間に見た動く樹木は今ここに居る個体だったと思われる。理由はその個体もイチョウだったからという曖昧なものだが。希少ならば、謎の液体と同じように微生物などの群体による操作を受けているのではないか。ならば、それを殺せば、解決するのではないかという推測だ。
確認方法は電流を流すだが、実は麦茶バイクが好きだったらしい。しかし、当時、麦茶は中学生だったため、免許が取れず、やきもきした結果バイクの構造を調べたとのことだ。
その時にスパークプラグとやらを知り、その30000Vという響きで覚えていたらしい。
そして、私がバイクを持っていて、スパークプラグが家にあるのではと思ったようだ。
スパークプラグ単体は無いが、バイクはある。当然、免許もある。車でも良いと言っていたが、車は無い。持ってきてくれれば、分解すとのことだ。簡単な機材はこの会社にあったらしい。
という訳で今、私は2キロメートルの長距離走をしている。2キロメートルで済んだのは元々私達は安全地帯へ避難する際に私の家へと向かっていたからだ。
その間、麦茶は確実にスパークプラグを安全地帯から使うため準備をするそうだ。
ならば、今の私にできる事は麦茶を信じ、バイクを持っていくことだけだろう。
収まりきらなかっただと
2020/05/30 全体的に表現を修正