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Short Stories  作者:
1/6

君に恋するきっかけは、

「青木って、いっつもなんか食ってるよな。」


「ん、んんっ?」


 大好きなチョコパンにかぶりついたまま、あたしは隣の席の松本くんのほうをみた。


『いっつもなんか食ってるよな』


 って男の子に言われちゃうのって、ちょっと問題なのかな。こいつ大食いだな、とか思われたかな。

 少し不安に思いながら松本くんをみると、松本くんは、ニカッて笑ってた。



 ただ今、3時間目と4時間目の間の休み時間。つまり、あたしが毎日パンやおにぎりを食べる時間。……いや、お腹すくんだよ。何か食べないとお弁当までもたなくて、さ?


 席替えをして、新しい席になってから、今日で2日目。

 隣の席には、バスケ部の松本くん。

 今まで接点がなくてあんまり喋ったことはなかったけど、割と人懐っこい性格。あいさつは、毎朝交わしてる。

 松本くんとあたしは、友達とも、あかの他人とも言えない、ただのクラスメート。………だったんだけどな。


「チョコのクリームかな? 頬っぺたについてる。」


「え、やだ! ほんと?」


 クリームを頬っぺたにつけてるなんて何歳児だ! 高校生にもなって恥ずかしいっ

 あたしが、どこどこ、なんて言ってあわてふためいてると、松本くんの手がのびてきた。


「……えっ…!」


 右の頬っぺたに松本くんの指が触れた。そのまま、松本くんは、何か――きっと、チョコクリームだ――をすくいとった。


「ほら。」


「わわ、ご、ごめんっ! とっ、ととととりあえずティッシュ貸そうか?!」


 あたしが恥ずかしくてしかたないのを頑張って隠して言うと、松本くんは


「とが多い。」


 って言って、笑った。……なんか、きゅんきゅんしてるのは気のせい…?

 なんて思ってると、松本くんはそのまま、指のチョコクリームをなめた。


「ま、松本くん…っ!」


「でも、そういうとこも全部、可愛いんだけどさ。」


 そう言って、笑うから。


 君の笑顔が、頭から離れない。


「な、ななな何言って…!」


「んー、本当のこと? 何か食ってるときの青木、すっげー幸せそうな顔してるから。」


「へ!?」


「俺いっつも青木見て癒されてんだよ。……うん、今日も可愛い。」


 ……松本くん、それ、反則。


 あたしは真っ赤になった顔を隠す為に、顔を両手でおさえた。



 君に恋するきっかけは、席替えと、チョコパンと、はにかんだような君の笑顔。

青木さん

茶道部。いつも背筋がピンとしてて姿勢が良い。

かばんの中に常になにかしら食べ物が入っている。よく食べる。

笑顔が眩しい。小柄。150cmくらい。


松本くん

バスケ部。181cm。

入学式の日に青木さんに一目惚れ。

4時間目の前の休み時間に、なにか食べてる青木さんを見るのが毎日の楽しみ。

思ってることさらっと言っちゃう。人懐っこい。

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