気弱な少年の話
2ヵ月振りの更新っす、短いっす、亀ですいませんm(_ _)m
まあ、気長にお付き合い頂ければなって思います。
道端の街灯に明かりが点き始め、地平線に太陽が沈もうとしている頃、人気のない道を、うつ向きながら歩く少年の姿があった。
少年はひどく思い更けた顔をしながら、溜め息をつき、ボソッと小さな声で呟いた。
「あーあ、また言いそびれちゃった……。どうして僕ってこんななんだろう……」
そしてまた溜め息をつき、橙色に染まっていく空を不満気な瞳で見上げた。しかしその時、ふと足下からニャオという少年の気分とは真逆の、明るくそして可愛らしい鳴き声が聞こえてきた。
少年が思わず下を向くと、艶やかで柔らかそうな毛並みをした仔猫が擦り寄ってきていた。その汚れひとつない純白の毛並みといい、首に優雅に結ばれた上品な赤い鈴付きのリボンといい、何故か目の前の仔猫にはどこか惹き付けられるような魅力があった。
仔猫らしからぬ涼しげな雰囲気を纏った猫の、凜とした美しい千草色の瞳が少年を見つめる。
無意識の内に少年は、手を伸ばして仔猫に触れようとしていた。だが仔猫はひらりとその手をかわし、狭い路地裏へと逃げてしまう。思わず少年は猫を追いかけ、路地裏を覗いた。しかし、そこに仔猫の姿はなく、代わりに質素な扉が在るだけだった。
(あれ、ここ扉なんかあったっけ……?いや、そもそもこの路地裏に足を踏み入れること自体初めてだからわかんないけど……)
少年はしばらく辺りをキョロキョロと見回した後、意を決したかのように扉の取っ手に手を掛け、ゆっくりと扉を開けた。