商人と遭遇。再び戦闘
アードウルフと対峙している俺。そして少しはなれたところにはさっきまで逃げていた商人の馬車がある。
「これも魔物なんだよな・・・しかも2匹もいるし。ウルフとか言ってたけど見た目ハイエナのように見えるけど・・・。」
アードウルフは中型犬より少し小さい位の大きさで特徴的な顔をして涎を垂れ流している。まんまハイエナのようだった。
「後ろに人がいるようだしチェーンソウは使わないほうがいいよな。それよりも勝てるんだろうか?」
と呟きながらバックから鉈を取り出す。取り出した鉈を構えてアードウルフの攻撃に備える。アードウルフ2匹は俺の周りを回りながら隙をうかがっている。痺れを切らしたのか1匹が俺に向かって飛び掛ってくる。それを見たもう一匹も飛び掛ってくる。
「ガゥゥゥゥ~」
「グルゥゥゥ~」
飛び掛ってきた最初の1匹をかわして次に飛び掛ってきたアードウルフの開いた口目掛けて両手で握り締めた鉈を思いっきり振りかぶった。鉈は切るというより押しつぶして切るという様な感じでアードウルフの口から骨にぶつかるまで鉈が食い込んで1匹はそのまま声を発する事もなくぴくぴくしてから息絶えた。その様子を見てもう一匹は逃げ出した。倒した1匹はそのまま光になっていつものようにキバと尻尾。結晶と珠を残して消えた。
「能力的に低いけど何とかなるもんだな。さて落ちているものを拾って商人のところに行こうか。」
とアイテムを拾っていると馬車が近づいてくる音が聞こえてきた。
「いやー助かりました。私はこの先の街で店をやっておりますアルフレッドと申します。」
と自己紹介してくれたアルフレッドは年のころは40代のおっさんだった。
「私の名前は 安藤望空といいます。この先の街に行く途中でした。」
「アンドーモアさんですか。珍しい名前ですね。」
これはお決まりのパターンかな?
「モアが名前でアンドウが家名です。言っておきますが貴族ではありませんので。私たちの国ではこれが普通なんです。」
と予め釘を刺しておく。
「モアさんでしたか。モアさんも街に行くと言うことでしたのでもしよろしければご一緒に行きませんか?」
「よろしいんですか?私は旅人でこの国で身分を証明出来る物がないのですが。」
「それは街についてから門番に言ってもらえれば仮の通行所を発行してもらえます。それを持っていれば3日間は街に滞在できます。その間に身分証を作ってしまえば問題ありません。仮通行証を発行してもらうのに銀貨1枚必要ですがお持ちですか?」
「いいえ。路銀が尽きてしまって・・・売れるものといえばさっきのアードウルフのキバと尻尾。森の中で拾った蟻の顎と甲殻と結晶と珠ですねー。」
と俺が言うとアルフレッドさんは驚いた表情を浮かべる。
「モアさん今蟻の甲殻を持っているといいませんでしたか?それと結晶と珠ってもしかしてこれの事ですか?」
とアルフレッドさんは荷台に行き俺が拾ったものより少し大きめの結晶と小さ目の珠を持ってきてくれた。
「これは経験値結晶といってこの世界の人が成長するのに必要なものなんです。こちらのほうは最低の結晶でも銀貨5枚から取引されております。これぐらいの大きさで白銀貨1枚ですね。次にこちらの珠ですが
これは魔力珠といいます。これは魔法を使うのに必要な魔力を上昇してくれるという珠でこちらはこの位の大きさで経験値結晶の3倍の値段で取引されております。どちらもなかなか手に入れることが出来ないのでとても貴重なものです。使い方は両手で強く握り締めると両手から吸収されるように消えますのでそれで使用した事になります。蟻の顎と甲殻ですが顎のほうは討伐部位としての証拠となりますので必ず落ちるのですが甲殻のほうは滅多に落ちる事がないというもので防具として加工されて使います。鉄より少し劣る強度で鉄より軽いという事から鉄と同じ位の値段で取引されます。アードウルフの尻尾は色々な薬の材料に使われるということでこちらもそこそこの値段で取引されます。」
と色々説明してくれるアルフレッドさん。説明してもらえたおかげで結晶と珠の使い方がわかったのは嬉しい。
「ちなみにですがその珠でどのくらい伸びるんですか?」
「そうですねー10増えるといわれていますね。大きさで増える量も違ってきます。大きさは人の頭くらいまでの大きさまでありそれ以上の大きさはなく色がどんどん黒くなっていくようです。経験値の結晶も同様である一定の大きさまで行くと白くなっていくという具合ですね。」
なるほどなるほど。という事は俺は現在最低でも50MPは確保できているということだ。とりあえず使うのは街に行ってからにして街に入るためのお金を何とかしないと。
「アルフレッドさん街に入るためにお金が欲しいので甲殻を買ってもらえませんか?」
「それでしたら私が出しましょう。助けていただいたことですし。そうだもしよろしければこの結晶と珠を差し上げましょう。お礼ですので気になさらず受け取ってください。」
と結晶と珠を差し出してくるアルフレッドさん。
「そうですか?それではお言葉に甘えさせていただきます。」
「それではそろそろ参りましょうか。」
と俺とアルフレッドさんは街に向かって歩き出したのだった。
「所でアルフレッドさんは護衛も付けないでこんなところにいたんですか?モンスターがいて危ないでしょうに。」
「いやぁ。普段は護衛をつけて移動しているのですが急用がありましていつもの護衛の人達も急な招集で捕まらなかったのも重なってしまいまして。隣街までですし大丈夫だと思いまして。隣街までは何事もなかったのですが帰りも大丈夫だろうと高をくくったのがダメでした。運が悪かったのでしょうか。今となっては反省しています。」
等と話をしながら街までの道を歩くのだった。
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