Excess Fors!!
日本語訳:過剰戦力
…動く樹木の姿が少しずつだが、
見えてきた。わかっていたが、大きいな。
今回の作戦だが、信号と検証から、
変更し、私達のみでの討伐を目標とする事にして、
信号を使わないと麦茶が嫌そうな顔をするので、
使うことになった。
基本的に今回は私達の戦力がどの程度
向上したかを知るための戦いな為、
あまり相手の力を下げる作戦をとるつもりはない。
三角形の交差点のど真ん中を位置取って、
麦茶に抉られた穴が少し再生している状態で
秋でもないというのにその葉を紅葉させ、
威風堂々とそこに唯々悠然と佇んでいた。
私達は三角形を囲むそれぞれ異なる辺のビルへ
入っていく。さぁ、作戦開始と行こうか。
まず、もふもふが突貫する。
もふもふの感覚交換の能力だが、私の能力との
相性が抜群としか言えなかった。詳しく聞くと、
発動条件等もあるが、それでも有用だ。
発動条件だが、相手が自分を意識・認識していて、
自分が相手を意識・認識していなくてはならない
ようだ。
もふもふは高速で切り結びつつ、私の事を
いつでも意識できるようにする。
…先程知ったのだが、未来予知の感覚は
感覚交換では私本人の感覚とは別個とも同じ感覚とも
扱われるらしい。もふもふの感覚交換で、
私の感覚全てともふもふの感覚を交換し、
次にもふもふの感覚と私の通常の感覚を交換すれば、
もふもふは私視点ではあるものの、
未来予知ができるようになるのだ。
緊急発動でもふもふや麦茶の危険にも反応する
ようにすれば、未来予知が発動した瞬間に
叫んで、もふもふが私の声で私の座標を認識。
もふもふの事も私からはすぐに認識できる。
私がビルの中にいるのは、攻撃の巻き添えを
喰らわないようにする為で、はっきり言うと
ただの保険で大した意味はない。
叫んだ時点で聴覚の鋭い動く樹木に発見され
攻撃されるだろう。
ならば、動きやすい外に出てしまった方が
戦いやすい。
もふもふは時々、火力の高い突き攻撃を放ち、
少しずつ動く樹木を削っていく。
麦茶はアステリオス戦でわかった事を活かす為、
遠くに走っていっている。
痺れを切らした動く樹木は一気に勝負を
決めようと大量の根を弾幕のように
伸ばす。
緊急発動!
18本の根がもふもふに迫り、大地から
6本の根が生えてきている。
「きたぞーーー!」
未来予知はまだ見えている。
叫び、直ぐ外に出る。その瞬間、動く樹木が
目の前に現れたと思ったら、元の感覚に戻り、
その時には未来予知の感覚は消えていた。
予知と同じ情景を回収したら、すぐに
連続発動!
23本の根がもふもふに迫り、大地から
11本の根が生え、地面に倒れている根の内の
5本が起き上がり、もふもふの背後に迫る。
「もう一回だーーーー!」
再び、もふもふが未来予知の感覚を回収する。
もふもふは全ての根を躱し、懐に入り込み、
大地に手を当てて、地面に振動を与える。
広範囲には無理だが、狭い範囲にそれなりの
強さの地震を起こせる。
コンクリートが割れ、根っこが大きく
せり上がる。合計12本の太めの根が
木を支えている。動く樹木がバランスを
崩し、隙を晒している内に5本も切り裂いて
しまった。
その5本が全て、麦茶に抉られた部分の反対側を
支える根だった為、自重で動く樹木は
倒れていく。
その際に一部の根はブチブチと音を立て、
千切れていく。
大きな音を立て、動く樹木は
切り倒される。もふもふは葉を切り始める。
私はスパークプラグと動かすための周辺機器を
持って、忍び寄る。動く樹木に接続し、
オンにする。スパークプラグは
1秒間に100回以上もスパークを起こすらしい。
まぁ、だから、いくら火が着きにくいと言っても
着きはするのだから、燃え始める。
もふもふは凄まじい速度で剣を振るい続け、
葉を切りきった。…速いな。
普通は生木を燃やしてはいけない。
何故なら、この様に凄まじい量の灰や煙、
火の粉が巻き上がるからだ。
…何だか。悪い事をしている気分になるな。
麦茶が予め生成した大量の麦茶を操作し、
自身を押し、ビルの上を跳びながら、100m程度を
走り、スピードを付け、跳び下りる。
動く樹木に上から麦茶をかけ、
消化。その後、脳以外の全てを金属化させ、
落ちながら身体から麦茶を噴出させ、
更に加速させる。身体を動く樹木に
落とし、大穴を開けた。当然、麦茶もひしゃげる。
そして、30秒後に麦茶が金属化を解除し、
ひしゃげた部分を再生させた。
…えー…。危ないな。制御できないのだから、
頭から落下する可能性もあり、とても危険だ。
動く樹木は光の粒子となり、
幻想的に散っていった。
「麦茶。これが麦茶が思いついたという作戦か?」
「…そうっすよ!いやー、怖かったっす!
「何故、あんな事をした。そんな事をせずとも、
動く樹木は倒せていた。それに、周囲の人に
迷惑をかけるだけで無く、自身の命すらも
賭けている様な行為だとわかっているのか!?」
麦茶は一瞬顔を伏せ、怒ったような顔をして、
言う。
「わかってるっすよ。これが自分の命を
危険に晒していることなんて。だけどっすね。
それは憧さんもじゃないっすか!昔に何が
あったのかなんて知らねっすよ!言いたくなきゃ、
言わなくてもイイっすよ!でも、それを理由にして、
大事に思われている憧さんの命をかけないで
欲しいっす!昔を理由にしちゃ駄目っす!
命は賭けるものじゃないっすよ!
守るためのものっす。命は命を守るためにしか、
奪ってはいけないっすよ!今の動く樹木だって、
いずれ、ここを通る人の命を守るために
奪ったっす。守るためにだけしか
奪ってはいけないっすよ。
それが自分の命だったとしても。
それに、奪う時は最小限にすべきっす」
ああ、そうか。麦茶は俺を諭す為にあんな事を
したのか。
「麦茶、俺はお前の心の籠もった言葉を
どんなに聞いたところで変わる事はない」
「だがな、私の心には響いた。
命の数というのも、しっかりと考慮した戦いを
しよう。本当にすまなかった」
「はいっす!」
「…麦茶、だが、先程の行為は麦茶の命を
危険に晒したのは間違いない。
それは褒められた事ではないのは、
わかるだろう?」
「はいっす。ごめんなさいっす」




