王子君のお着替え
4限の授業が終わり、給食の時間になった。
「みんな、当番と協力して給食の準備してね。先生は、王子君を保健室に迎えに行ってくるから!」
「先生。王子君、うちのクラスでお昼食べるんですか!?」
「うん、そうだよ。」
クラス中から大歓声が上がる!
『やったぁあああああー!!』
「あんな可愛い子がうちのクラスにくるなんて!」
「いろいろ話したいね!」
「家族のこととか、聞けば身元が分かるかもしれないね!」
「王子君の席、用意しなきゃだね!」
「王子君、どこの席がいいかな?先生の隣かな?」
「先生、王子君の分も給食、よそっちゃっていいですか?」
王子君、大人気だな…。
「いや、王子君の分は給食室からもらってくるから、大丈夫だよ。」
保健室へ向かう俺。そういえば、南先生がママ友さんからお古の服をもらってきてくれたんだよね。着替えるって言ってたから、王子君どんな格好になったかな?出会った時は白のワイシャツに黒の半ズボンて、なんか制服みたいだったよね…。
「失礼します。あれ、王子君どこにいるの?南先生もいない…って!?君は…!?」
俺の目の前に立っているのは…。長い銀髪に、青い瞳…。服装は、白のスカートが三段のフリルになっていて、胸元に青いリボンのついたどこかでみたことあるようなワンピース姿の女の子は…!?
「なんで、俺の目の前にめ●まさんがいるのー!?め●まさんが3次元に出てきちゃったよ!ここ秩父だっけ!?」
「…僕だよ。」
「へ?…まさか、王子君…?」
「…うん。」
「えええええー!?」
保健室の扉が開き、南先生が入って来た。
「あら、星野先生。見て、すごいでしょ!どうみても、め●まちゃんでしょう!」
「南先生、何やってんですかっ!?王子君は、男の子ですよ!!」
「だって…。絶対、似合うと思ったんだもん…!家の娘に着せるために買ったやつなんだけど…服もウィッグも。ここまで完成度が高いとは…!」
「まさか…南先生。近所のママ友さん家だけでなく、自宅にこれを取りに帰ったんですか…?」
「えへへ…。」
「えへへ、じゃないですよ!!何してくれちゃってるんですかー!」
「でも、すっごく可愛いじゃないですか…!もう、芸術の域ですよ…!」
確かに、可愛いけど…。いや、可愛すぎるだろ…!!こんな姿で外歩いたら、絶対誘拐されるよ…。犯罪的な可愛さだよ…!!
「…もう、脱いでいい?」
王子君は、すごく不機嫌な顔してる…。そりゃ、こんなに可愛くても一応、男の子だからね。気持ちはわかるよ…。でも、不機嫌な顔してる王子君も可愛い…!!王子君は、ウィッグを外し始めた…。
「いや、待って。写メ撮らせて!!」
「大丈夫よ、星野先生。王子君のお着替え姿は全部、私が撮影したから、後で送ります!」
「南先生…め●まだけじゃなく、他にもコスプレさせたんですか…?」
王子君、完全に着せ替え人形にさせられちゃったんだね…。
保健室を出て、2年2組の教室へ向かう俺と王子君。王子君は、南先生のママ友さんから頂いた服に着替えた。水色のパーカーに、半ズボンと子どもらしい格好になった。
「王子君。さっきは、ごめんね…。」
「……。」
「ああ!今日の給食のプリン、俺の分もあげるね!」
「……。」
完全に、ふてくされてる…。まあ、悪いのは俺なんだけど…。いや、元を正せば南先生が悪いじゃん!