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お笑いヤンキー  作者: oga
俺は向日葵
1/25

プロローグ

 俺こと、桜木向日葵さくらぎひまわり(18)はタバコを吹かして川原を眺めていた。

足元には今さっきボコボコにした隣の高校のワルが5人。


「なんか、満たされねっつーか……」


 時刻は夕方で、水面に反射するオレンジの光を見ながら、ちょっとセンチな気分に浸っていた。

俺も高3で、そろそろ進路を考えないといけねー。

つっても、成績は悪ーし、このまま行けば土方とか、トラックの運ちゃんか。


「……クソ面白くねーな」


 こんな俺でも、将来のことは不安だ。

また喧嘩でもして憂さ晴らしするか?

……つーか、こんな考えだから、ダメなんだ。

いい加減、大人になってこういうのから卒業しねーとだ。


「……まあ、帰るか。 今日は母ちゃんがカレー作って待ってんだ」

 

 立ち上がって口笛を吹きながら歩いていると、いきなり見知らぬおっさんが通せんぼしてきた。

右に行くと、右に、左を抜こうとすると、左に。


「おっさんよ、喧嘩売ってんのか、アア?」


「……さっきの喧嘩、見てたぜ」


 突然、男は名刺を差し出してきた。


「ワシはこういう者だ。 オメェみてぇな骨のある奴を探してる」


「眼帯ボクシングジム? スカウトかよ」


「これを読みゃあ、オメェもボクシングに興味が持てるハズだ。 男って奴ァ、単純だからな」


 男は、「は○めの一歩」の単行本と名刺を無理やり俺に押しつけてくる。


「さあ読め!」


「るせぇッ」


 俺は、スカウトの男の顔面に拳を打ち込んだ。

男は、ギャッ、と短く悲鳴を上げ、その場に崩れる。

俺は、さり気なく単行本だけ男の懐から抜き取ると、その場から去ろうとした。


(ちっ、1巻かよ。 内容知ってるし、ブックオフで売っちまうか)


 それに、喧嘩じゃ俺の心は満たされねぇ。

俺は今までずっと、自分の中の憂さを相手に向けて生きてきた。

舐めてんじゃねぇぞ、見下してんじゃねぇぞ。

誰かとすれ違うたび、俺はその言葉を心の中で呟いてきた。


「ささくれてやがる……」


 ふっ、と俺は自虐的に笑った。

一生、こんな風に生きてくつもりかよ、俺。

すると今度は、足元に地球儀? みたいな球体が転がってきた。


「今度は何だ?」

 

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― 新着の感想 ―
[一言] 不良にあこがれてるのもあるのね。向日葵ちゃん。夕食のカレーを楽しみに帰る処は、可愛い^^)
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