蟻との戦闘
巨大蟻との初戦闘を終えて俺はその死骸を眺めていた。すると巨大蟻が急に光りだした。俺は思わず後ろに下がり再び戦闘態勢にはいる。やがて光が収まるとそこには巨大蟻の死骸ではなく蟻の顎と甲殻と白い結晶と黒色の珠が落ちていた。どうやら死骸などは解体などしなくても自動的に中身は消えるようだ。
「これがドロップアイテムと経験値結晶とMP珠かな?それとも逆かな?とりあえず使い方が解からないんだけど・・・ゲームだったら拾い上げると使いますか?はい いいえって出るんだろうけど手にとっても何の変化もないね・・・まさかこれを丸呑みするのか?無理だろ。蛇じゃないんだから。」
珠は手のひら大の大きさがあり結晶も同じくらいの大きさがある。それを丸呑みとか中国の鉄の玉を飲み込むおっさんじゃないんだからさ無理。とか色々考えていたが大事な事を忘れていた。さっき倒したモンスターは蟻。蟻は集団で行動する。したがって考え事をしている間に仲間の蟻2体が俺の目の前に現れた。
「ヤバ。いくら遅くても複数はつらいよ。ここはにげ・・・・」
と俺は逃げようと思い振り返るが後ろにも2匹の巨大蟻が逃げ道を封じられていた。まさに絶体絶命の状況になった。
「くそっ!逃げられないか・・・仕方ない。奥の手を使うしかないか。」
そう呟いて俺はバックの中からあるものを取り出す。長さ45cm重さ3kgの人類の英知で作られホラー映画では白い仮面をかぶった変質者の相棒でありゲームの中ではゾンビを切り殺したり。またあるゲームでは神を1撃でバラバラにして神殺しとまで言われた伐採器具。そうチェーンソウだ。
「充電できないからもしものとき以外使わない予定だったんだけど。こんなに早くそのもしものときが来るとは思わなかった。」
と俺はチェーンソウを起動させた。
「ヴィイイイイーン!」
とけたたましいエンジン音を響かせながら荒ぶるチェーンソウ。俺はチェーンソウを構えて向かって来る巨大蟻に向けて振り下ろした。
「ウィィィーン!」
と少し辛そうな音を立てながら向かって来た巨大蟻の頭を真っ二つに切断した。切断している間に緑色の体液が飛び散って俺にかかるがここは我慢しないといけない。一匹目を難なく切断できたので俺はすぐさま2匹目に取り掛かる。
「これならいけるな。残りも一気にぶった切ろう。」
前方にいた2匹をあっさり切断して後ろの2匹に取り掛かる。後ろの2匹もあっという間に切断して絶命させる。全て終わったところでチェーンソウを止めた。
「ふう。さすがにオーバーテクノロジーだったかな?簡単に倒すことが出来た。」
と安堵のため息とともに絶命した巨大蟻を眺める。さっきと同じように光に包まれて顎と甲殻。結晶と珠に変わっていく。さっきと違うところは結晶と珠の大きさがさっきの倍近くの大きさになっているということだ。
「これも転移オプションの影響だと思うけど・・・まあ深く考えるのはやめよう。また囲まれたら洒落にならん。」
俺は巨大蟻の戦利品とチェーンソウをバックにしまって急いでこの場所から離れてからこれからの行動について考える事にした。
「とりあえずこの森から出て街を探さないと。結晶と珠の使い方もわからないからこの辺も街に行って聞かないといけない。」
という結論に至って俺は森から出る事にした。しかしどっちに行ったらいいかも解からないので俺は昔よくやっていた分かれ道のときに木の棒が倒れたほうに向かうという方法を取った。完全に運任せである。
「やっぱりこれだよな。道に迷ったら木の棒だよな。お願い木の棒!俺に道を示して。」
などとおまじないチックにやってみる。意味がないということはわかってはいるが一応やっておいた。棒が左に倒れたのでそっちに向かって歩いていく。運がいいのかどうかはわからないが1時間ほど棒の指示通り歩いたら森の出口にたどり着いた。モンスターとも遭遇せずに出口にたどり着けたのはラッキーだと思う
「森を出れたな。んぅ~・・・・空気が美味い。さてとりあえずは人道を探すか。中世って言っていたからさすがに街道位はあるだろう。」
辺りを見渡すと広い平原が一面に広がっていて良く見ると馬車等が通ってるだろう道らしきものも肉眼で確認できた。ついでに言うと生き物も多数確認されている。
「とりあえずこの道をたどっていけばたどり着くだろう。気をつけないといけないのはモンスターと確認されている動物と思われる生き物だな。それと今何時だろう。腕時計をしてくれば良かった。」
と呟きながら空を見上げると太陽が真上に来ていた。地球と同じ時間なら今は昼ぐらいか?という考えを巡らせながらバックの中から携帯食料と水を取り出して食べる。食べ終わってから道のような場所に行きどっちに行くか考える。
「両方とも丘の先まで道が続いてる事からどっちかの丘を越えれば街は見えてくるかもしれないな。これは棒様に頼るしかないな。」
とさっきのように棒を立てて倒れた方向に行く事にする。倒れたほうは左側の丘のほうだ。そっちに向かって歩いていく。淡々と歩いていき丘にさしかかり丘を登っていく。丘を登りきると目の前に海らしき大きな水溜りが見えた。海のようなものを見ていると船を見付ける事ができた。その航路をたどっていくと遠くのほうに街が見えた。
「おおー!異世界初の街ハッケーン!。この距離なら日が高いうちに街にいけるな。順調順調!」
と街が見つかった事でテンションがちょっとだけ上昇してきた。俺は意気揚々と街目指して歩き出す。
「確か身分を証明できない人が街に入るのにはお金が必要って言ってたよね?どうしよう。この世界の金まったく持ってないぞ?このままだと街に入れないかもしれない。テンプレがあるとすればここらで1つのイベントが起きるはずなんだけど。モンスターに追われている女の子とか商人の馬車とか。さすがに盗賊に追われているというのは勘弁して欲しいけどな。まだ人を殺る覚悟は出来てないし・・・。」
等と呟いていると丘を降りたところから悲鳴が聞こえてきた。悲鳴が聞こえたほうを見てみるとテンプレどおりにモンスターと思われる生物に追われている1台の馬車があった。
「テンプレがほんとに来たな。」
と眺めていると馬車がこちらに向かって走ってくる。まさかなすりつけようとするつもりだろうか。さすがに馬車から逃げるだけの速さはない。
「すいませーん。そこにいる旅の方。1人旅をするくらいですからお強いのでしょう?助けてくれませんか?お礼はいたしますので。後ろのアードウルフを倒してくれませんか?。」
と馬車の後ろから付いて来るアードウルフといわれるモンスターと対峙したのだった。
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